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ドアが閉まった音が、やけに重かった。
誰も、すぐには歩き出さない。
【あっと】「……行こう」
先に足を出したのは、あと兄だった。
休日の昼なのに、車の音だけが目立つ。
【まぜ太】「……追い返されなかったな」
【けちゃ】「……説教もされなかった」
【ぷりっつ】「……それが、一番きつい」
誰も否定しなかった。
しばらくして、ちぐさがぽつりと言った。
【ちぐさ】「……守られてた。
ちゃんと……囲まれてた」
【けちゃ】「……うん」
思い出す。
前に立つ、紫髪とピンク髪の人。
後ろに立つ、オレンジ髪と黄色髪の人。
横に並ぶ人、青髪と赤髪のいつもの人。
(俺たちの時は)
(……そんなの、なかった)
【まぜ太】「“戻ってこい”って、
言えなくなったな」
【あっと】「今は言う必要、ない」
歩幅を、少し緩める。
【あっと】「俺たちがやるのは、
場所を取り戻すことじゃない」
【あっと】「信頼を、作り直すことだ」
信号が直前で赤になり、止まる。
【ぷりっつ】「……あっきぃ」
名前を呼ぶけど、届かない。
【ぷりっつ】「俺、急がないから。
謝る回数、増えてもいい」
【けちゃ】「……僕も」
【まぜ太】「……距離感守る」
【ちぐさ】「……優しくする」
短いけど、確か。
信号が青になる。
【あっと】「……連絡は、短く」
【あっと】「要求しない、選ばせる。
わかった?」
全員、うなずく。
角を曲がる前、俺は立ち止まった。
【ぷりっつ】「……あそこ」
【ぷりっつ】「守られてたの、悔しいけど、
……救われた」
誰も、笑わない。
【あっと】「……同じだ」
また歩き出す。
家に帰る道なのに、
「戻る」って感じじゃない。
【まぜ太】「……俺ら
今から、兄になるんだな」
【けちゃ】「……遅刻だけどな」
【ちぐさ】「……間に合うよ」
その言葉に、誰も否定しなかった。
五人は、同じ方向に歩く。
でも、同じ速さじゃない。
それでいいと、
初めて思えた帰り道だった。