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「この世の中に人間は向いていない」貴女が言った。
『…そうだね。』
それ以上に何か言えることもなく 貴女がつくったドーナツを見つめる。
嫌いなの?って聞いた貴女の顔は不安そうで、悲しそうだった。
「そういえばもうすぐバレンタインだね。」
『なにつくろうかな』
「つくってくれるの?」
『どうだろうね。』
私が貴女を好いていると確信して放たれる言葉
全てが針のように心に刺さった。
ハンカチの上のドーナツと手にあるクッキー
ほろっと口の中で溶けてなくなる心地よい甘さが
詰まった喉を通り抜ける
「…やっぱりバレンタインはいらないかな。」
『そっか。』
【バレンタイン 検索 ↖】
「日本では『女性から男性へチョコレートを渡す』ことがバレンタインの風習となっています。諸外国では、「男性から女性へ… 」
満月の光に照らされて、貴女の長い髪が風に揺れる。
下を向けば海。上を見れば月。周りを見渡せば闇。そんななか、光へ向かって
「月が綺麗だね」
と呟いた。
どれだけ顔を見ても 目が合うことはなく
下唇を少し噛んでいた。
『でも、今夜は星のほうが綺麗だよ』
そういいながらドーナツを半分こして貴女に差し出す。
受け取ろうとする貴女の掌には爪の跡が残っていた。