テラーノベルの小説コンテスト第4回テノコン 2025年1月10日〜3月31日まで

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スノ短編集

第7話 - Birthday💚

2023年11月26日

#SnowMan

#snowman妄想物語

ひいらぎ

💚「うーん……」

俺、阿部亮平は楽屋の入り口に立って考え込んでいた。楽屋のドアには1枚の張り紙。

『あべちゃんへの挑戦状　〜この謎を解いてみよ〜』

佐久間の手書きの文字で、文と図が書いてある。謎はそこまで難しくなく、答えはもうとっくに出すことが出来ている。俺が考え込んでいるのは、この状況に対して。突然こんなことをして……どうしたんだろう、珍しい。

張り紙を剥がして、持っていたペンで答えを一応書き込んで楽屋のドアを開けた。

🩷「ようこそ、謎ときの部屋へ」

楽屋に入ると、今日の衣装なのであろうタキシードを着た佐久間が丁寧なお辞儀をしてきた。

💚「……何してんの佐久間」

🩷「えぇ？！なんかそれっぽくなかった？」

💚「いや、ぽい・ぽくないとかそういうんじゃなくて。急に何なの？」

🩷「えっとね、俺たちで謎を用意したから、あべちゃんに解いてほしいの！」

💜「謎は全部で8個！全部解いたら、この枠に当てはめてね〜」

佐久間と同じ衣装を着たふっかが、部屋の奥からホワイトボードを持って出てきた。

💚「わ、ちゃんと本格的……？」

💜「まあな。んじゃとりあえず、こーじが持ってる謎から解いてってよ」

💚「……よく分かんないけど、やってみる」

🧡「待っとったで、あべちゃん！！」

部屋の一角で仁王立ちをして、俺を待っていた康二。

💚「仁王立ち？笑　気合い入ってるね」

🧡「もちろんや！俺が1発目任されてんからな。気合い入れんでどうすんねんって話や」

ドヤ顔でそう言うと、康二は背中に隠していた紙を俺に見せた。

🧡「じゃーこれ！解いてみぃ！」

謎を見て数秒。俺はすぐに答えを導き出した。

💚「……『春分の日』だね」

🧡「はやっ！なんでそんなすぐ分かるん？！」

💚「え、だって簡単だよ？タヌキとニワトリのイラストってことは、この真ん中の文章の中から『た』と『にわ』を取ればいいってことでしょ？」

🧡「むぅ……あべちゃんには簡単すぎたか。まあ！次からはこんな簡単にはいかへんで〜？次はめめや！楽屋出たとこの自販機前におるはずやから、行ってみ！」

頬を膨らませて拗ねた表情を見せたかと思えば、パッと表情を明るくして言った。

💚「自販機前？分かった、行ってくる」

1番始めの張り紙に答えをメモして、楽屋の外に出てみた。

🖤「お、あべちゃん」

💚「めめ、来たよ！」

🖤「じゃー、問題はこれ。解いてみて」

めめが出した問題の紙を見て、数十秒考える。この紙の四角が、自販機と同じ形……丸の配置も同じということは。

💚「ん、漢字一文字？『生』で合ってる？」

🖤「お〜、さすがあべちゃん。正解！」

💚「よっし……！てか、自販機と見比べてって、この謎凄い凝ってるよね。このためにめめは自販機前にいたってこと？」

🖤「そういうこと。俺たちあべちゃんに楽しんでほしくて、結構こだわってるからね」

💚「ほんとすごいな……俺のためにわざわざありがと」

🖤「うふふ。じゃあ次は岩本くんのとこに行ってきてね」

💚「次照なんだ。おっけ〜」

🖤「あ、あとこれ！」

自販機前から去ろうとした俺に、めめがジュースを1本渡してくれる。

🖤「せっかくだから、あげる」

💚「わ、ありがとう！仕事の合間に飲むね」

俺は紙に答えをメモし、めめにもらったジュースも持って楽屋に戻った。

照、舘様、翔太、ふっか……と順に謎を解いていき、残すはいよいよラウールの謎のみになった。

💚「あれ、ラウールは？」

🧡「ラウなら隣の会議室や！」

💚「会議室？分かった、行ってくる」

なぜ会議室にいるのか分からなかったが、考えるよりも先に行動してみることにする。楽屋を出る前、

❤️「さすが阿部だね。解くのが早い」

💙「ほんとにな。どんな頭してんだよ……」

というゆり組のこそこそ話が聞こえてきて、危うく昇天しかけたのはここだけの話。

会議室のドアを開けると、そこにはラウールとふっか。いつの間にか、さっき楽屋に置いてあったホワイトボードも置いてあった。

💚「……もしかして、ふっかってホワイトボード担当？」

ふとした疑問を投げかけると、ふっかはドヤ顔を浮かべながら、

💜「まあ、そんなことかな……」

とイケボで言った。俺がなんのテンションだよ、とツッコミを入れようとすると、先にラウールが、

🤍「あの、調子乗らないでもらっていいですか」

と辛辣に言い、部屋が笑いに包まれた。

💜「ｱｯ、ｱｯ、ﾊｲｯｽﾐﾏｾﾝ…!」

と1人でわたわたしているふっかを置いて、ラウールはそそくさと話を進める。

🤍「ラストは僕のだよ！あべちゃんでもこれはちょっと難しいかも……」

ラウールが出してくれた謎は、確かに今までのよりもレベルが上がっていた。でも、このパターンなら前にも数回解いたことがある。法則がこうなっているから、答えは……

💚「……分かった、『生誕』でしょ」

🤍「せいか〜い！え、ほんと凄いねあべちゃん！」

💜「マジやべぇわ阿部。天才だわ……」

2人が驚きながら褒めてくれるので、俺は少し照れる。

🤍「じゃあ、あべちゃん！今までの答えをこのホワイトボードに当てはめてみて！」

ホワイトボードの枠をよく見ると、メンバーカラーで分けられている。ということは、このピンクの枠には佐久間からの謎をって感じで入れればいいのかな……？

俺は夢中になってホワイトボードにキーワードを当てはめていく。

康二の『春分の日』、めめの『生』、照の『笑顔』、佐久間の『電球』、舘様の『エレガント』、翔太の『目黒蓮』、ふっかの『うさぎ』、ラウールの『生誕』。

なんの繋がりも無くてよく分からなかったキーワードが、枠に当てはめたことで全ての辻褄が合った。枠が太く強調されている真ん中の文字を縦に読むと……

『誕生日おめでとう』

💚「……！！」

俺の誕生日のために、わざわざ？！感動しながら振り向くと、会議室の入り口に固まってクラッカーを持っている8人の姿が。

💛「せーのっ」

☃️『あべちゃん/阿部！誕生日おめでとう〜！！』

パーン！と部屋中に鳴り響くクラッカーの音。

💚「わぁ……！みんな、ほんとにありがとう！まさか謎ときでお祝いしてくれるなんて……」

🧡「謎考えるの大変やってんでー！それをあべちゃんはすぐに解いちゃうから……」

💚「ハハッ、それはごめんね？」

首を少しかしげながらそう言うと、佐久間が

🩷「あざとい警察です、逮捕ぉぉ！！」

と言いながらメンバーをかき分けて前に出てくる。それを止めながら、めめが優しく言った。

🖤「楽しんでくれた？」

💚「うん！すっごく楽しかったよ。それにしてもさ……よくこんな凝った謎考えたよね」

🤍「あー、実はね。僕たちだけじゃなくて、とある人に協力してもらいながら作ったの」

💚「とある人？」

💜「あべちゃんともよく共演してる人だよ〜」

💚「俺とよく共演してて、謎が作れる……って、もしかして松丸くん？！」

❤️「大正解」

💚「えぇぇぇ！！マジで！？ほんとに！？」

大声を出している俺の反応が面白いのか、はたまた予想通りの反応だったのか……メンバーのみんなはニヤニヤして俺を見ている。

💙「ほら、これ。証拠のメッセージ」

そう言って翔太が見せてくれた動画は、松丸くんから僕宛の誕生日メッセージ。メンバーの声も入っているため、本当に撮った動画のようだ。

💚「うわぁ、本当なんだ……すごい、マジでありがとう！」

🧡「うふ、もっと褒めてもええんやで？」

調子に乗る康二を置いて、話を進める照。

💛「んじゃ、そろそろケーキでも食べる？」

🩷「そーしよー！！俺、ケーキとお皿持ってくるわ！」

❤️「切るのは俺に任せてね」

🧡「おぉーい！無視せんとってやぁ！あ、てか俺も手伝う！」

ケーキを取りに楽屋に戻る照、佐久間、舘様の3人を慌ただしく追いかけていく康二。その様子が面白くて、残ったみんなで大爆笑した。

30歳の始まりは、思いがけないサプライズ。この先もきっと、想像もつかないような楽しいことが待ってるんだろうな。俺はそう思いながら、みんなが切り分けてくれたケーキを頬張った。

30歳のお誕生日、本当におめでとうございます🎉💚

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