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視線を泳がせてながらハンドルを操作している。
もうこの反応で大体予想はついたが、自分からは言いたくないので、あえて返事を待った。
「…藤塚さんが…やたらムキになって雛瀬さんに言い返してるところを全部…ごめん。」
ちょうど信号が赤になり、車が停止したところでようやく答える。
罰が悪そうな態度。最後の謝罪はどういう意味だろう。
(なるほど。つまりは…私の店長に対する気持ちが全部聞かれていたわけか。)
意外にも、あっさりとその事実を受け入れることができた。
「別に…謝らなくてもいいですよ。それで…店長は、どう思いました?迷惑だったとか?」
「め、迷惑なわけないじゃないか!!」
ぎこちなかったが、即答だった。
どきり、と私の心臓が小さく脈打つ。
「正直、嬉しかったよ。あの時から藤塚さんとは気まずいままだったからさ、俺、てっきり嫌われたかなって思ってたから…。ずっと話しかけたかったんだけどうまくいかなくてね。」
はは、と自嘲気味き笑い、再びアクセルを踏む。
(そっ…か。店長も…私と…同じ気持ちだったんだ。)
胸の真ん中がじわりと暖かくなった。トクン、トクン、と優しい音を立てる心臓に手を当てる。
ここから…込み上げてくる気持ちは何なんだろう。
「ご…めんなさい…。」
無意識に口から謝罪の言葉が漏れる。
ところが店長は全力で首を横に振った。
「い、いやいやいや!!藤塚さんは悪くないさ!!どうせまた俺が無神経なことを言ったんだろう?」
「…違うんです。」
「え…?」
店長は、一瞬だけ私の方を見て、すぐに運転に集中する。
「店長のせいじゃ…ありません。私…店長が、雛瀬さんのことを褒めたのが面白くなかったんです。それに、雛瀬さんと仲良くしているのを見るのも嫌でした。」