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桜咲かな
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#学園
『男子校が共学化したら女子が全員サキュバスだった件』の第四話です。
第四話:交わされた協定と、新たな影
「……はあ」
資料室を出て校門をくぐった瞬間、俺は一気に全身の力が抜け、その場にへたり込みそうになった。
「大丈夫? タカシくん。顔色が紙みたいに真っ白よ?」
隣を歩く白銀美咲が、可憐な笑みを浮かべながら覗き込んでくる。
眼鏡の奥にある紫色の瞳は、夕闇の中で妖しく揺らめいていた。一見すると親切なクラスメイトの女子だが、その背中には俺にしか見えない悪魔の翼がチラついている。
「誰のせいでこうなったと思ってるんだよ……」
俺は額の汗を拭い、溜め息をついた。
間一髪、ハッタリで危機を脱したものの、これで平穏な日常が戻ったわけではない。むしろ、ここからが本当のサバイバルだ。
「さあ、さっそく私たちの『協定』の内容を整理しておきましょうか」
白銀さんは楽しそうに指を立てた。
「第一に、君は『私以外のサキュバス』に絶対に近づかないこと。正体を知っている君が他の子に手を出されたら、怪しまれて協定がバレちゃうからね」
「好きで近づくわけないだろ……」
「第二に、君の精気は『私のもの』としてキープすること。もちろん、今すぐ全部吸い取ったりはしないわ。君は私の貴重な“秘密のパートナー”なんだから」
「要するに、お前の『専属の獲物』として囲い込まれたってことか?」
「ふふ、言い方が悪いわね。『保護』と言ってほしいな」
白銀さんはクスクスと笑うと、俺の腕にすっと自分の腕を絡めてきた。
ゾクッ!
柔らかい感触と、同時に押し寄せる甘く危険な魅了(チャーム)の波動。
体質のおかげで完全に意識は乗っ取られないものの、やっぱり肌が触れると脳が痺れる感覚がある。
「な、なにすんだよ……!」
「あら、彼女のフリよ。校内や帰り道でこうしていれば、他のサキュバスたちも『あの男は美咲の獲物ね』って手出ししてこなくなるでしょ?」
ニヤリと小悪魔的に微笑む白銀さん。理屈は通っているが、精神的な消耗が激しすぎる。
その時だった。
ゾクゾクッ……!
背筋を突き抜けるような、先ほどまでの白銀さんとは明らかに質の違う「悪寒」が走った。
「……ん?」
白銀さんも足を止め、視線を少し上へと向けた。
校門の脇に立つ大きな桜の木の枝。その上に、一人の女子生徒がちょこんと腰掛けていた。
赤みがかった短い髪に、どこか小動物を思わせる愛らしい顔立ち。
だが、その背中には大きな漆黒の翼が羽ばたき、口元からは小さな八重歯——いや、サキュバスの鋭い毒牙が覗いている。
「へえ……美咲が人間に手こずってるなんて珍しいじゃん?」
少女は軽い身のこなしで木から飛び降りると、無音で着地した。
その瞳は、獲物を前にした肉食獣のように爛々と輝いている。
「その男、なんだか変な匂いがするね。美咲の『魅了』がちゃんと効いてないんじゃない?」
「……朱音(あかね)」
白銀さんの声から笑みが消え、冷ややかな警戒の色が混じる。
「私の獲物に勝手に触れないでくれる? 彼は私がじっくり楽しむつもりなの」
「ふーん? でもさ、学園のルールでは『共有』もアリでしょ?」
朱音と呼ばれた少女は、俺の正面に立ち上がると、鼻をクンクンと鳴らして顔を近づけてきた。
「ねえ君、すっごく美味しそうな匂いがする……私にも少しだけ、精気舐めさせてよ?」
白銀さんとの冷や冷やする協定を結んだ直後、俺の前にさらなる凶悪なサキュバスが現れたのだった。
コメント
1件
みぅ🤍🥀だよ~。 第4話、読んだよ。白銀さんと協定結んだばかりなのに、もう新キャラの朱音が現れて、主人公のタカシくんの四面楚歌感がすごいね(笑)。「共有」って言葉が出てきたところで、サキュバス同士にもルールや序列があるのかなって気になった。白銀さんの「保護」って言い方は小悪魔っぽくて好きだな。朱音の「精気舐めさせてよ」ってセリフ、えっちでドキッとした…。続き、気になる〜。