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今の生活に何も不満はない。
大学を卒業して新卒で入社したデザイン会社は、社員数こそ少ないものの、職場環境には恵まれており、賃金もそれなりのものである。
今のご時世、そう珍しくもなくなったのかもしれないが、9時出勤の17時定時であることも有難い。
おかげで、所謂アフターファイブもそれなりに充実している。
仕事柄、身なりにも気を配らなければいけないので、同世代の女性よりは比較的良い物を身につけているはずだ。
容姿は飛び抜けて美しいわけではないと思うが、別に大きなコンプレックスがあるわけでもない。
自分では『クラスで大体5番目くらいに可愛い』と思っている。
そんな私にも、悩みくらいはある。
同僚には贅沢な悩みだと言われるが、私にとっては割と深刻な悩みである。
それは交際を始めて3年になるパートナーとの関係である。
交際直後から同棲を始めたので、3年近く生活を共にしているわけだが、どうしても合わない部分に気づいてしまっている。
所謂、夜の営みってやつだ。
3年経った今も、毎晩のように求められることは、他人様からするとどうやら幸せなことらしい。
しかし、私はそうではない。
嫌、というわけでもない。
あまり経験人数が多いわけでもないが、恐らく体の相性とやらは良いように思う。
始まってしまえば、私だって人間だから高ぶるし、全てが苦痛というわけでもない。
だが、儀式のように毎日繰り広げられるその行為に言い表しがたい抵抗感が芽生えていることも事実である。それでも彼を不快にさせないように、演技をし続けなければいけない。
その行為が苦痛なのか、演技が苦痛なのか、最早わからなくなっていた。
それでも私は求められれば、彼が喜ぶように大袈裟に声をあげるのだった。