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#探偵
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月呼はくるると別れてから、自分の部屋へと戻る。侑加はソファに寝転んでいた。月呼が戻ってきたのがわかると、上体を起こして座る。月呼は持ち物をしまうと、侑加のとなりに腰かけた。
「お腹がすいた」
侑加が月呼の服をつまむ。部屋にキッチンはあるけれど、部屋の冷蔵庫には飲み物しかない。なにか食事を作れという意味なのだと察する。
「私、階下にあるキッチンルームでなにか作るね。待っていて」
ここでゆっくりしようと思っていたのもつかの間、月呼はすぐに部屋を出た。
「……私はあなたのお母さんかっ!」
廊下を歩きながら、そこにいない侑加に対してツッコミをいれる。けれども、自分のことを頼ってくれるのはうれしい。
一階のキッチンルームには別れたばかりのくるるがいた。ひとり、コップの水を飲んでいる。
「くるるちゃん」
月呼は後ろから声をかけた。人が来るとは思っていなかったようで、くるるはびっくりした様子となる。
「なにをしているの?」
「低用量ピルを飲んでいたのよ。あたしも乙丸さんみたいに月経困難症なの」
「ああ」
それで荷物を返してほしかったのかと、月呼は思った。
「前沙はなにをしに来たの?」
「侑加くんがお腹がすいたっていうから、おやつを作ろうかと思って」
「『お腹がすいた』って。仙敷さんって意外とかわいいところがあるのね」
くるるはキッチンルームに初めて来た月呼に説明するように、室内にある棚に収納されてあるものを見せる。その棚は扉の前板を押すだけで開くタイプのようだ。
「ここはあたしたちの食事を作っている厨房とは別のようだけれど、食料はある程度そろっているみたいよ。船が使えなくなったとかで、本島に行けなくなった時のためかな。離島だから、日持ちするものがほとんどみたい。だから、料理するとなると、作るものは限られるわね」
そこにはインスタントラーメンやレトルト食品などが大量に備蓄されている。自然災害に備えてだろう、乾パンもあった。日本の大手製パンの食パンや菓子パンも多くある。
「パンって長期保存ができないけれど、局員が食べているのかな」
月呼は疑問に思う。
「あたしたちに提供している食事は手作りなのにね。きっと、仕事量が多くて、ゆっくり食べる時間もないんじゃない。参加者のことも交代制で常時監視しておかなきゃならないだろうし」
くるるにそう言われると、ここの局員たちが仕事の片手間にインスタントラーメンや菓子パンを食べている姿が浮かぶ。
月呼は冷蔵庫のドアを開ける。肉や野菜の他に、卵や牛乳もあった。調味料も充実している。
他の棚を見ると、ホットケーキミックスがあった。月呼は考えた末、ホットケーキを焼くことにする。家で弟たちにホットケーキを作って食べさせることもあるので、手慣れていた。
コメント
1件
つかであきひろさん、第16話読みました! 侑加くんが「お腹すいた」って服をつまむ仕草、ちょっと子どもっぽくて可愛いですね。つい「お母さんかっ!」とツッコむ月呼さんの心境、わかります😂 そしてくるるちゃんとの再会シーン、低用量ピルの話が自然に出てきて、女性同士のリアルな会話だなと感じました。ホットケーキミックスを見つけて手際よく作ろうとする月呼さん、昔を思い出しつつも今の関係性がじんわり伝わってくるエピソードでした。続きが気になります!