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#ハッピーエンド
れもん データ飛んだ人
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コメント
1件
あおいです🤍 第37話、読みました。レンブラントがベルの手当てをするシーン、すごく丁寧に描かれていてドキドキしました。「なるべく痛くしないように」と言いながら、逆に毒を吐かれてムッとする流れ、二人の距離感が絶妙ですね。そして最後、ベルが痛覚麻痺かもしれないことに気づくレンブラントの戦慄……ここで一気に物語の空気が変わった感じがして、次が気になりすぎます!
「早くしろ。それとも、また俺に抱き上げられたいのか?」
有り得ない二択を突き付けられたベルは、即座に首を横に振った。
そうすればレンブラントは、もう一度ベッドを叩いた。
「なら、こっちに来い。安心しろ、なるべく痛くしないようにしてやるから」
(いやいや、気遣うところが違うんですけど……)
思ったままを口にできる空気ではないので、ベルは心の中でツッコミを入れる。
でもなんかもう面倒くさくなり、言われるがままベッドに腰を下ろした。
「んじゃ、始めるとするか」
ベルが観念すれば、レンブラントは言うが早いがベッドの前に膝を付いて、素早くベルの手を掴んだ。
「ちょっと、何するんですか」
「は?傷の手当だって言っただろ。見てみろ」
そう言ってレンブラントは、ベルの手のひらをひっくり返して見せた。
それを目にした途端、ベルはつい思ったままを口にする。
「……うわぁ、皮べろべろになってる」
「だから手当てをするんだろうが」
溜息まじりに返答したレンブラントの手には、もう薬瓶が握られていた。
しかしレンブラントは、すぐに薬を塗ることはしなかった。
ベルの手のひらをじっくりと眺めた後、薬瓶を一旦床に置き、別のものを手に取った。
「泥も落ちているし、砂も入っていないようだが、念のためもう一度拭くぞ」
「あー……大丈夫で」
「痛かったら言え。止めはしないが、手加減はしてやる」
ベルの言葉を遮ったレンブラントは、濡れタオルでそっと手のひらを拭い始めた。
「……痛いか?」
「いいえ」
「痛くないのか?」
「はい」
「本当に痛くないのか?」
「はい」
淡々と答えるベルに対し、レンブラントは動揺を隠すことができない。
だが、痛かろうが痛くなかろうが手当てをするのは決定事項である。そしてダラダラ時間をかけるより、迅速にやらなくてはならない。
そんなわけで、レンブラントはガーゼにたっぷりと傷薬を染みこませ、ベルの傷口に押し当てた。
ちなみにこの薬は軍で使用されているもので、効き目は強いが良く染みる。痛みに強い軍人とて、情けない声を上げる者が多い。
でもベルの表情は全く変わることが無かった。
「……おい、これも痛くないのか?」
「しつこいですね。痛くないって言ったら痛くないですよ」
「……おい、ここでやせ我慢をしても、何の意味もないぞ」
「逆にお尋ねしますが、痛くないのに痛いと言わせたら、あなたに何のメリットがあるんですか?あなたの嗜虐心が満たされるって言ったら心底軽蔑しますけど」
「あるわけないだろっ」
手当てをしている相手からなぜ毒を吐かれるのか、レンブラントは理解ができなかった。あまりの仕打ちに、ついムッとしてしまう。
だがその拍子に、ついガーゼを押し当てる力を強めてしまった。慌ててガーゼを傷から離すが、ベルの表情は相変わらず涼しい。
そこでふとレンブラントは、以前ベルの傷の手当をした時のことを思い出してしまった。
ベルは早く終われというオーラは全開に出してはいたが、痛いと声を上げることもなければ、薬が染みて顔を顰めることもなかった。
(……これは、どう考えてもおかしい)
我知らずレンブラントの眉間に皺が寄る。
この少女が雲をつかむような存在だというのは十分わかっている。だが、これだけは言える。
ベルは先天性なのか後天性なのかはわからないが、痛覚が麻痺しているのだ。
それに気付いた途端レンブラントは、全身に言い表すことができない戦慄が駆けめぐるのを感じた。