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さて、突然だがみんなは見ず知らずの人から何故か変な難癖を付けられて、よくわかんない挑戦状を貰ったことはあるかな?
ちなみに俺は、生きてて今日この時まではなかったよ。この特殊な状況になって感じることって困惑とか超えて恐怖なんだね。新たな発見だよこれは……。
今俺は平常心を保ってるけど、心臓破裂しそうな勢いで脈打ってて冷や汗止まらないし、異常な程に喉も乾く。一体なんで俺はこんな目に遭わないといけない?ただ俺は、底辺冒険者を脱却したいだけなのに………。
時は遡ること数十分前……。
いつものように軽いクエストをこなした帰り道。徐々に貯金額も増えてきており、夢のマイホームが建てられるのもそう遠くない。そんな事を考えたいた時のこと、『ソイツら』は突然現れた。
「よぉミナルくん?」
「ん?誰アンタ?」
「別に名乗るほどの人間じゃねぇよ。」
だろうなぁ。絡み方が完全に三流だもん。よく見るチンピラだよなこれ。て事は面倒事に足突っ込む予兆しかないな……。
「何用?」
「なんか最近お前パーティ組んで名が知れてるらしいじゃねぇか?」
「まぁ、良くも悪くもね」
「その噂の中に『血気騎士団二番隊隊長ルナベルと共にいる姿を見た』なんてものがあるがこれは本当か?」
これはどっちに転んでもバットコミュニケーションになるやつかぁ………。なら、真実を告げた方が相手にダメージ(精神的)を与えられるな。
「そうだけど?だって彼女俺のパーティの一員だもん。」
「やっぱりそうか………。」
「なに?羨ましいって話?それ俺に言われてもなんも出来ないよ?別に俺から誘ったわけじゃ……。」
「俺らだって美女と一緒に楽しく平穏なクエスト行きてぇよ!!?」
美女と楽しくクエスト、かぁ………。コイツらの頭の中はお花畑なのいいなぁ…。俺、実態知ってるから楽しくクエストとか行けないよ。
凡人である俺に超人と同じレベルの提案をしてくるし、普通はこの街にいる奴らだとそこそこ苦戦する相手を複数体相手にして、そのうえで無傷で勝つような女性よ?そんな人と楽しくクエストなんて……。ふっ、無知ってある意味幸せなのかもしれない……。てかむしろ、経験させるのもいいんじゃないかな?そうすれば俺のこの考えにた辿り着けそうだしな。
「じゃあルナベルに話して一緒に行ってもらえばいいだろ?パーティ組んでて一応形式的には俺がリーダだけど、別にルナベルが一日居なくとも俺のやるクエストはボランティア(実質)だし、貸し出せるよ?」
「それは…ちょっと………。」
「はぁ?」
「いや、ほら……。そんな美人さんと会話とか俺らしたことないし………。」
んだコイツら……。典型的な陰キャみたいなやつなんですけど。
相手の現状に羨ましいとか思うくせして、その状況を与えられたらそれはそれで『いやそれはさ…』とか言ってナヨナヨし始めんの……。シンプルにイラつくんですけどぉ?
「なら、羨ましがるな。で、俺に二度と話しかけてくんな」
「うるせぇ!!俺らは得たくても得られないものを底辺のお前はいとも簡単に手に入れやがって!!
可愛い幼女とクエスト行って、それに飽き足らず今度は名のある美女騎士様と共に行動して!
今度はなんだァ!?自身と同い年くらいのヒーラーを捕まえてムフフな事を企んでるのかァ!!?」
わぁ……すっごい妬まれてる俺。しかも、こいつの話す内容ほとんどコイツの願望だろ。あと、こんな話題を道のど真ん中で話すな。俺はただでさえありもしない酷い噂のせいで街の人からあんまり良くない目で見られてるんだから。ここで、お前が騒ぐとまた俺の株がありもしない噂で知らぬ間に下がってくんだぞ?
あと、女の人が集まったのは偶然だからな?俺がそういう奴みたいになるのは断じて許せんよ?ロリコン変態底辺金欠限界冒険者はもう言われすぎたからいいけど、女はべらかしてるはもうライン超えよ?
「んな事一切ないから……。」
「うrrrrrrrrrっせ!持たざる者からすればそれが嘘か誠かなんて知りえねぇんだよ!
故にそこに夢を追い求めるんだぁ!」
あーあ。拗らせてるよこの人……。人間こうはなりたくないものだよね。てか、本当にこの人から見た俺は羨ましいと思える見え方をしてるのか?
だって、片方は凡人に対して超人基準で話す感覚が崩れてる狂人で、もう片方は例えるなら『クリオネ』みたいな、可愛いで近寄ったら仕掛けられた罠魔法で串刺しよ?そんな人達を可愛いと呼称することは出来るのか?
まぁ、容姿だけで判断するなら確かにお二方は可愛いですけども…。
「よぉし!決めた!!」
「はい?」
「お前に挑戦状を出す!!」
「結構です。」
「問答無用じゃゴラァ!」
「えぇ……。」
「最近この街の付近の森で『ワンベア』が縄張りを広げてる話は知ってるか?」
「いえ全く…。 」
「ほんとにお前冒険者かよ……。まぁいいや。それで、そのワンベア討伐クエストがギルドから発令されてるんだが、このクエストをお互い受けてどちらがより多くワンベアを狩れるか勝負といこうじゃねぇか!」
「え?全然嫌だ」
「問答無用って言ったろ!!ちなみに、俺らが勝ったらルナベルさんは引き抜かせてもらうぜえ?」
「ご自由にどうぞ。てか、それ俺側はメリット無くない?」
「ないと思うが……勝ったら俺の全財産をお前にやるよ。」
「……いくら?」
「コツコツ貯めてきた分だが、この街のはずれの方に戸建てを建てれるくらいはあるな」
「うーんまぁ……。金銭面ではもう特に困ってないけど、貰えるなら貰うか。」
「ならこれで互いに承認したなぁ?クエスト開始時刻は明日の十時だ。ギルドの受付前に集まり同時に受ける。時間制限はその日の夜大体8時までだな。」
「……あい、わかった。んじゃ明日の十時にギルド向かうから、チビって逃げ出すなよ。」
「それはこっちのセリフじゃバーカ!」
かくして、変な因縁をつけられた挙句仲間をダシに使われて厄介事に見舞われるのだった