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『えー……昨夜、サウサントの噴水前にて、謎の紅き蛇の紋章を刻んだ十代前半と────』
カーテンの隙間から差し込む太陽の光
薄暗い部屋に響き渡るラジオの放送
布団に座り込んだ少年はそれを聞きながら、
額に刻んだ紅き紋章を右手の指先でなぞる
『………久々の戦いが国家異能師相手…しかも、選ばれし十人の内の三人ってェ……ボク一人の案件にしちゃ荷が重すぎるな』
床に転がった何本ものビールの空き瓶
灰皿から崩れそうなほど積もった吸殻の山
それを見た少年は面倒くさそうに立ち上がる
『仕方ない……片付けたら出向くかな』
数分後────
一通り部屋の掃除をし終わった少年は、
ジャケットを羽織って玄関へと歩き出す
『……………そろそろ、か』
第11話【デジャヴ】
一方────
選ばれし異能師七名に加え
数百の国家異能師が護衛に徹している
”スタン王国”
徹底的な最大限の防衛を積み重ねた先、
城の最奥にある寝室に国王は眠っていた
『─────………』
あの爆発の件以来、未だ意識は戻らず
状態は時間と共に悪化
国民の不安も日に日に増すばかりだった
そこへ、ハンス達に伝言を終えた
ルイ・カントニオ中佐が入って来る
『ルイ中佐、お疲れ様です』
部下達が一斉に敬礼をすると、
ルイは眠るスタン国王の様子を確認する
『……まだこの調子か』
『はい…未だ、一度も目を覚ましません』
それを聞いたルイは首元を掻きむしり
ベッド横のソファに腰掛ける
『参ったな…国家異能師でこの国の指揮を執り続けるのも、もうじき限界が来る……』
『それは……なぜです?中佐』
『国民の限界とは、国の限界に等しい……いつ何時どんな犯罪が起ころうと、今のスタン王国ではそう不思議じゃないだろう……』
冷静を装いながらも掻きむしった
その首は、ゆっくりと血が滲み出ていた
『………すまない…少し感情的になったな』
そうしてルイは立ち上がり、
寝室の扉のドアノブに手を掛けようとした
ドアノブに指先が触れる
その時────
バァンッ
扉が凄まじい勢いで開き、
黒焦げの国家異能師が倒れ込んでくる
『ッ!?何があった……!』
ルイは咄嗟に倒れ込んだ部下の体を支え
困惑しながらも床に寝かせる
『国家の…異能………師…がァ……』
『爆発…したッ………!』
『───ッ!!?』
焼け焦げ掠れた低い声で捻り出される言葉
ルイはすぐさま廊下へ飛び出す
『はぁッ……!はぁッ……!はぁッ……!』
廊下の窓から嫌でも見える景色
それは、悪夢と言うに相応しかった
立ち上る真っ赤な炎と濃い黒煙
黒焦げになって這い彷徨う国の人々
原型を止めぬその肉体は爛れ落ちる
あの日と同じ
『ハンス、ラスク、ロスに伝言せよ────』
『カールは生きているッ!!』
コメント
1件
第11話読み終えました……。重い空気感と、またしても繰り返される爆発の悪夢。ルイ中佐が冷静を保とうとしながらも首を掻きむしる仕草から、精神の限界がひしひしと伝わってきて苦しかったです。ラストの「カールは生きている」は鳥肌ものでした。デジャヴというタイトルも回収されて、ゾッとするほど美しい構成……。続きが気になって仕方ないです。名無の男2さん、今日も素敵な闇をありがとうございます🥀