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死にたがり少女と

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死にたがり少女と

6 - 正しい「愛」かなんて

♥

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2024年05月28日

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プルルルル…

携帯の着信音が部屋に響いた。

スマホの画面を見ると優里香の文字が。

ボタンを押して電話に出ると、


『秋奈ちゃん…』


と、今にも泣き出しそうな儚い声が聞こえてきた。

慌てて返事をする。


『え、なに?どうしたの!?』

『わ、私…どうしよう……』

『うん』

『私…だって…..やっちゃった…』

『取り敢えず落ち着こう?』


電波が悪いのか

喉に声が詰まって出てこないのか

途切れ途切れに発される声が妙に痛々しくて。

子供をあやす様に出来るだけ落ち着いた声で、優しい音色で言う。


『はぁ…うん……ごめん…』

『何処にいるの?』

『○○の路地裏辺り…かな…』


○○は経営してるのかしてないのか分からない店。

それにそこは東京までとはいかないが、

そこそこ栄えている街だった。

そう言う所に優里香が行くこと自体が珍しいかったが、

そもそも人がほとんど通ることの無い店に寄ることがおかしいだろう。

それもよりによって路地の裏に。


『大丈夫。今行くよ。』

『うん…..』


短い返事をしてプツッと音が切れる。


行かなければ。


髪を雑に結って

薄い上着を羽織って

スマホと財布を持って

靴下も履かずにシューズを履いて

鍵を閉めて。




そして走った。





走って





走って。






星のない空に目立つネオン街






人混みをかきわけて





そして着いた薄暗い路地裏。

煙草の臭いやらなんやらが

香ってきていたが気にしなかった。


そして気付いた血なまぐささ。



曲がり角に居た少女──優里香だった。



その目の前には─────




「あ、秋奈ちゃん…来てくれたんだぁ…早かったね?」

「優里香…」

「…だって、この人が悪いんだよ?」

「え…?」


こちらに目線を向けて直ぐに

目の前の男に視線を落とした

その目元には泣いた跡が残っていた。


「しつこく声掛けられて、それで少し強めの言葉で返事したらその人手をあげてきて、私ぃ…..反射で肩突き飛ばしちゃって。それで転けて、打ちどころが悪かったのかそのまま倒れて動かなくなっちゃって。」

「ッ…」

「私…私が悪いの?ねぇ…悪くないよね?」

「…..うん、悪くないよ..」

「だよね?…..でも、本当は警察に電話すればよかったんだ。でも、でもさ…私、秋奈ちゃんともっとやりたいことあったから…捕まるのはやだった。それで気付いたら秋奈ちゃんに電話してて、秋奈ちゃんの声聴いて安心したんだ。」

「…うん…うん、…..」

「でも秋奈ちゃんの声を聴く度にまだ一緒に居たいって思っちゃって…ねぇ、私捕まりたくないなぁ……」


本来友人なら「自首するべきだ。」

と言うのが正しいのだろう。

でも、言えなかった。






唯一無二私が愛して、







私を愛してくれた人だから。






太陽のようなその子を。






カゲロウのようなその子が。





大好きだったから。




私だって離れたくない。

なんてったって優里香は

なんにも悪いことはしていないんだ。

捕まる理由がない。

正当防衛だ。




「…逃げよう。」







「…え、?」








埋めるんだよ、その男を。






幸い○○の近くには人の通ることの無い、

なんなら見つける事も出来ないような道があった。

一旦家に帰り、スーツケースにブルーシートと、キャンプに持っていく様な折り畳み式のシャベルを入れる。

こういう時に車があれば楽なんだが……


スーツケースならギリギリ観光客などに紛れれる。

そっと周りの目を気にしながら先程の路地裏に入って行く。


「優里香。」

「…本当にやるの?」

「そうでもしないと、優里香が捕まっちゃうでしょ。」

「そう、そっか…そうだね。」


路地裏の細くて暗い道を器用に通り、

山の方へと明日を進める。

重い荷物を引きずって。


「よくこんな道知ってたね。」

「…まぁね」




「よし…この辺なら誰も来ないでしょ」


その❝重い荷物❞をブルーシートに身を包める。

ちゃんと包んだところで

再度引きずりながら再び歩く。




数分、数時間2人とも無言のままただ山奥へと歩みを止めることなく歩く。

すると先に口を開いたのは優里香の方だった。


「…秋奈ちゃん」

「…ん?」

「なんでこんなにしてくれるの?」

「なんで?…さぁ…..どうしてだろう」

「はは、なにそれ」

「んふ、笑わないでよ〜」


不意に笑みが零れる。

…こんな状況で笑みを零すのもおかしな話だと思うが。


どうして、と聞かれたら

「好きだから」としか答えられない。

それ以外に何があるだろうか。


「愛」その1文字で人間なんでも出来るもんなんだなと。



いや、もう普通の「愛」では無いのだろうが。





「あー……着いた…..」

「もう既に汗だく…」

「まだまだこれからだからね。」

「うへぇ〜…..」


地面にシャベルを刺す。

少しぬかるんだ土は重く、掘りやすかった。




何時間経ったかも分からないが、やっと人を埋められるぐらいには深くなった。


そしてその穴に埋める。



重い荷物


という名の


人の遺体



ドサッと嫌な音を立てながら落ちてゆく。

土を被せて、なるべく自然になるようにならす。


頭からつま先まで土だらけだ。

2人とも吹っ切れたようにその場に座ってため息を零す。


「…ありがとう」

「…こちらこそ」







やっぱりこの子じゃないと私は。





この子が居たから私は。





「大好きだよ」

「…私も。」






それじゃあ帰ろう。




それぞれの家へ。






そして───






──────────

お帰りなさ〜〜い!!終わり方が少々雑ですが….今回も短い…

次でもう心中しちゃうかなぁ..

まぁ、お楽しみに!!

言うてこれでも1000〜2000文字ぐらい書いてるんですよ!?すっげぇな!!(?)

それじゃあね!!






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