テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
ゆゆゆゆ
#Paycheck
ゆゆゆゆ
#Paycheck
コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!
朝の光がカーテンの隙間から差し込んでいた。
部屋は静かだ。
ベッドの上で、二人はまだ眠っている。
チャンスは仰向けのまま。
片腕は少し曲がっていて、その腕の上には――
エリオットの頭。
金色の長い髪が枕に広がり、少しだけチャンスの腕にもかかっている。
しばらくして。
エリオットのまぶたがゆっくり動いた。
「……」
目を開ける。
数秒、ぼんやり天井を見る。
それから。
すぐ隣を見る。
チャンス。
まだ寝ている。
結ばれた銀髪が少し崩れている。
サングラスも帽子もない顔。
普段よりずっと無防備だ。
エリオットは少し目を細める。
「……」
静かに観察する。
呼吸。
まつ毛。
少しだけ緩んだ表情。
それから小さく笑う。
「寝てると静かだな」
もちろん返事はない。
エリオットはそのまま少し体を起こした。
でも完全には離れない。
まだチャンスの腕の上に頭がある。
しばらく見てから。
エリオットの視線が下に落ちる。
チャンスの胸元。
白シャツ。
そして――
黒いネクタイ。
寝てる間も、外さなかった。
エリオットの口元が少し上がる。
「……あ」
小さく呟く。
手を伸ばす。
ネクタイの先。
指でつまむ。
くい。
チャンスの体がほんの少し動く。
エリオットは笑う。
「やっぱりこれだな」
もう一回。
くい。
今度は少し強め。
チャンスの眉が少し動く。
まだ目は閉じたまま。
エリオットは楽しそうに言う。
「起きろよ」
またネクタイを引く。
くいっ。
その瞬間。
チャンスの手が動いた。
エリオットの手首を掴む。
「……」
低い声。
まだ少し眠そうだ。
「エリオット」
エリオットはニヤッと笑う。
「おはよう」
チャンスは目を開ける。
少しぼんやりした目。
それから。
ネクタイを握っているエリオットを見る。
小さく息を吐く。
「……朝からか」
エリオットは肩をすくめる。
「癖」
チャンスは数秒黙る。
それから。
エリオットの手首を軽く引く。
距離が少し縮まる。
エリオットが少し驚く。
「……チャンス?」
チャンスはまだ眠そうな声で言う。
「引くなら」
少し近づく。
「最後までやれ」
エリオットは少し笑った。
そして。
ネクタイをもう一回引いた。