テラーノベル
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お堂の中にある書物から昔の文字で読めないものと漢字やカタカナで書かれた何とか読めるものに分けた頃には陽はだいぶ高くなっていた。
「どうだ? なにか役に立ちそうな情報はあったか?」
梶は手に持った書物を見ながら訊いた。
「これは妖怪のことを少し書いてあります。食料は人間の血だけとか、呼び名もアオ以外にシロとかクズとか色々ありますね」
努は一時的に返してもらったスマホを駆使しながら調べていた。
「こっちは……死んだ人の記録みたいですね。あまり関係ないかも」
「これを読んでみろ」
梶から渡された書物は紙の質が他に比べて新しく思えた。ただ、中身は全部カタカナで書かれていた。
「これは……関係ありそうですね。生け贄を捧げる流れみたいな……ハザマビト、ケツシニ、イザナワレ……ほとんど今の言葉ですね」
「意味はわかるか?」
「ハザマビトって人がケツシって人に誘われ……連れてこられたって意味でしょうか?」
「ツキミチル、ハザマビト、ニエビトニ、ナリシ……ツキミチルって満月のことかな? ハザマビトって人がニエビトになる……生け贄になるのでしょうか?」
努も問いかけに梶は何も答えず聞いている。
「ハザマビト、ケツシヲ、メツスベシ」
「まとめてみろ」
「ハザマビトはケツシにこの村に連れて来られた。満月になるとハザマビトはニエビトになる。ハザマビトはケツシをメツ……滅する……倒すべしってことみたいですが」
「ニエビト……ハザマビト」
梶はブツブツと一人言のように口ずさむ。
「ニエビトは生け贄の人ってことでしょうね」
「そしてハザマビトは……今の俺らのことだろうな」
「ハザマビト、間の人? 人間の逆ってことでしょうか?」
「いや、恐らく村人と外の人間の中間の存在ということだろう」
「どうして……あ、夜?」
「そうだ。ニエビトとハザマビトはどちらもこの村から出られないが、夜になると分かれた世界に属する。そして満月までにこのケツシを見つけて殺せってことか」
「ニエビトになるとアオ様とやらに捧げられるんですね」
「まずはニエビトにならない方法を優先に調べるぞ」
「はい!」
努は頼りにされているように感じてやる気を出していた。
時間は正午をすっかり回っていた。努は空腹を感じていたが梶が何も言わなかったのでそのまま付き合っていた。
「この村が隔離されたのは1700年代の後半みたいだな」
「天明の大飢饉が1780年ごろなので、もしかしたら関係あるかもしれませんね……あれ?」
努はスマホを見ながら答えた。
「なんだ?」
梶は睨むように目を向ける。
「ちょっとしたことですが気になることがあって」
「いいから言ってみろ」
梶はいつも通りの口調だが努は慌てて説明した。
「いや、本当にちょっとしたことですが、大きな猿の妖怪が生け贄を求めるという村があって、その妖怪を退治したって話ですが、あ、もちろんネットの中での話しなんで本当かどうかわからないんですが天保の大飢饉の頃なんです」
「なにがおかしい?」
「あ、天保の大飢饉は1833年なんです。つまり、もしこの話しの妖怪がこの村の妖怪と同じなら僕らのいた妖怪を退治した世界と妖怪の退治されていないこの村は1700年代に分離して、その後に退治した世界としなかった世界があるんです」
「……つまり?」
「え? ああ、すみません……妖怪を退治したときに世界が分かれたのかなっと思っていたんで」
「なるほど、そういうことか」
「すみません……それだけす」
「いや、いい視点だ。この村が閉じ込められた原因がわかれば出る方法もわかるかもしれないからな。妖怪だけに囚われる必要はない」
「ははは、いやぁ」
珍しく梶に褒められて思わずうれしくなる努だった。
結局夕方ごろまで書物とネットを使って調べ物をした。おかげでわかったことがいくつかあった。
アオ様という妖怪についてはそれらしいものは見つからなかったが生け贄を求める猿の妖怪というのはいくつか見つかり、その妖怪を退治したという話も多かった。
ただ、ほとんどは通りかかったお坊様が神通力で封じたり、通りかかった侍が娘に変装して倒したとか、どこかで聞いたことのある話ばかりだ。
村についてはチダという名の漢字がわからないので、それらしい地名はいくつか見つかったけどそれがこの村かどうかはわからなかった。特にカーナビに示されている場所の周辺には似た名前の村は見つからなかった。
そしてもう一つわかったことがある。今夜が満月ってことだ。
コメント
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おおお〜!!第22話、読み終えたよ〜!!📖✨ 今回も考察シーンが多くて頭フル回転だったけど、めちゃくちゃ面白かった!! 特に、「ハザマビト=人間と村人の間の存在」って解釈のところ、すごくしっくりきたし、努くんが梶さんに褒められて嬉しそうにしてるの、こっちまで温かい気持ちになったよ〜🥺💕 それに、妖怪退治の有無で世界が分岐したかもって視点、めちゃくちゃ深くて痺れた…!! そしてラスト「今夜が満月」で終わるの、やばすぎる…!😱🌕 次が待ち遠しすぎるよ!!
#怪異
イキリ火の玉
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