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《06:20》
アオイとアンナはメイド寮に帰ってきていた。
部屋はツインベッドのビジネスホテルのようになっている、もしもアオイが正気ならば「ベッド!ベッドがあるよぉ!ふかふか!しあわせぇ」とテンションが上がりまくっていただろう。
シャワーも備えられていて洗面所も化粧も出来る。
この屋敷では奴隷とはいえ、接客などが多いため汚い姿を晒さない様に設備は整えてあるのだ。
「ふぅ……やっと終わったわね、それにしてもあんた本当にすごい人気ね、来る人来る人みんなあんたを触っていくんだもの」
「……」
「お尻とか胸絶対ジンジンに痛いでしょ?」
「……」
アオイは話しかけられてもベッドの上で体育座りをして何もない所を見ている。
「相変わらず返事がないわね、うーん、私はあなたの副マスターよ、返事しなさい」
「解りました。副マスター」
「うん、やっぱりこっちの方がいいみたいね?言っとくけど、あんたみたいな奴隷はいっぱい居るから同情しないわよ?暴力を振るわれ続けて言うこと聞かされたり、男にまわされたり、獣とヤらされたり、子宮を取られたりね」
「……」
「それに比べればアンタなんて良い方よ?」
「……ありがとうございます」
「ま、私が同じ部屋で良かったわね、私はそう言うの解ってるつもりだからそんなに喋らなくても気にしないわ、でも掃除とかやることはやってもらうわよ?」
「……はい」
「とりあえず私はお風呂に入るわ、あなたが後でいいわね?」
「はい。」
そういってアンナはお風呂にへ行き、部屋にはアオイ一人になる……アオイは電池がきれたロボットの様に一点を見つめてそのまま待つのであった。
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「新人の奴隷……使えそうね」
アンナはシャワーを浴びながらアオイの事を考える。
「なんか知らないけどボーッとしてるわりには私の言うこと聞くし、上手く使えば私の計画を進めることが出来る」
シャワーの水が頭から滴りながら独り言を呟く。
「もうこんな生活は散々よ……必ず私は自由になる!」
アンナという人物は普通の家系で普通に育ってきた人間だった。
《グリード王国》で普通に学校に通い、普通に友達が居て、普通にどこかのお店で働くつもりだった人間。
そんな普通を知っている彼女だからこそ、奴隷生活は耐えられないくらいストレスなのだ。
「その為には私の駒になってもらうわよ、アオイ」
アンナの値段は買い切り三千万。
この屋敷にはメイドが他にも居るが大体金額に応じて順位が決まる、それもそうだ、自分よりも高い奴隷を傷つけでもすれば商品を傷つけられたとマスターは怒り、捨てられるのは下の金額の方。
アンナはその中でも上から3番目と言う上位のポジションだった。
「まぁ……そう考えるとダントツでアオイがここのトップ……使い方も気をつけないといけないわね……」
そのルールはメイド達で作られた暗黙の了解だ。
アオイは知らないが今の状態で知ったところで害は無いだろう。
「はぁ……このポジション、多少は自由が効く様になるからいいけどそれはそれでストレスよね」
マスターの信用を得てるが故に、新人の教育や、ちょっとした事で呼ばれやすい。
「新人と言えば、一人バカなのが居たわね」
アンナが任された新人の中に1人。
「私は間違って親に売られたのよ!あなた達とは違うの!」と言って先輩の言うことを聞かなかったり、仕事をしない奴隷新人が居た。
「……」
最終的には私を含めメイド全員からの罠にはめられ仕事をしていない事がマスターにバレた後、マスターは激怒。
屋敷の地下に連れていかれ彼女はそこから出てくることは無かった……
「……………」
私達奴隷の命はマスターの物……それを再確認出来た出来事だ。
アンナはお風呂に浸かって今回の高級新人、アオイについて考える。
「顔よし、スタイルよし、声も脳に透き通って入ってくる心地のいい声…………よほどの事をされたのね、まるで心の無い人形ね、まぁそれが私にとって好都合なのだけど」
例の新人みたいに威張り腐ってる奴だったらマジ無理だっわね。
「さて、と、あんまり長湯するとお風呂冷めちゃうし暖かい湯にアイツも入りたいだろうから出るかな」
お風呂から出てバスローブに着替え出て行くと、アオイは先ほどと同じ位置でまったく動かず虚空を見つめていた。
生きてるのに生きてないみたいだ。
「命令よ、お風呂に入って隅々まで身体を洗いなさい?そしてちゃんと寝て体力を回復しとくのよ?じゃないと仕事中に倒れてしまう可能性があるわ、理解した?」
「……はい」
返事をした後、アオイはトボトボと脱衣所へ入って行った。
「…………」
奴隷である以上、自殺は出来ないけど少し心配ね……
「くぁ〜もう!」
ベッドにボフっとダイブする。
「計画も何もアオイが仕事出来なきゃ意味がないからしばらくはお世話に徹っしないと行けないわね」
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