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「お疲れ様ぁ!」
俺たちは無事にオープン初日を終えて、家で打ち上げをしている。
「それじゃあ今日の売り上げを発表します!」ドルルルルルルルルッ
聖奈さんはそう言うと、スマホを使ってドラムロールの音を出した。
無駄な事を…誰も理解できんだろ……
「な・ん・と!3,400,000ギルでした!」
おお。素直に凄いな。砂糖と同じくらいの売上だ。
ちなみに面倒だから書面上の通貨はギルで統一した。どうせどこでも使えるからな。
一々100万は何処どこの通貨で!なんて面倒なことをしている商店もないしな。
基本は金貨何枚と言うらしいが、俺たちは円も使うからこの方がいい。
計算が苦手な従業員もいないことだし。
「これは喜んで良いんだよな?」
「もちろんだよ!私の予想より2割近く多かったしね!」
最初の方は目利きのきく商人が大量購入すると聖奈さんは見込んでいた。
その見込み通り、ガラス製品が軒並み大量に売れた。
百均様様である。
うちの店は異世界ダ◯ソー一号店と言っても過言ではない。
酒はまだまだ売れていないが、それはこれからだろう。
「お酒は王様が宣伝してくれているから、その内お偉い様の使いの人達が大量に買ってくれるでしょうしね」
「それに試飲は好評だったので、街の人の贅沢品として売れると思いますよ?」
さすがミラン。しっかりと見ている。
「ミランちゃんの太鼓判も貰ったからしっかり売らなきゃね!」
「「「はいっ!」」」
この子達は我が家に泊まることになった。院長たってのお願いだ。
何でも、近くにいると子離れが出来ないとのこと。
俺もミラン離れ出来ないからわかるぞ。
良かった。無駄に広い家を買っといて。
俺たちは転移室さえあれば問題ないからな。
ちなみにこの家の転移室は一階に作った。一々重たい物を上から下ろすのは面倒だからだ。後、その方が動線も良いしな。
子供達は男女に分かれて二部屋使っている。
間取りで言うと、二階の階段近くから男の子部屋、女の子部屋、爺さんの部屋、リリーの部屋、一番奥の突き当たりが俺たちの部屋って感じだ。
家具はバーンさん達に作ってもらって、布団一式は地球産だ。
子供達は感動していた。自分専用のベッドに新しいチェスト。着替えもプレゼントした。
子供達にはその代わりに当番制で家事をしてもらう。
聖奈さんがいる時は料理はいいが、それ以外の掃除、洗濯はみんなの分をする。
みんなとは俺達や爺さん、リリーの分もだ。
ガイは女性の下着を洗うのは恥ずかしがるかと思ったが、孤児院では当たり前にしていたから問題ないようだ。
むしろ俺だけが恥ずかしがっていた。
ミランが俺の服は私が洗うと言ってきかなかったからだ。今までも洗ってもらっていたけど……
でもその内お父さんのと一緒に洗濯しないで!っていうんだろうな。
ちなみに武器は殆どが魔法の鞄に入っているが、部屋にも置いている。
地球産の鍵付きのロッカーを置いて、各々の得意武器を各々が管理しているから、子供達が掃除に入っても問題はない。
子供達が寝た後、聖奈さんが聞いてきた。
「それでどうなったの?」
「ん?ああ。あの男か。あの後、騎士が店に来たのは知っているよな?」
「うん。エリーちゃんが『ついにセイさんが捕まったですっ!』って報告してくれたからね」
おいっ!俺はまだ何もしていないぞ!!
今後に期待してくれ!
「まぁ、それは今はいい。騎士の人が言うには、その男は魔導士協会のお偉いさんと癒着している商人らしくてな。
この水都でもかなり強引な取引をしていたけど、協会からの圧力で中々捕まえることが出来なかったみたいだ。
だけど、今回は暴力を振るった。
明らかな現行犯だから逃れるのは不可能。だけどその男は往生際悪く、協会の人を呼んで抗議させようとしたらしい。
しかし、男が喧嘩を売ったのが俺達だと協会の人間が知るやいなや、すぐに男を切ったようだ。
つまり男は頼みの綱の協会の伝手を失い、牢屋の中ってわけだ」
「何か私達って正義の使者みたいだね。そんな気は全く無いのに」
そうなんだ。この男を泳がせて、従業員の指導を現場でしようとしただけなんだ。
最初から俺が介入していたら、男も捕まることはなかった。
これじゃまるで正義のヒーローみたいだ。マッチポンプ感が否めないけど。
「私は正義のヒーローは嫌だなぁ。あんな風に潔癖に生きたくないもん!」
「俺もだ。むしろ少し後ろめたいくらいが楽しい。俺たちは正義のヒーローにならないように頑張ろうな」
よくわからん誓いを二人で立てた。
そんな翌朝、漸く二人が帰ってきた。
「戻ったぞ。良い匂いじゃ!やはりこの時間なら朝飯に間に合うと言うたじゃろ?」
何やら玄関が朝っぱらから騒がしい。
「はい!やはりビクトール様の言う通りでした!」
どうやら騒がしい夫婦が帰ってきたようだな。出迎えるか。
ガチャ
「二人ともおかえり。そんなとこにいつまでもいないで入ってこいよ」
「おお。帰ったぞい。わし達の分もあるかのう?」
「人が増えてるから問題ないぞ」
そう。子供達の分もあるから余分にいつも作っている。余ったら孤児院行きだ。
今朝はあまりそうにないな。
子供達に爺さん達を紹介した。夫婦だと言えばみんな驚いていた。
流石の波瀾万丈な人生を歩んでいる子供達でも、爺さんと美女が結婚していたら驚くよな。それも美女から求婚したと聞けば尚更。
爺さん達には店のことを伝えた。するとリリーが嬉しい提案をしてくれた。
「じゃあ、セイ達がいない時は私が護衛をしよう。ビクトール様。良いでしょうか?」
リリーは相変わらず爺さんにはしおらしい。
俺はそのままの君でも良かったのに…くそっ!
「セイさん?大丈夫ですか?」
「ありがとう。ミランがいるから俺は生きていけるぞ」
「はあ…」
なんか気のない返事だが…いいんだ。俺にはハーレムという大きな野望があるんだ!
「儂も構わんぞい。儂も手伝おう。ジジイじゃが、子供の三人や四人くらいの盾にはなれようて」
その言葉にリリーがうっとりしている。
まぁ、確かにカッコいい言い回しだけど?でもじじいだぞ?
「それと新婚さんには悪いが、この子達はこの家に住むから頼むな」
「そうか!子供を産まずに子供が出来たな!よし!お前達!これからは私のことをお母さんと呼ぶんだぞ!」
「儂は爺さんで…流石にお父さんは…」
リリーは意外に子供好きなのか?爺さんはタジタジだな。
この年まで独身だったんだ。子供に慣れているはずがない。
むしろ孤独に慣れていたはずだ。
やばい。なんかそれもかっこいいな……
この家でのことは二人に任せよう。俺達は寝るだけだし。
その後、爺さん達に店を案内して仕事の説明もした。
2日目は特に何事もなく終わった。
店に嵐が吹いたのは3日目のことだった。
「セイ!来てやったぞ!」
昼過ぎ、大声で俺を呼んだのは国王だった。
「あの。ここに来たら不味いんじゃ?」
そう。この人には怖い王妃が付いている。
「大丈夫だ!一緒に来たからな!」
「えっ!?」
「セイ殿。お久しぶりです。こちらは開店祝いの品です。市井の人達はこういうことをすると聞いたので」
国王の後ろからやってきたのは王妃だった。なんかよくわからない置物を貰ったので、カウンターに飾らせてもらおう。
「セイ様!アメリアはお待ちしてましたのに、あれからお越しにならないなんて!はしたないながらも来てしまいました」
金髪美少女王女様もかよ……
「アメリア殿下。ようこそお越しくださいました。ご案内いたします」
何で一家総出なんだよ。まぁ王子がいないから総出ではないけど。
仕方ないから王族は俺が案内しよう。案内と言っても商品紹介くらいだけど。
三人いたお客さんはそそくさと帰っていった。
営業妨害だ……
「これは何ですか?」
アメリアが手に取り見せてきたのは、色鉛筆だった。
「それはその棒の色が出せるものになります。こちらの紙に書いてみてください」
「まぁ!素晴らしいですね!絵の具を使わなくとも、こんなに綺麗な色を出せるなんて、素敵です」
お上品だこと。おほほ。
アメリアにはしばらくお絵描きをしていてもらおう。
俺には相手をしないといけない人がいるからな。
「セイ殿」
ほらきた……
「こちらの商品は?」
王妃が差し出してきたのは……
「ああ。そちらはシャンプーですね。あちらのトリートメントと併用されると、髪が綺麗になります」
これはラベルが貼ってない入れ物に詰め替えるのが面倒で、余分に経費がかかるから値段設定が高めなんだよな。
「く、詳しく!」
「えっ、ちょっ!」
王妃に詰め寄られ、助けを求め……国王は試飲を愉しんでいる……
「聖奈が!聖奈が詳しいので呼んできますね!」
困った時の聖奈さんだ。
俺は聖奈さんを連れてきて王妃を任せた。
俺には試飲の意味を教えなきゃならない相手がいるならな。
いくら飲んでもいいって意味じゃないぞ?
〓〓〓〓〓〓〓〓小話〓〓〓〓〓〓〓〓
聖「エリー。聞いたぞ?」
エリー「な、何をでしょうか?」(まさかミランと一緒にセイさんの魔法の鞄を漁った事がバレた…!?)
聖「騎士が来た時に、遂に俺が捕まると言ったってな」
エリー「なーんだ。その事ですか!そうですよ!遂にセイさんが店の子に手を出したのかと思いましてっ!」
聖「…一週間おやつ抜きだ」
エリー「ええっ!?横暴です!!暴漢です!!」
聖「ちょ、待て!?暴漢は違うだろうが!!」
ミラン「騒がしいですね」モグモグ
聖奈(頬張るミランタンかわゆす…)パシャリ
カオスッ!!