テラーノベル
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二人前のホットケーキを焼くと、カートを使って最上階まで持って上がる。
「お待たせ」
月呼はダイニングではなく、窓側にある丸テーブルでの食事を求めた。ふたりは向かい合って座る。
ホットケーキにはバターをのせ、メープルシロップをたっぷりとかけてあった。
「……おいしい」
侑加はナイフとフォークを使ってひと口食べただけで、黒目がちの目を輝かせる。
「私の腕前より、ホットケーキミックスそのものの味が大きいね」
「毎日でも食べたい」
「毎日はさすがに飽きるよ」
侑加のあまりの高い評価に月呼は照れた。人差し指でほほをかく。
「飽きないよ」
侑加はむきになった。彼はたまに言動が幼く感じる部分がある。そこがまたいい、と彼より二歳年上の月呼は母性本能をくすぐられていた。
侑加は口を少し開けて、自分の唇を舌で舐める。
「うっ……」
彼のそのしぐさは月呼の心をはげしく動揺させる。自分はその唇とこれから何度もキスしなければならない。
月呼は頭がくらくらとする。ちゃんと座っていられなくなり、体は左に傾いた。イスの脚のバランスを崩し、ついにはイスごと床に倒れてしまう。
「前沙さん!」
すぐに侑加が駆け寄った。
「大丈夫!?」
月呼の体に触れて、呼びかける。
「うん、大丈夫。バランスをくずしたみたい」
あなたの色気のせいで気を失った、とは言えない。
「頭を打った?」
「少し打ったかも」
「それはまずい。少し横になった方がいい」
侑加が月呼の体を抱きかかえる。
「わっ……」
さすがは男性と感じさせる体力だ。侑加は月呼をベッドに寝かせた。
「ありがとう」
「水はいる?」
「もらおうかな」
月呼の目には献身的な侑加の姿が映っている。月呼が体調不良でこのゲームをリタイアとなったら、侑加としても嫌だろう。そうなると、三億円が一千万円となるからだ。侑加がここでがんばるいちばんの理由はそうに違いない。そう思いつつも、月呼の胸をときめかせる。
「局員を呼ぶ?」
「大丈夫」
「安静にしていて」
侑加は月呼の髪を何度もなでた。
ここまで手厚く看護されなくとも、もう歩けるはずだ。しかし、侑加にまだ優しくされたいがために、月呼はもう少しこのままでいておこうと思った。
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コメント
1件
やばすぎるよこの回…!!🍳💕 ホットケーキ食べてるだけでこんなに胸きゅんになるのズルすぎる😭 侑加くんの「飽きないよ」が幼くて可愛くて、月呼さんの母性本能くすぐられるのめっちゃわかる〜〜〜!! あと、しぐさで転んじゃう月呼さんも、それに優しく駆け寄る侑加くんも、もう尊いの塊…✨ 「まだ優しくされたい」って思う気持ち、完全に恋だよね!! もうこの先どうなるか気になって仕方ないよ〜〜〜次回も楽しみにしてるね!!📖💕