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タイトル:「その出会いは偶然で、必然だった」
休日の午後、何気なく入ったカフェは少し混んでいて、空いている席を探すのも一苦労だった。運よく見つけた窓際の小さなテーブルに腰を下ろして、スマホを眺めながらアイスコーヒーを待っていた。
ふと気配を感じて顔を上げると、目の前に男性が立っていた。
「すみません、ここ、相席でもいいですか?」
声をかけてきたのは――まさかの、二宮和也だった。
「えっ……に、二宮さん……ですか?」
思わず名前を呼んでしまったことに、自分でも驚く。彼はちょっとだけ困ったように笑った。
「バレたか。まぁ、そうです。気づかないふりしてもらってもいいし、普通に話してもらっても、どっちでも。」
ドキドキする心臓を落ち着けながら、うなずいて彼を向かいに座らせる。こんな偶然、あるわけがないと思った。夢なんじゃないか、と。
「たまに一人で散歩してると、こういうことあるんだよね。フラっと入った店で、思わぬ出会いがあったり。」
「それって……私のこと、ですか?」
自分でも大胆なことを聞いたと思う。でも、彼は穏やかに笑った。
「そうかもね。」
その日から、奇妙なやり取りが始まった。
連絡先を交換したわけでもないのに、なぜか数日後、また同じカフェで彼と会った。
「偶然? それとも……」
「……偶然ってことにしとこうか。運命とか言うと、怖がられそうだし。」
回を重ねるたびに、彼との距離が縮まっていくのを感じた。ふとした表情、静かな声、少し照れたような笑い方。テレビや映画で見る彼とは、少し違う気がした。
ある日、いつものカフェの帰り道。
並んで歩くあなたに、二宮がぽつりとつぶやく。
「ねぇ。今度は“偶然”じゃなくて、ちゃんと“会う約束”してみない?」
その言葉に、胸の奥がぎゅっと熱くなる。
「……うん、したいです。」
彼が照れくさそうに笑って、あなたの手をそっと握った。
その日から、「偶然」は「必然」へと変わった。