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#ご本人様には関係ありません
莉心
53
#山中柔太郎
Yuna
18,105
ゆいは
203
第二話「あと五分怪人、現る!!」
通信機の案内に従い、五人は現場へと到着した。
そこは、多くの人が行き交う駅前。
改札口付近には人だかりができ、駅員や警察官たちが慌ただしく動き回っている。
その時だった。
「おいっ!遅いって!」
甲高い声が飛ぶ。
声の主を見ると、そこには一頭の牛。
……いや、正確には牛の着ぐるみを着た人物。
ミルミル君。
本人曰く、「妖精枠」である。
「もうこっちは三十分も待ってるんだからな!
早くなんとかしないと俺まで上から説教食らっちゃうんだからな!」
着ぐるみ越しでも怒っているのが伝わってくる。
ハヤトが眉をひそめた。
「あのさぁ!こっちだって仕事終わってヘロヘロで来てんだよ!文句言うんじゃねぇ!」
「そうやで!」
シュンタもすかさず乗っかる。
「先月の夜勤手当も振り込まれてへんし!」
「……あ、それに関しては本当に申し訳ない。」
急に声のトーンが下がる。
「ちゃんと今月分と一緒に振り込むから!」
「言質取ったで。」
シュンタがスマホの録音ボタンを押していた。
「録るな録るな!」
「証拠は大事や。」
「ヒーローがやることじゃないから!」
そんなやり取りを見ていたジュウタロウが、ぽん、とミルミル君の肩を叩く。
「まあまあ、とりあえず今日の報告もしっかりお願いね。」
「……お前だけが癒やしだ。」
牛が少し泣きそうになった。
「で、あれね……。」
ミルミル君が指差す。
視線の先。
人混みの隙間から見えたのは。
改札を三つも塞ぐように横たわる巨大な影。
「……。」
「……。」
「……。」
「何あれ。」
ジントがぼそっと呟く。
そこにいたのは、小太りの中年男性。
ただし、とにかくデカい。
身長は軽く四メートルはある。
しかも
「ぐぉぉぉぉぉ……。」
豪快ないびきをかきながら爆睡していた。
人々はその横を迷惑そうに通り過ぎる。
駅員は誘導し、警察官は必死に腕や足を引っ張っている。
しかし。
「……あと五分ぅ……。」
寝言を言うたびに、
ズズズズズ……
さらに身体が大きくなる。
「うわ、またデカくなった!」
駅員が悲鳴を上げる。
「押してください!」
「押してます!」
「起きません!」
「あと五分ぅ……。」
ズズズズズ……
「また育った!」
「成長期か!」
ジントが思わずツッコむ。
ハヤトは呆れ顔。
「何あれ……ただの酔っ払いのおっさんじゃん……。」
ダイチも苦笑いする。
「なんかヤル気なくすわ。」
「まあとにかく!」
ミルミル君がパンパンと手を叩いた。
「あと五分怪人!
君たちでやっつけて!」
五人は顔を見合わせる。
「しゃあない……。」
ハヤトが大きく伸びをした。
「変身すっか。」
全員が通信機のボタンを押す。
ピッ。
身体が光に包まれる。
次の瞬間。
❤️💛🩷💙🤍
カラフルなスーツに身を包んだ五人がそこに立っていた。
🤍「一応ポーズとか掛け声もしとく?」
ミルクホワイトが聞く。
💛「えぇ……。」
ミルクイエローは露骨に嫌そうな顔をする。
💛「またやるの?」
❤️「もちろん!」
ミルクレッドはノリノリだ。
❤️「一応ヒーローなんやから毎回やっとかな!」
💙「そうそう!」
ミルクブルーもテンションMAX。
💙「前は三人しかおらんかったし!今日は五人揃っとるやん!」
🩷 「誰がセンターやる?」
💙 「レッドちゃう?」
❤️「いやリーダーはイエローやろ。」
💛「俺やりたくない。」
🤍 「じゃあジャンケン。」
❤️ 「そういやローテーションにしようって前決めたやん!」
結局。
イエローが真ん中に立たされた。
「はいはい〜。」
ミルミル君がスマホを構える。
「報告書用に動画も撮るからね〜。」
🩷「動画ぁ!?」
「もう回ってるよ〜。」
ミルクピンクが チッと舌打ちして、
それから深呼吸をする。
🩷「じゃあ行くぞ!」
💛「俺たちは!」
💙「街の平和を守る!」
🤍「スーパー!」
❤️「ヒーロー!」
全員で息を合わせ、
🩷💛💙🤍❤️
「「「「「爆裂戦隊!!」」」」」
ビシッ!!
🩷💛💙🤍❤️
「「「「「M!LKレンジャー!!!!!」」」」」
五人同時にポーズを決めた。
周囲からは、
パチ……
パチパチ……
なんとも遠慮がちな拍手。
「おぉ〜。」
「写真撮っとこ。」
「TikTok上げよ。」
スマホを向ける人々。
「はいはい、こっちにも目線ちょうだーい。」
ミルミル君。
「そのままで!」
パシャ。
「あと一枚だけねー」
パシャ。
駅員が恐る恐る近付いてくる。
「あのぉ……。」
「怪人が……。」
全員が振り向く。
「ぐぉぉぉぉぉ……。」
あと五分怪人はさっきから微動だにせず、ただ幸せそうに寝ていた。
「……あと五分ぅ。」
💙「待ってくれとる。」
ブルーが感心する。
❤️「礼儀正しい怪人やな。」
レッドも頷く。
イエローは即座にツッコんだ。
💛「いや、寝てるだけだから!!」
🤍「とりあえず。」
ホワイトが軽く息を吐く。
🤍「早く終わらせて帰ろ。」
💛🩷 「「賛成。」」
イエローとピンクが真っ先に頷いた。
❤️「じゃあまず俺から行かせてもらうわ。」
レッドが、あと五分怪人の前まで歩いていく。
❤️「こういう『あと五分だけ〜』とか言うタイプの奴はな、物理的に起こすんが一番効果的なんよ!」
💛「……ていうか、それってまんまレッドのことじゃん。」
イエローがすかさずツッコむ。
❤️「そう!」
レッドは胸を張る。
❤️「だからわかるんよ!」
🩷「全然説得力ねぇ……。」
ピンクが呆れる。
❤️「よし!まずは水掛けてみるで!」
どこからともなくバケツを取り出すレッド。
💛「そのバケツどこから出した。」
❤️「ヒーローには色々あるんや。」
💛「説明になってない。」
レッドは怪人の顔めがけ、
バシャーーッ!!
容赦なく水をぶっかけた。
「……ぶふっ!!ふがっ!!」
鼻に水が入ったらしく、怪人が苦しそうにもがく。
🩷「おぉ!」
🩷「効いてるんじゃね?」
ミルクピンクが近寄る。
怪人は数秒ほど苦しそうに咳き込んでいたが、 やがて静かになり、
「……あと五分ぅ……。」
再び眠りについた。
しかも。
ズズズズズ……
また少し巨大化した。
💙「デカなっとる!!」
ブルーが叫ぶ。
「マジか……。」
五人は一斉に肩を落とした。
❤️「物理ダメかぁ。」
💛「物理というか水責めだったけどね。」
イエローがぼそっと言う。
その時。
ミルクホワイトが
🤍「あ。」
と何かを思いついたように指を立てた。
🤍「物理といえば、太陽の光とかいいって言うよね。」
💛「……今夜だけど?」
イエローが呟く。
🤍「じゃあ。」
ホワイトは静かに前へ出る。
🤍「俺の必殺技、いくしかないか。」
💙「おぉ!」
ブルーの目が輝く。
💙「あの技な!」
💙「確かにいけるかもしれん!」
🩷「何その期待感。」
ピンクが苦笑いする。
ホワイトは怪人の前に立つと、
ゆっくりとポーズを決めた。
🤍「必殺……!」
一呼吸。
🤍「とにかく美しい顔面!!」
💛「技名なんそれ!」
イエローのツッコミと同時に。
ピカァァァァァァァァッ!!
ホワイトのマスクの下、
美しすぎる顔面が太陽のように発光した。
「まぶしっ!!」
「うわぁぁ!!」
周囲の人々まで一斉に目を覆う。
駅員も、
警察官も、
ミルミル君まで。
「いや牛も眩しいぃぃ!!」
❤️「着ぐるみなのに!?」
レッドが突っ込むと
「着ぐるみちゃうわ!」
ミルミル君が強く否定する。
「うぅぅ……。」
怪人が苦しそうに唸る。
🩷「効いてる!」
ピンクが薄目を開ける。
怪人は両手で顔を覆い、
もがき苦しんでいた。
やがて光が収まる。
恐る恐る全員が目を開く。
怪人は、
ぱち。
ぱち。
ゆっくりと瞬きをしていた。
❤️「やった!」
レッドが飛び跳ねる。
💙「起きたで!」
ブルーもガッツポーズ。
💛「……そして。」
イエローが腕を組む。
💛「こっからが問題だな。」
ピンクが怪人の前へしゃがみ込む。
🩷「おい、おっさん。」
🩷「何でこんなとこで寝てたんだよ。」
「んあ……?」
怪人はぼんやりと目を擦る。
「なんで……だっけ……。」
ピンクが小さく舌打ちする。
🩷「チッ。」
🩷「なんかこのおっさん、課長に似てて腹立つわ。」
💛「八つ当たりやめろ。」
イエローが止めるより早く、
ピンクは怪人のぽよんとしたお腹を、軽く蹴った。
「いてっ。」
🩷「あっすみません。」
❤️「謝るんかい。」
レッドが笑う。
イエローはため息をつき、
ブルーへ目を向けた。
💛「とりあえず……ブルー。」
💛「お前ならこの怪人起き上がらせられるよな?」
💙「任しとき!!」
ブルーは肩をぐるぐる回し、
💙「ふんっ!!」
力を込める。
ムキッ。
ムキムキムキッ。
ヒーロースーツの上からでも分かるほど筋肉が膨れ上がる。
💛「毎回それできるの?」
💙「たぶん!」
💛「たぶんなんだ。」
ブルーは怪人の両腕を掴み、
💙「せぇぇぇぇぇのっ!!」
グググググ……
自分の何倍もありそうな巨体を、
ぐいっと引き起こした。
「うぅーーー……。」
怪人はようやく座り込み、
目にも少しずつ生気が戻ってくる。
イエローは怪人の前へ立つと、目線を合わせ 穏やかな声で尋ねた。
💛「あのー、あなた。」
💛「自分がどうしてこうなったか、覚えてます?」
怪人は少し考え込み、
やがて、
「あっ!」
と声を上げた。
「思い出した……。」
「今日、仕事で嫌なことがあって……。」
「帰りにヤケ酒を飲んじゃって……。」
「そしたら、黒ずくめの男に話しかけられて……。」
「そこから先は、よく覚えてないです……。」
イエローとピンクは顔を見合わせる。
🩷「やっぱりな。」
💛「ブラック滅軍団の仕業か。」
❤️「またアイツらかぁ。」
レッドが頭を掻く。
🤍「地味なことしかしないよね。」
ホワイトがぽつり。
💙「予算ないんちゃう?」
ブルー。
💛「それありえるぞ。」
イエローが笑う。
怪人は不安そうに尋ねる。
「あの……。」
「私、どうなってしまうんですか?」
💛「大丈夫。」
イエローは優しく微笑んだ。
💛「もう自我は戻ってます。」
💛「だから、元に戻れますよ。」
その言葉が終わるか終わらないかのうちに、 怪人の身体は、
シュゥゥゥ……
少しずつ縮み始めた。
四メートル。
三メートル。
二メートル。
そして 気付けば、 どこにでもいそうな中年男性の姿になっていた。
「戻った……。」
本人が一番驚いていた。
🩷「よし!」
ピンクが大きく伸びをする。
🩷「任務完了!」
❤️「帰れるぅ!」
レッドも万歳する。
「最後!」
ミルミル君がスマホを構える。
「報告書用の写真撮るよー!」
🩷「またぁ!?」
「はい並んで並んで!」
「そこ!もうちょいくっついて!」
「そうそう、はいチーズ!」
パシャッ。
「お疲れさまでしたー!」
🩷💛💙🤍❤️
「「「「「お疲れさまでしたー。」」」」」
なんやかんやで、
五人は再び喫茶店「Nostalgia」へ戻ってきた。
ジントはカウンターに残されたカップを持ち上げ、 大きく肩を落とす。
「もう……。」
「せっかく淹れたコーヒー、完全に冷めちゃったじゃん……。」
「俺は猫舌やから助かるけどな。」
シュンタは美味しそうに冷めたコーヒーを飲む。
「ジントのコーヒーは冷めても美味しいからさ。」
ハヤトもカップを手に取る。
「これ飲んだら解散な!」
「賛成。」
「明日も仕事やし。」
「俺朝五時起きだわ……。」
「俺一限から授業。」
「……閉店後は静かに過ごしたかった」
イエローの小さな願いは、 誰にも届かなかった。
今日も俺頑張ったわ。
そんなことを口々に言いながら、
五人は冷めたコーヒーをゆっくり味わう。
そして。
「明日は『あと五分〜』とか言わずに起きよう。」
そう固く決意した五人だった。
……なお。
翌朝。
❤️「あと五分〜。」
第一話 おわり
コメント
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コメント失礼いたします!めちゃくちゃ面白くて終始ニヤついておりました(*´艸`)続き楽しみにお待ちしております(*´˘`*)❁⃘*.゚
フォロー失礼します!

敵の集団ブラック滅って(,,,>ฅฅ<,,,) ちょい弱そうですね 実写で日曜朝枠やって欲しいわ😍