ジミンside
正直体調は良くなかった。入院してから熱はずっと下がらないし、胸も苦しいし、今日はお腹も痛い。
1番辛いのは、ベッドに寝たきりなこと。車椅子に乗ってトイレに行くこともできないなんて。一日中横になっているとあちこち身体も痛くなってくるし、どんどん気が滅入ってきてしまう。
最近は、気付くと涙が出ていることもあるんだ。なんで泣いているのか、自分でも分からないんだけど…。
でもテヒョンが来ると、僕はちょっとだけ元気になる。最近は病院のごはんもあまり食べられなくて、食べてもすぐ戻してしまうんだけど、テヒョンの食べさせてくれるチョコパンだけはなぜか食べられた。
テヒョンは僕の身体を拭いてくれて、一生懸命僕の世話をしてくれた。僕が勝手な行動をしたせいで入院になってしまって、悪いのは全部僕なのに。
テヒョンと話をしていたら、看護師さんが病室に入ってきた。
「ジミンくん、ちょっと確認なんだけれど、お通じの方はどうかな?出そう?」
「いや、で、出ないです…」
「そっかー。最後に出たのは何日前だったかしら?」
「入院する前だから…5日前…」
「うーん結構出てないね…困ったなぁ。やっぱり寝たままだと出にくいのかな。ごめんね、ちょっとお腹を触らせてね。」
「あーお腹もちょっと張ってるね…痛くはない?」
「ちょ、ちょっとは…痛いかも…」
「そっかー。ジン先生と相談してくるけど、これは浣腸して一回出しちゃった方がいいかもね。ジミンくんもこのままじゃ苦しいでしょ?ちょっと先生に確認してくるから待っててね」
「………(泣)」
僕は顔が真っ赤になってしまって、もう泣きそうだった。
「テヒョンー浣腸だって…どうしよう(泣)」
「う、うん…でも、このままじゃ…。ジミナさ、本当は結構お腹痛いんじゃないの?」
「うん痛い…。なんで…分かったの…?」
「さっきからお腹おさえてるじゃん。大体分かるよジミナのことは…」
数分して、看護師さんが浣腸と差し込み型のおまるのようなものを持って病室にやってきた。
「ジミンくん、頑張ってお通じ出しちゃおうね。怖がらなくて大丈夫だよ。テヒョンくんは病室の外で待っていてくれるかな?」
「えー!テヒョン行かないでー!(泣)」
僕は思わずテヒョンに手を伸ばした。
「ジミンくんがその方がいいなら、テヒョンくんにもいてもらう?」
「う、うん…。」
僕は、怖くてガタガタ震えていた…。そんな僕の目の前にテヒョンはしゃがんで、両手で僕の顔を包み込み、言った。
「ジミナ大丈夫だよ。俺がついてるから。がんばろう?」
看護師さんはその間にも、僕の腰の下に防水シートを敷いたり、浣腸のキャップを外したり、使い捨ての手袋をはめたり、おまるの用意をしたりと着々と準備をしている。もしかして排便までここで横になったままするってこと!?恥ずかしすぎる…。僕はもうパニックだった。
「ジミンくん、準備できたから横向きになってね。ちょっと足は曲げるよ。ごめんね、汚れたら困るから、ズボンと下着は脱いじゃおうね」
あれよあれよという間に僕は下半身裸にされてしまった。こ、怖いよ…。
「はいじゃあ浣腸入れてくね。ゼリー塗るからちょっと冷たいよ。ジミンくん、ゆっくり深呼吸して。力を抜いていてね。動いちゃダメよ」
僕の肛門にゼリーが塗られ、ノズルが差し込まれた。生温かい液体がお腹の中に入ってくる…。僕はギュッと目をつぶって、その違和感に耐えた。
「はい、もう終わったよ。入れるのはあっという間だったでしょ?でね、多分すぐにお腹が痛くなってくるけど、5分は我慢してね。すぐだと薬だけが出てきて効果が無くなっちゃうから。今から5分計るね。」
看護師さんが僕の腰にバスタオルを掛けてくれた。1分ぐらい経つと、お腹が猛烈に痛くなって、便意がわいてきた…。
「あー!お腹痛い〜(泣)もう出ちゃいそうです…」
「今出ると困るから、肛門押さえておくね。お腹痛いよねーがまんがまん。まだ2分しか経ってないよ〜。」
「うぅ…いたーい…あぅ…(涙)」
お腹も痛いし、肛門の辺りもめちゃくちゃ痛くてもう限界だ…。
看護師さんに指で肛門をしっかりと押さえられてしまい、僕は惨めな芋虫のように、身体を丸めて耐えるしかなかった…。泣く余裕すらない。
テヒョンは片手で僕の手を強く握り、もう片方の手で僕のお腹を一生懸命さすってくれた。
「4分経ったから、あと1分だよー。ジミンくんもう少しだけ我慢だよー」
「ジミナ、あとちょっとだって!がんばって…」
「うぅぅぅ…うぅ……」
返事をする余裕もない…。
「はい5分経ったよ。ジミン君仰向けになって、膝立てられる?今おまるをお尻の下に差し込むからね。お尻浮かせてー。はい、出していいよー」
僕の中の溜まっていたものが一気に出てきた…。は、恥ずかしい…。僕は汗だくだった。
看護師さんが、僕のお尻を温水洗浄器で洗い、拭いてくれる…。
「ジミンくんよくがんばったね。ちゃんと5分我慢できてえらかったね〜。お腹、楽になったでしょ?」
「ジミナ〜大丈夫…?」
テヒョンは僕の頭を撫でると、タオルで僕の汗を拭ってくれた。
だけど…看護師さんが病室から出て行きホッとした途端、僕の中で我慢していたものが爆発してしまった。
「うわぁぁぁぁん……(泣)」
「ヒッ…ヒック…。テ、テヒョン…怖かったし、すごく苦しかったし、恥ずかしかった…。なんで僕は…ヒック…こ、こんな目に…合わないといけないの…。もう嫌だよ…こんなのたくさんだ!!」
僕は腹立ちまぎれに布団をバンバンと叩いた。涙がとめどもなく流れ出てくる。
病気なんだから仕方ないとは分かっていても、さっき看護師さんにされたことがショックで悲しくて、自分が惨めだった。なんだか自分の尊厳まで失われた気がして…。
自分の身体もこの出来損ないの心臓も大切にしようと決心した筈なのに、この世界から消えてしまいたいような気持ちがしていた。
テヒョンは何にも言わずに、泣きじゃくって震える僕の背中をさすり、ずっとずっと手を握ってくれていた。
こんな姿はオンマにだって見せられない。僕が僕の弱さを出せるのは、テヒョンの前だけなんだ…。
どれぐらい泣いただろう。泣き止もうと思っても嗚咽が止まらなくて、苦しい…。いつの間にか僕は眠ってしまっていた。
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