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自傷少女(3)
「教科書に書いてある通り____」
授業の内容が全然頭に入らない。私はジェハの優しすぎる行動にずっと疑問を持っていた。
私の関わってると自分まで嫌われちゃうかもしれないのに、周りなんか気にせずに私に話しかけてくるし私のそばにいる。どうしてそんなに私に優しいんだろう。他の人は私に優しくなんて絶対しないのに。
私の唯一の友達だから?私が可哀想だから?
いくら考えても答えは見つからない。
ずっとそんなことを考えているとソンフンくんから小さな紙を渡された。
“放課後、話したいことがあるから校舎裏まで来て。”
紙にはそう書いてあった。きっと悪口を言われるんであろう。
授業なんて聞いてられない私は寝たフリをした。
ジェハには先に帰っておいてと連絡し、私は言われた通りに校舎裏に来た。
「…どうしたの?」
聞かなくても分かってるけど、一応聞いといた。
「ごめんけど、これから俺と△△に関わらないでほしいんだ。」
「それは噂のせい?」
噂なのか、普通に私を見てなのか。私はそれが知りたかった。
「…俺が△△と付き合っているのは知ってるでしょ?」
「△△との時間を大切にしたいんだ」
ソンフンくんは困った顔をしていた。
「正直に言ってよ、私のことが嫌いなんでしょ?」
はっきり言って欲しい、そう思って思い切り聞いてみた。
「そういうとこ」
「え?」
「自分で傷作ったり、人の彼氏取ろうとしたりしてさ、してること最低なんだよ」
「○○さんにはこれ以上、悪者みたいになってほしくないから言ってるんだ」
そんなの自分が1番わかってるよ。私が聞きたいのはそういうことじゃないのに。
「もう遅いよ笑 私は性格も人生も、何もかも終わってる」
「好きなの、ソンフンくんのことが」
「好きだから仕方ないじゃん」
これこそ我儘だよね。ただの言い訳にしか聞こえないよね。
「…とにかくもう関わらないで」
最後に私に冷たい視線を向け、ソンフンくんはさっさと行ってしまった。
「あーあ笑、完全に嫌われたか」
我慢してた涙がどんどん溢れてきて止まらない。
自分が悪いのに、泣くのは私じゃないのに。
誰かに好かれたいという私の我儘1つでまた、
自分の人生を無駄にしてしまった。
何しても無理なのかな?どんなに努力してもダメ?
私はずっとひとりで泣いていた。
しばらく泣いていると落ち着いた。昨日も今日も泣くなんて私らしくないな。
教室の前まで来ると教室の中から声が聞こえてくる。まだ誰かいるみたいだ。その声をよく聞いてみると聞き覚えのある2つの声。私は気になって覗いてみた。
「お前さ、そういう言い方しかできなかったわけ?」
「…」
なんだかめちゃくちゃ怒っているジェハと、それを黙って見ているソンフンくんがいた。
いつも優しいジェハがなんであんなに怒ってるの?私はジェハが怒ってるとこなんて見たことなくて驚いた。
「あ、○○」
ジェハは私に気づいたのか、一瞬ソンフンくんを睨んでから
「帰ろっか」
「う、うん」
私に微笑みかけた。
「ジェ、ジェハ」
「ん?」
私たちは途中までお互い黙って歩いていたが、流石に気になった。なんであんなにさっき怒っていたのかが。
「あの、さっきの」
「はいこれ」
「、」
話、逸らされちゃったな。聞かれたくなかったのかな?
渡されたのを見るとチョコレートだった。
「だ、大丈夫だよ。ジェハが食べなよ」
私は今の状況で食欲なんて湧かなかった。
「いいから貰っとけ」
前を向いたままのジェハが答えた。
「ありがとう」
「どういたしまして」
それからまた、お互い喋らなくなってしまった。
さっきのこと、謝ろうかな。
「…ごめん」
「なんで謝るんだよ。○○は悪くないよ」
「でも…」
「俺がしたくてやってることだから○○は気にしなくていい、分かった?」
私の身長くらいまで屈んで、目線を合わせてきた。
私はその視線から逃げられなかった。
「う、うん」
私がそう言うとまたにっこり笑ったジェハが私の手を繋いでまた歩き出した。
家に帰ると疲れが急に溜まってきた。もう自分の身体に傷をつける目的がなくなったというのに、またカッターを取り出して、自分の腕に傷をつけた。
痛いなんてそんな感情も失いそうなくらい、人生に疲れ始めていた。
今日も悪夢を見るのかな、悪夢というより実際に体験した過去か。
どこにいても嫌われて傷つくように作られているようなもんだよね、私って。生きる意味なんてあるのかな?
私はジェハから貰ったチョコレートを取り出す。
今日の晩ご飯はこれでいいや。
チョコレートを食べてると自然と涙が出てきた。
今の私にはジェハしかいない。
でもこの関係がいつ壊れてもおかしくない。
私はジェハと離れる怖さから涙が止まらなかった。
To be continued…