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テラーノベルの小説コンテスト 第4回テノコン 2025年1月10日〜3月31日まで
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「して、なんで私達も連行されたの?」

「一応ほら、パーティだし?」

「喧嘩ふっかけられたのミナルだし、ここはあんた一人で行ってボコボコにして帰ってきたらカッコよかったんだけどねぇ?」

「ハッハッハッ!俺の弱さはキミが一番理解してるだろ?」

「理解してる上で今話してる」

「鬼なのかお前さんは?」

「いいえ?私は『血気騎士団第二部隊元隊長 ルナベル・アルトラルト』ですけど?」

「そういう事を言いたいんじゃなくてな…」

「ルナベルおねーちゃんのそれかっこいい!私も欲しい!」

「マリンもあれに興味を示さないの」

因縁をつけられたあの後宿に戻り事の経緯を話して、なんとか今回のこの『ワンベア』討伐クエストに一緒に来てもらうことにした。

一応経緯を説明してる時に提案で『ルナベルが一回でもクエスト一緒に行けば丸く収まると思うんだけど?』と提案したら案の定断られた。断った理由について聞いたところ『私に行くメリットが何も無い。』の一言だ。まぁ、それを言われたらそれまでだし俺とて今回のワンベアに関してメリット何も無いから行きたくないんだけど…。

「ねーねー?」

「どしたマリン?」

「ワンベアってどんな魔物?」

「一言で言えば殺意高めの大きなクマよ」

ルナベルの言う通りワンベアは言ってしまえば図体のでかいクマだ。まぁ、一般人からすれば普通のクマも十分すぎるほどの脅威ではあり、俺からしても恐怖の対象ですけども。

見た目の特徴と言えばやはり図体のデカさと腕だろう。成体で大体二メートル強あって、腕部には岩石みたいな強固でトゲトゲしい甲殻を持ち、その凶器をぶん回したりするのが主な攻撃方法だ。

ウルルフが最初の関門ならワンベアは第二の関門かもしれない。ウルルフとワンベアを倒せてようやく一人前と言われたり言われなかったりするし、まぁ俺はその二匹すらも倒せないですけどね!

で、何故ワンベアと呼ばれるかと言うと、駆け出し冒険者たちはこのワンベアにワンパンされて帰ってくるところから付けられた名前だ。『ワンパンで冒険者(駆け出し)を屠るほふ熊』という事でワンベアらしい。なんとも安直な名前だが、覚えやすくて大変助かる。

ちなみにここだけの話だが、このワンベアという魔物は成長の可能性を秘めていることでも有名。というのも昔全長五メートルほどのワンベアが確認されており、そのクマさんには『森の支配者』なんて異名が付けられるほど恐れられて当時は討伐するのにかなーりてこずったと聞いたことがある。

まぁ、そんな化け物が生まれることは稀だしそういう奴が出ますよ〜、とかいう警告も無かったから身構えるだけ気疲れするのでぶっちゃけ考えるだけ無駄よな!

「で?ワンベアの討伐数を競うんだよな?」

「なんかそう言ってたな」

「そんなにワンベアがわんさか出てきたら出てきたで大問題だぞ?」

「聞いた話だとワンベアが沢山出ると言うより、縄張りを広げてるらしいのよ。」

「へぇ?アイツらの縄張りなんてハチミツがある範囲だけじゃないんだ意外だね」

「そーいう感想が出るってことは不自然なんだよな」

「まぁね。事実私の知ってる知識ではそんな一例見たことないもんね」

「てことは何?これも何かしらの厄介事が潜んでるって訳?」

「確証は無いな。だが、用心しとくに越したことはない。」

「あっ!クマさんみーつけた!!」

「よし。とっととコイツを倒して次にそなえ……」

「ふむ……。このワンベア成体にしては小さいな…。」

「幼体ってわけじゃ?」

「いや、成体は腕部の甲殻がガッチリしてるのが特徴だ。アイツの腕部もガッチリしてるため、成体で間違いない。」

「でも、小さい事なんてよくある話じゃ…」

「少し調べたい。マリンちゃんあのワンベアの足元に『捕縛【Lv1】』を仕掛けてくれ」

「わかった!」

今回見つけたワンベアは大体二メートル弱の成体とも言えるし幼体とも言える絶妙な体躯をしていた。

「こういうデカめの相手に対して捕縛【Lv1】は通じないんじゃ?」

「成体なら腕を振り回して強引に解く。幼体なら絡みつくツルを噛み切る。私の経験則上のデータだけどな」

このサイズの魔物に対して初めてそれなりの大きさの魔法陣を作り、ワンベアをマリンが試しに捕縛してみる。

「それを知ったところで何が…」

「まぁ、結果を見てから私の考えを話してやる。」

罠を設置し少し様子を見る。ワンベアはこちらに気付かず、何かを探しているようだったがまぁ、恐らくはハチミツなんだろうな。種としての根元の方はクマと変わらないみたいだし…。

その後方向転換した際にマリンが仕掛けた罠魔法を踏み、捕縛【Lv1】が発動する。瞬間地面から幾つものツルが伸びて四肢を封じ、身体に絡みつく。しかし、ワンベアはそれを力技で解き放ち辺りの警戒に移る。

「力技で解除しちゃったよあの子……」

「なるほど…。うん。あのワンベアは成体で間違いないな。」

「四肢封じたハズなのに両手の甲殻でツルを切り裂いて、自由の効く両腕で足に絡まるツルも切り裂いてたしね。」

「で、ざんねんながらミナル。アンタの言う通り厄介事は起きるぞ」

「えぇ………。」

「このワンベアと同じくらいのワンベアは恐らくあと数体いる。」

「はぁ…?それの何が………」

「私も文献でしか確認したことないが、体長がそれほど大きくないワンベアは小回りがよく効くんだ。」

「まぁ、それは予想つくけど…」

「それが数体いた時、ひとつの可能性が生まれるんだ。」

「その可能性とは?」

「ワンベアの『異名ネームド』だ。」

異名ネームド……ね。それ危険度どんなもんなの?」

「前提として、今話した小回りの利くワンベアはその異名ネームドのしもべだ。

つまりはこのワンベア達より強いというのは分かるよな?」

「うん。」

「で、問題なのはこうして統率を取れているところにあり、最悪のケースはこのワンベアの司令塔は人と同格の知能を持ち得ることだ。」

「え?何その恐ろしい可能性……。」

「それほどの知能がないにしても、ほぼ確実なのはワンベア達もスキルの一つや二つは所持してることだ。」

「それなんて無理ゲー?こんななんにも無い平穏なとこに出てきていい魔物じゃなくね?」

「その通り。こんな特異的な魔物がこんな平穏な街付近に現れるのはおかしい

私らギルドの知らぬ間になにか良くないことが起きているかもな。」

「それに首突っ込むのだけは俺やだよ?」

「どうかな…。このクエストを受けた時点で退路は塞がれてるかもしれないが。」

「凡人の俺がそんな恐ろしいやつとタメ張れるわけが無いだろ!」

「良いから腹くくれミナル。クマさんもこっちの存在に気づいたみたいだ。

しかも、さっきの捕縛が私らだってこと何となく理解してそうな雰囲気あるよ?」

「回れ右して帰るか。ギルドに報告しないとだしな!」

「討伐依頼なんだから手ぶらはアウトだ。」

「マジかよ………」

「死ぬ気で頑張りなリーダー?」

「こういう時にそれ言うの性格終わってんね?」

「やめろ褒めるな」

「褒めてねぇよバーカ!」

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