彼女と別れた時期がちょうど夏休み前の試験期間を過ぎた頃だったため、俺たちのことは暇な学生たちの格好の噂話の的となった。
信頼のおける友人から聞いた話によると、俺は彼女の身体だけが目当てで、付き合ってからというもの、会うたびにセックスに明け暮れた最低野郎ということになっていた。
放課後。
昇降口で、たまたま翔太に会う。
何か言いたげにこっちを見ているので、久しぶりに声を掛けた。
❤️「今、帰り?」
💙「ああ、うん」
心なしか、翔太の顔が赤い。セックス部分の噂話を聞いて、なんて声を掛けたらいいのかわからないでいるのだろうと推測した。
💙「人の噂も四十九日って言うからさ。あんま気にすんなよ」
❤️「へ?」
💙「大人になると、色々あるよなあ。うんうん。じゃ、今度遊ぼうぜ!」
そう言うと、翔太は逃げるように帰って行った。
❤️「……ぷっ、はははは!」
翔太なりに励まそうとしてくれたんだろうが、慣用句も間違えてるし、恥ずかしそうにしているのがウブいなと思ったら笑えてしまった。
彼女ができてから、なんとなく距離を取られていた気がしたけど、この様子ならまた仲良く話せそうかなとも思う。
お互い、大人になって、本物の大事な人ができても、俺たちはこんな感じの距離感で一緒にいられるのかもしれない。
この時はそう思った。
コメント
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この話好き!めちゃくちゃすれ違ってるのたまらん。
そのお互いがってことに気づいてよゆり組さん!!