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「……まだ」
エリオットのその一言で、
完全にスイッチが入る。
チャンスは一瞬だけ目を細めて、
「分かってる」
低く返す。
そのまま、逃がさない距離で引き寄せる。
さっきまでよりも近い。
さっきまでよりも、深く。
でも——
荒くはない。
ちゃんと見てる。
ちゃんと合わせてくる。
「……っ、は……」
エリオットの呼吸が乱れる。
壁に押し付けられたまま、
逃げる気なんて、もうない。
むしろ——
「……来いって言ってるだろ」
自分から言う。
さっきまであんなに拗れてたのに。
チャンスはそれを聞いて、
ほんの少しだけ笑う。
「言えるじゃねぇか」
その一言が、やけに近い。
また距離が詰まる。
触れるたびに、
呼吸が乱れる。
言葉が続かない。
ただ、近い。
ただ、熱い。
「……っ、は……」
エリオットの指が、
無意識に強く掴む。
力が入ってるのに、
もう抵抗じゃない。
離れたくない、みたいな掴み方。
チャンスはそれを見て、
「……いいな」
小さく呟く。
「その顔」
余裕なんてないのに、
それでも見逃さない。
エリオットは一瞬睨もうとして、
「……うるさ……」
でも声が続かない。
呼吸が荒い。
さっきまでの強気はどこにもない。
ただ、全部持っていかれてる。
「ほら」
低く言われる。
「ちゃんと来い」
「……来てる、だろ……」
必死に返す。
でももう言葉も途切れがち。
チャンスはそれを聞いて、
「まだ足りねぇな」
って言う。
その一言で——
また引き寄せられる。
さっきよりも近く、
さっきよりも深く。
「……っ、は……っ」
呼吸が完全に乱れる。
空気が足りない。
でも離れたくない。
エリオットの肩が小さく揺れる。
「……無理……」
ぽつりと漏れる。
でもそれは拒否じゃない。
完全に、余裕がないだけ。
チャンスはそれを聞いて、
「分かってる」
即答する。
「でもやめねぇ」
低く、はっきり。
逃がさない声。
エリオットの指がさらに強く掴む。
「……っ、ほんと……」
息の合間に、
「ずるい……」
またそれを言う。
でも今度は、
もう抗議じゃない。
ほとんど甘さに近い。
チャンスは少しだけ笑って、
「今さらだろ」
って返す。
そのまま、額を軽く合わせる。
「でも」
少しだけ声を落とす。
「ちゃんと来てる」
確認みたいに言う。
エリオットは息を整えられないまま、
「……来てる……」
って返す。
その声はもう完全に崩れてる。
チャンスはそれを聞いて、
「じゃあいい」
って言う。
そのまま——
また距離が消える。
何度も。
何度も。
時間の感覚も曖昧になるくらい。
息が荒くなって、
熱が逃げなくて、
ただ近くて——
それだけで全部埋まっていく。
しばらくして。
やっと少し距離ができる。
「……は……」
エリオットはそのまま壁にもたれて、
呼吸を整えようとしてる。
でも全然整わない。
「……ほんと……」
小さく呟く。
「なに」
チャンスが軽く返す。
「……疲れた……」
正直すぎる一言。
チャンスは一瞬だけ黙って、
それから小さく笑う。
「まだ序盤だぞ」
「……は?」
エリオットが顔を上げる。
でもその顔はもう完全に赤い。
チャンスはそれを見て、
「冗談だよ」
って言いながら、
軽く髪に触れる。
「今日はここまでにしとくか」
少しだけ、優しい声。
エリオットは数秒黙って、
それから——
「……もうちょいだけ」
って言う。
さっきより小さい声で。
でも、はっきり。
チャンスは一瞬止まって、
それから、
「……欲張りだな」
って笑う。
でも拒まない。
むしろ——
「分かった」
って素直に答える。
その距離はまた、ゆっくり近づいていく。
さっきよりも少しだけ穏やかで、
でもちゃんと熱は残ったまま。
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