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朔と凜

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朔と凜

3 - 朔②

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2024年01月04日

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次に目が覚めた時には、陽は登りきっていた。

ひどい空腹感だった。

リビングに目をやると、昨晩、凛(りん)が作ったであろうご飯が用意されていた。

寝室の覗いたが、凛の姿はない。時間的に考えて出勤したのであろう。

昨晩の音が脳裏を過ったが、今はそれ以上に空腹を満たしたかった。

用意されたご飯に手を伸ばし、ゆっくりと食べ始めた。

この家に来て、早3年になる。

当初は、こんなに広い部屋が必要か?と疑問に思っていたが、今となっては有難く感じている。

私は、基本的に生活のほとんどを家の中で過ごすので、狭っ苦しいよりは今くらいの間取りの方が身体を動かさなければいけない分、健康的だ。

家から出たくないわけではない。

出れないのだ。

昔は、そうではなかった。

自分の足で外を歩き、好きな物を見たり、美味しい物を食べたりしていた。

ある日を境に、急にそれが出来なくなってしまった。

原因が何だったのかは、今となってはもうわからない。

ただただ、外の世界が怖い。

そんな私を凛は理解して受け入れてくれている。

私も凛の事は好きだ。愛していると言ってもいい。

ここに越してきた当初は毎日のように一緒に寝ていた。

私は凛を求めていたし、凛も私を求めてくれていたように思う。

しかし、ここ数ヶ月、どうも様子がおかしい。

私は自分が変わったつもりはない。

毎日のように求めているし、愛し続けている。

だが、凛はどこか上の空で、私が求める愛情に無理に合わせて応えようとしているようにも見える。

それどころか、別々の部屋で寝る事も増えてきた。

私は、働くことができない身分であるから多くは求められない。

それでも、凛からの愛情が目減りしていくことに焦りは感じていた。

そんなことを考えながら食べる凛のご飯は、冷めていても美味かった。

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