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さらに驚いた事に教員デスクの前にはオフイスで使うような大きなコピー機。幾つも並べられた長机にはLANケーブルに繋がれたデスクトップPCとノートPCが二台あり、コンパクトなレーザープリンターも幾つも並んでいる。
「レーザープリンターは一人、一台使えるんですか!? プリンターに対してパソコンが少ないから、先輩方のほとんどが持ち込みの専用ノートパソコンですよね?」
「そうだ。部員の全員がパソコンを持ち込みでやっている。部室に置いてあるパソコンは共用の予備で置いてある。プリンターはご察しの通り、専用で使える。小説作品をいざ発表するとなると、いくら速いレーザープリンターでも順番待ちになったり、同じタイミングで印刷すると、他人の小説の原稿が混ざってしまうからな」
「それにこれって……大丈夫なんです?」
書也は何かを見つけ、長机の並びを抜ける。そこには二つのソファが対面するように置かれ、ガラステーブルには木皿が置かれ、袋詰めした様々なお菓子が詰め込まれている。
「何かを考えるには糖分が必要という事で、部員がお土産のお菓子を持ってきたり、部員のOBの差し入れがあったりする。テーブルのお菓子やキッチンのコーヒーや冷蔵庫の物を飲み食いして良い事になっている。ただし、自分の物を冷蔵庫に入れる時は名前を書いて付箋を付けろよ。誰かに食べられても知らん」
愛愛は既に来るなり、木皿にあったチョコチップクッキーをポリポリと頬張り始めている。
「コーヒーメーカーもあるじゃないですか!? クッキングヒーターに水道にポットまで……」
広いシステムキッチンにはクッキングヒーター、コーヒーメーカー、電気ポット、電子レンジ、食器洗浄機まで置かれている。さらに上の棚を開けると、マグカップ、紙コップ、マドラー、砂糖、ミルク、コーヒー粉、紅茶葉、お菓子、鍋、フライパンなどが備わっている。
「どんだけ金あるんですか? 部費とか聞いて良いですか?」
システムキッチンの横には書也と同じ背丈の冷蔵庫が置かれ、各種一人、一日一本までと書かれたマグネット付きのミニホワイトボードが冷蔵庫の前に貼り付いている。冷蔵庫を開けると、栄養ドリンク、缶コーヒー、ゼリー飲料まであった。冷蔵庫の横にはストックとして栄養ドリンク、缶コーヒ、ゼリー飲料の各種ケースが山積みとなっている。
「部費に関しては、あの貯金箱だな」
テーブルに五百円玉貯金箱が置かれている。書也が持ってみると、ずっしりと重い。
「え~と……一人、三千円いや五千円ぐらいですか?」
「一月、最低五百円だ。もちろんそれ以上でも構わない」
「嘘ですよね? あのシステムキッチンですよ!? 最低五百円の部費で、こんな施設が揃うんですか!?」
「キッチンに関しては卒業生で異世界の料理の話を書きたいという奴がいてな……強力なスポンサーが願いを叶えたというか……」
教子先生が頭を掻き、答えにくそうに言う。
「スポンサーって……畳のフロアもそうなんですか? どんだけ気に入られているんですか!? PTAや役員の方が支援してくださってるんですか?」
ひな壇のように段差となっている畳のフロアにはビーズクッションやエアーベッド、毛布、枕などが置かれている。
「おい……そこは!?」
教子先生が声を上げるが、書也は何気なく畳に上がっていた。そこだけ照明が点けられておらず、薄暗い畳スペースには実写がプリントしてある赤い抱き枕のような物が置かれていた。
「誰です? 地下アイドルの抱き枕を置いたの? 柔らかくて良い素材……」
書也は抱き枕のような物を持ち上げようとすると、低反発な素材か何かか、柔らかい感触がした。だが、その抱き枕のような物に印刷された実写プリントが頬を紅潮させたかと思えば、睨む目つきに変わった。
「この変態!」
抱き枕のような物に印刷されたプリントが動いたかと思えば、パチンと音を立てて、平手打ちをされた。
「いたたっ!? 抱き枕が動いた!?」
書也は頬を押さえながら、赤い抱き枕とプリントと思われた女子生徒を見比べる。どうやらビーズクッションで埋もれていただけのようで、勘違いしたらしい。このフロアだけ少し薄暗いせいもあるだろう。
「何が地下アイドルの抱き枕よ! まさか新入部員にいきなり胸を触れるなんて思わなかった!」
「すまない……そっちのフロアは照明が別のスイッチになっていたから、見えにくかったんだろ」
教子先生が壁にかかったリモコンのボタンで照明を点け、畳のフロアを明るくした。
「本当に信じられない! 愛の知り合いの新入部員が来るからって聞いてたから、同じ女だと思っていたのに……まさか男とはね!」
ラノケン部員と思われる女子生徒はそっぽを向く。赤い髪をポニーテールにし、黙っていれば大和撫子と言われるほどの良い顔立ちだが、寝不足か目の隈で少し人相が悪い。
「ごめんね、友美ちゃん。わざとじゃないと思うんだよ。許してあげて……ほら、書也君も謝って」
「本当にすいませんでした!」
書也が深く頭を下げると、ちらりと友美は書也に視線を向ける。