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ラウールSide
🤍「みんな、大丈夫なのかなぁ」
部屋で1人、スマホ片手にゴロゴロする俺、ラウール。
悪魔の報道が出てから数日、急に仕事も無くなって、みんなとも会えなくなって、暇ったらありゃしない。ふと、めめは今ごろ何してるかなーと電話をかけようとしたら、しょっぴーから電話がかかってきた。
🤍「もしもし?」
💙「なあラウール、照から連絡来てないか?!」
🤍「え?何もないけど……何かあったの?」
💙「照と連絡がつかないんだ!」
🤍「……うそでしょ?」
💙「ほんとなんだって!マネージャーにも連絡して探してもらってるけど、街は悪魔とゾンビだらけでまともに動けないし……」
そんな、なんの前触れもなく岩本くんがいなくなるなんて……絶対何かあったに違いない。
🤍「……俺、探してみる!」
💙「は?無茶すんなよ!」
🤍「無茶じゃないよ!!岩本くん探すよ、俺も!」
いてもたっても居られなくて、俺はしょっぴーとの電話をすぐに切って家を飛び出した。
人のいない街は、本当に静かだった。
何も考えずに飛び出してきたけど、もしかしたら岩本くんは悪魔に連れ去られたとかそんなのかもしれない……
そのことを思い出すと、静けさも相まってこの世界が本当に怖かった。
でもとにかく、思い当たるところを全て探した。何もしないなんて、出来なかったから。
🤍「あれっ、ここは……?」
気がつけば、見たことない場所に来ていた。夢中で走り回っていたから、すっかり迷子になってしまったみたいだ。スマホで位置情報を確認しようとする前に、ふと……目の前にあった劇場が、気になってしまった。
🤍「……ちょっとくらいなら、いいよね」
自分の好奇心が抑えられず、俺は劇場の中に入った。
見たことない映画ポスターが貼られ続けている狭い廊下を通り、開けた場所に出る。どうやらここが、劇場の中心らしい。
🤍「チケット売り場とか、何もなかったけど……?」
不意に、ギィ、と音を立てて入ってきた扉が閉まり、目の前のテーブルが照明に照らされた。
テーブルには小さな箱。劇場は劇場でも、人形劇の劇場みたいだった。ドアが閉まっているので外に出ることも出来ず、俺はとりあえずその人形劇を見ることにした。
思ってたよりも面白いその人形劇に夢中になっているうちに、どうしてだか瞼が重くなってきた。
🤍「こんなとこで寝ちゃ、ダメなのに……」
岩本くんも探しにいかないとなのに、俺は瞼の重さに絶えられず目を閉じてしまった。
――これが、思い出せる俺の最後の記憶だった。
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