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造花を見るとつい買ってしまう。
愛する妹の為に頑張るのは姉の務めだ。
だけど。 最近、どうしようも無く嫌気がさす。
当たり前が羨ましい。
私の妹は世間でいう発達障害者だ。かなり重めの自閉症を生まれ持っている。
自閉症だからって愛さないわけじゃない。大事な大事な私の妹なのだ。
お母さんもお父さんも妹の対処に苦労しているのは見て分かった。
私は、何も言えない。寂しさも望みも口に出せやしない。我慢するしかない。
妹が時折、嫌いのなりそうになる。
勿論、妹だって望んでこんなふうに産まれたわけでは無いことぐらい私でも分かっている。
分かっているんだ。なのに、悲しくなる。虚しくなる。周りが羨ましくなる。
皆が当たり前のようにする喧嘩だって、一緒に登校することだって、私はやった事ない。
当たり前が私にとって特別なのだ。
そんな特別を心の底から望んでいるのだ。
でも、こんな事思い続けても無いも変わらない。
変わらないなら、せめて前向きな事を考えて生きていきたい。
妹の事も自分の事も大切にしたい。
出来るだけ妹と遊んだ。
遊んだ分、分かるようになってきた。妹は花が大好きな子だ。造花を渡したら物凄く喜んだ。
人の辛さが分かるようになった。
雰囲気で辛い気持ちを感じ取れるようになった。だから、同じ部活の葵ちゃんの苦しみが痛々しく伝わってきた。
葵ちゃんは強いから。きっと今までたくさん我慢してきたわだと思う。
なら、こっちから言うしかない。
私は、妹の為に買ったゼラニウムの造花を隠し持ちながら、勇気を振り絞った。
友達の証として、何とか造花を渡せた。
葵ちゃんと友達になれるのは普通に嬉しい。学校の人気者をいざ前にするのは緊張した。
そんな事を考えつつ、私は家の鍵を開ける。
自室に荷物を置き、ジャージを洗濯に出そうして下に移動した。
一階には帰ってきた時には気づかなかった妹が遊んでいた。
「ただいま、雪花」
「おかえり!」
「何してるの?」
「お花作ってるの!」
そういう雪花の手元には、粘土で作ったのであろう花のような物体があった。
「お花!」
「上手だね」
自信満々に見せる雪花の花を褒めた後、目的を果たす為に、その場を後にした。
幸せって些細な日常にあると思う。
当たり前が幸せに必要な物だと常々感じる。
だけど、当たり前が無いからって幸せを諦めてはいけない。
私は私なりに努力していく。 愛情を胸に必死に生きていく。
そうすれば、いつか辛そうな皆を笑顔にできるかもしれない。