コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!
◻︎決めたこと
退院して10日が過ぎた。
体を見たらあちこちにアザができていて、よく骨折しなかったと思う。
必死だったからアドレナリンとかいうやつが出て、うまく転がったのかもしれない。
子どもを持つ母親なら、あの場面の私の行動はわかってもらえるのだろうけど。
_____雪平さんに謝らないとなぁ…
自分から車に当たりにいったようなものだし、そのせいで迷惑をかけてしまった。
わかってはいるけど、なんとなく連絡できないでいる。
もしかしたら、誰か…たとえば奥様に私とのことがバレていないかということも気になった。
なので、こちらから連絡することができないでいるのだ。
先週からパートにも復帰したし、いつも通りの生活に戻ってきた。
家族は、私の体を心配してあれこれ手伝ってくれるけど、それが私には心苦しかったりする。
そのこともあって、雪平さんとの闇鍋デートはもうおしまいにしようと決めている。
_____楽しかった…
きっと、これが最後なんじゃないかと思う、恋愛感情を持って男性と会ったのは。
忘れたくない、いい思い出にしてしまっておきたい。
いくつかの小説投稿サイトを探して、一番簡単そうなところを見つけた。
雪平さんとのデートのことを書くことにした。
_____…にしても、自分のボキャブラリーのなさに幻滅だ
あらすじは、ある。
闇鍋のことを書きたいし、雪平さんと関わって多少なりとも変化があった自分の考え方も、書き残しておきたい。
でもいざ文章にすると…雪平さんと待ち合わせして、食事してホテル行って…ってこれでは週刊誌に掲載された、ただの不倫デートの投書みたいだ。
「あーーーーっ!うまくいかないよーっ」
ヨガマットに寝転ぶ。
今日は秘密基地に1人だった。
礼子はだんだんと仕事が増えていってるようで、忙しくしている。
1人きりの秘密基地も悪くない。
妄想が膨らむし…が、それを文字にできないという…。
ぴろろん🎶
電話?
「もしもーし、礼子?」
『あ、美和子、今どこ?』
「秘密基地だけど…」
『ごめん、あのさ、1人お客さん連れて行ってもいい?秘密基地だから、秘密にしないといけないんだけど、そんなこと言ってられなくて』
なんだかわからないけど、とっちらかってる礼子の様子からただごとじゃないことがわかる。
「いいよ、私、いない方がいいなら帰るし」
『巻き込むわけにはいかないから、ごめんそうしてくれる?』
「わかった。すぐに来るなら鍵は開けておくよ」
『サンキュー』
私はスマホをバッグに入れて立ち上がった。
食べかけのポテチは、洗濯バサミでとめておく。
なにがあったのかわからないけど、きっと礼子がケアに関わった誰かがトラブルに遭ったんだろう。
階段を降りて車に乗ったところで、礼子の車がやってきた。
私は、そのまま知らん顔で帰った。