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47 ◇声音が優しくて、心臓がきゅっとした
「ううん、良かったってこと」
「じゃあ、僕と同じだね」
どこへ行くでなし、家で楽しめるアイテムなんてそうそうないもんね~。
よしっ、夏はこれからも『花火だぜっ』
来年、私たちは……私はどんな気持ちで過ごしているのだろう、なんて
思った。
来年も4人で一緒に花火ができたらいいよねぇ~。
そんなささやかな幸せを願ってふと、夜空を見上げると、南の空に
土星と少し離れて木星が見えた。
「星が見えるよ~」
と私が言うと、男子3人も一斉に空を見上げた。
「あっ、ほんとだっ。星だ、光ってる~」と、圭。
「ふふっ」
気がつくと――――
私の隣にいた美代志くんも同じ方向を見ていた。
星を眺めるために、私は元居た場所から少しズレていたみたいで、
美代志くんの立っている場所に知らず知らず、近づいていたようだ。
彼の腕が私の腕に触れそうなくらい彼を近くに感じて、焦ってしまった。
思わず私は息子たちの様子を伺ってしまう。
ふたりとも、星を見るのに意識を集中していて、焦る必要はなかった。
私が少しだけ身じろぎすると――――
「あ、ごめんなさい」
と、美代志くんが小声で言った。
ただの距離の調整――なのに、その声音が優しくて、心臓がきゅっとした。
謝ることなんて何ひとつないのに……。
私は首を横に振り、
「ううん。大丈夫……」
とだけ囁くように小声で答えた。
そのふたりだけの遣り取りの最中、お互い、ほんの一瞬だけ目が合った。
――その一瞬の時が、線香花火の“終わる瞬間の光”みたいに、胸に残った。
◇ ◇ ◇ ◇
息子たちがやり終わった花火を1本ずつ拾い集めてバケツに片付け始める。
そのタイミングで美代志くんが、吹く風で乱れた私の髪をそっと指で
直してくれた。
私はにっこりと彼に笑顔を向けて『ありがとう』と、口パクで気持ちを
伝えた。
自分のことを気遣うしぐさに……
羽のようなフワリとした指先の軽さに……
花火を見た時のきれいな儚さとは別のもので心揺さぶられ、胸の奥が
じんわりと熱くなった。
なんだか私たち3人で帰るのが……
美代志くんを置いて帰るのが……
なんだか寂しく名残惜しかったけれど、私たちは花火の片づけをしたあと、
帰宅した。
「「「おやすみなさい」」」
「おやすみなさい」