「さー、次いこうぜ!」
「なんでお前が仕切ってんだよ!」
勇斗の言葉にしっかり突っ込みを入れる小川さん達と共に二次会となるお店へ‥。
「げっ、寒っっ!」
外に出ると、風が強まりさらに寒さが増していた‥雪でも降るんじゃないかと思うぐらい寒い。
「さむーい!」
エリカさんがぴょんぴょん跳ねながら、身体を揺する。
すると‥どうぞ、と祐希さんが自分の上着を彼女にかけるのを見てしまった‥。
えっ、いいんですか♡エリカさんはとても嬉しそうに微笑む‥。
「‥そんなに寒いなら、なんであんなミニスカで来るわけ?謎だ‥」
小川さんが小さな声でぼやく‥。
俺に気を遣ってくれているんやろな‥‥‥。
二軒目のお店の前に着いた時、何気なくポケットに手を突っ込み指輪を探る‥‥‥触るのが癖になっているんだろうか‥
ん?
あれ?
‥‥ポーチはある‥でも中身が‥無い!?
慌てて直接ポーチの中身を確認すると‥‥‥
指輪が無い!?
ポケットの中も上着も全部確認したが‥‥‥
無い‥‥‥指輪だけ‥‥‥‥。
落とした!?
どこで‥‥‥‥‥‥
お店では確かにあったのに‥‥‥‥
どこかに落としたんだろうか‥‥‥‥‥
どくん‥。どくん‥。
一気に胸が苦しくなり、心音が響く。
どうしよう‥‥。
「藍?どうした?早く入ろう?」
店の入口で、なかなか入ってこない俺をみかねて勇斗が呼んでいる。
「あっ‥‥‥‥ごめん!ちょっと忘れ物したから取りに行ってくる、先に行ってて!」
「えっ、ちょっと‥藍!?」
勇斗が呼び止めるが、構わず走り出していた‥‥。
先程のお店に着き、忘れ物がなかったか確認するが、どうやら無いようだった‥。
俺は、最後に触ったであろうお店の入口付近でしゃがみ込み、キョロキョロと見渡してみる‥。
無い‥‥。
どうしよう‥‥‥‥。
まさか‥‥‥道でおとした‥?
来た道を戻ろうと腰を上げた時‥
目の前に‥‥‥勇斗がいた。
「藍‥‥‥何探してるの?」
「お前、ついてきたの?お店で待ってれば良かったのに‥‥」
「藍と一緒に行くからいい。で?何落としたの?」
「いや、別に‥大したものじゃないから‥」
大丈夫と言おうとした俺の肩を勇斗が握りしめる。
「そんな顔してて、大丈夫なわけないじゃん‥」
そっと、冷たい勇斗の右手が俺の顔に触れる‥
「一人より2人で探した方が確率上がるだろ!」
「‥うん、ごめん」
「何落としたの?」
‥‥言うのを躊躇ったが、『シルバーの指輪』と伝えると、勇斗はじっと‥俺を見たが、ゆっくりと足元を見ながら探しはじめた‥‥‥。
夜も更け、さらに風が強さを増し、寒さが肌に突き刺すようになってきた‥。
あれから、2人でキョロキョロとしながら指輪を探すが‥見つからない。
どうしよう‥‥‥。
どうしよう‥‥‥‥。
そう思っていると、ふいに雪が降り出していた‥
寒いわけだ‥‥‥
‥‥‥‥‥‥。
『藍?雪降ってきたけど‥大丈夫?』
途中で立ち止まってしまった俺を気遣いながら勇斗が、近づく‥。
「‥‥‥もうエエよ‥‥」
「えっ?」
「あんな小さいの、見つからんと思うし、勇斗も探してくれてありがとう‥」
笑おうと思った‥せっかくの食事会だったのに、わざわざ探しに来てくれた勇斗のためにも、見つからなくても何でもないと思ってもらいたくて‥
笑って‥‥‥‥‥‥‥
「藍‥‥‥」
勇斗の手が俺の頬を触る。
「まだ探そ?だから‥‥‥‥」
「そんなに泣くなよ」
止めどなく流れ落ちる俺の涙を勇斗の指が優しく拭ってくれる‥。
「‥‥ごめ‥ん」
勇斗が困っているのがわかるのに、泣くまいと思うのに‥
苦しい痛みが涙として溢れ出して‥止められなかった‥
「藍‥‥」
暫く涙を拭っていた勇斗が‥ふいにぎゅっと抱きしめてきた‥。
髪を撫で、背中をポンポンと優しく叩かれる‥
指輪はどこに消えてしまったのか‥‥‥
降り出した雪は、さらに強さを増し‥指輪を飲み込んでしまいそうだった‥
コメント
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エーリーカー… ストーリーにホント惹き込まれます👏
藍くん😭 必死に指輪探してるの健気すぎて指輪真相知ってるからか心臓がすごい締め付けられる😭どうか早く祐希さんと藍くんがまた仲良くできるといいな🥰そしてそれと同時にいつ藍くんの指輪の事は気づかれるのか楽しみです☺️