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白米のお米抜き
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PSS(ネタエビ)
第1話:濡れたダンボールと不器用な耳
その日は、朝からずっと鳴り止まない雨の日だった。
アスファルトに叩きつけられる雨滴の音が、街全体をくすんだ灰色に塗り潰していく。僕はいつものようにビニール傘を深く差し、少し重い足取りで公園の横を歩いていた。水たまりを避けるように歩道の端を進んでいた時、ふと耳の奥に不思議な音が届いた。
「……キュ」
雨音の隙間に落ちた、風鳴りとも鳥の羽ばたきともつかない、小さなかすれ声。気になって足を止め、公園の隅にある古びたベンチの下を覗き込んだ。そこに置かれていたのは、水を含んでフニャフニャに潰れかかった小さなダンボール箱だった。
膝をつき、傘を肩に傾けながら箱の隙間を覗く。中にいたのは、濡れ鼠のように小さく丸まった「何か」だった。
犬のようでもあるし、猫のようでもある。しかし、そのどちらとも言い切れない不思議な毛並みと、体にそぐわない少し大きめで不器用な形をした耳。僕と目が合うと、そいつは湿った鼻をピクピクと動かし、もう一度「キュ」と小さく鳴いた。
理由なんて考える余地もなかった。僕はさしていたビニール傘を地面に置き、着ていた厚手のコートを脱ぐと、濡れたそいつを優しく包み込んだ。
僕のコートのポケットは、いつも物で溢れている。使い古したハンカチ、メモ用紙、意味もなく拾ったどんぐりやきれいな石ころ。それらのガラクタを押し開けるようにして、抱き上げた温かい塊をコートごと抱え直す。
「冷たかったな。帰ろうか」
そいつは僕のコートの中で身を縮め、僕の胸元にそっと頭を寄せてきた。腕の中から伝わってくるかすかな体温と規則正しい鼓動が、僕の薄いシャツを通してじんわりと皮膚に染み込んでくる。雨はまだ降り続いていたけれど、僕の足取りは、行きよりもほんの少しだけ軽くなっていた。
コメント
1件
ああ、もうめっちゃ好きなやつだこれ!雨の日の湿った空気とか、ダンボールの隅で震えてる「何か」との出会い、雰囲気だけでグッとくるわ。特に「キュ」って鳴き声が可愛すぎてやばい。ポケットにどんぐりとか石ころ入れてる主人公の不器用な優しさもたまらん。続きの関係性がどう育つか、すごく気になる〜!