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花後雨

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【第六章】不浄の子

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2022年08月08日

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「おやおや、巫女様ではありませんか!!」

あれは誰だったか…うちの家紋が付いた着物を着ているということはこの家の者で間違いはないだろう。しかし、僕は集まり何度か参加する程度の位の者と本家にいる者の顔は全員覚えているが、彼の顔は一切覚えていない。おそらく、かなり下位の者だろう。話が聞こえない。会話を遮って連れ出すこともできるが、彼女の事だから無下にはできないだろうから、しばらく様子を見よう。僕は会話を聞くために、彼女にとりつけられている盗聴器を起動させる。これは本来、巫女が一人で行動する際に逃亡するのを防ぐために使う物だが、この盗聴器は何かあった時のために少し細工している。

「あら、こんばんは、桂木様。」

彼女は丁寧に挨拶をした。あの男は桂木と言うらしい。

「今夜は、送り人を連れてらっしゃらないのですか?」

「あの子は今あちらで待機していると思います。」

彼女は、待機所を指差しながらそう言った。

「そうですか。しかし、随分と見違えられましたな!舞いも完璧でしたぞ。」

「ありがとうございま…

「これなら誰も元が不浄の子だとは思いますまい!!」

その瞬間、辺りは騒然とした。

僕は人混みを掻き分け、彼女を庇うようにして桂木の前に立ちはだかった。

彼女は目に光を失い、固まっている。

「おやおや、送り人殿ではありませんか。あちらで待機なされていたのでは?」

「桂木殿、先程までのやりとり全て録音させていただきました。この盗聴器のデータは、本家にある僕のパソコンに常時送信されるようになっています。この音声データは後日、当主様に提出いたしますので、これ以上大事にしたくなければ、速やかにここからお立ち去りください。」

すると桂木は、「クソガキが!」と悪態をつきながら、走り去って行った。

「大丈夫ですか?」

「はい、大丈夫です。」

彼女は笑顔でそう言ったが、震えていた。


後日、僕は当主様に呼び出されたので、ついでに音声データを提出することにした。

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