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何故彼女なのか。
何故彼女だけがこんなにも傷付かなければならなかったのか。
何故彼女が死ななければならないのか。
それはずっと前から、心の隅にあったこと。
「失礼します。」
僕がそう言うと、襖が少し開いた。
僕はゆっくりと襖を開けて中に入ると、そこには当主様と高位の分家の者達が座っていた。
おかしい。いつもこの部屋には当主様しかいないはずだ。
「……あれが不浄の…」
「……よくもまぁ、のこのこと…」
「…まぁ汚い。」
ああ、気持ち悪い。
小さくても、耳に刺さるように聞こえてくる蔑み、罵倒の言葉。今に始まったことではない。しかし、この者達は彼女がいる前ではこのような言葉は口にしない。何故なら、巫女の立場は当主様と同等に扱われる程高いものであり、彼女が言ったこと、言われたことは常に録音されている。だから、彼らにとって僕ははけ口に丁度いいのだろう。
役目を終えれば、送り人は消えるのだから。
「当主様。此度はどのようなご要件でしょうか。」
もうこの際、早く終わらせてしまおうと思い、僕は要件を聞く。
「ああ、そうだねでは始めようか。」
すると、先程まで話していた者達が一斉に静まった。
「君たち、今日は来てくれてありがとう。先日の祭りは皆のお陰で素晴らしいものになったよ…と、言いたいところなんだけどねぇ…。」
「何か問題が起きたのですか!?」
一人がそう言うと、当主様が「まぁまぁ、落ち着いて。」と言うと、少し間を開けて話し始める。
「ねえ、送り人くん。何か、僕に渡すモノはないかい?…例えばそうだねぇ…、誰かの暴言の記録とか?」
「!?」
「当たりかな?」
見られていた?それとも僕にも監視がついているのか?
「まぁ色々と気になることはあると思うけど、とりあえずその記録渡してもらえるかい?」
「………はい。」
「なるほど、未だに巫女の立場が理解できていない者がいるらしい。それはこちらでどうにかしておこう。しかし送り人くん、君も自分の立場を理解していないね。」
「…え。」