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そうして着いた場所は薄暗くて
土砂降りが降ってるとこ。
ふと前を見ると、座り込んでいる人が居た。
「え、大丈夫ですか?!」
そう言って駆け寄ると
「ぇ…」
と驚かれてしまう。
そして
「君は…青の地の…」
と言った。
なんで知ってるの?
もしかしてこの人がスパイ金魚を送ってきた
張本人ってこと?
そんなことを思っていると
「俺は千秋、赤の地。君は?」
と問われる。
「叶向…青の地」
それよりこっちの条件は赤の地の女帝を
殺すことで名前を変えるという報酬だが、
そっちの条件と報酬はなんなんだろう。
そう思いながら聞く。
「私からも質問いい?」
「いいけど…」
「そっちの条件と報酬は?」
と問うと
「多分そっちと同じだと思うけど」
「条件は青の地の帝王を殺し、報酬は現実へ帰れるということ」
やっぱり互いに敵っていうことね。
だとしたらここでこの人…
いや、千秋を人質にしたら
簡単に報酬を得られるんじゃないか?
そんな悪魔のような考えが頭に浮かぶ。
だとしてもどうやって捕まえよう。
そんなことを思っていると、
「そっちの報酬は?」
と聞かれる。
「……名前を変えること」
と言うと
「別に今のままでもいいんじゃない?」
と言ってくる。
何も知らないくせに。
「可愛いしかっこいいし似合ってると思うけど」
「私がどれだけ辛い思いしてるかあんたはわかんないんでしょうね!!」
「だって『千秋』だなんて普通で羨ましいし!!」
「私だって普通の名前が良かったのに!!」
そう言ったと同時に花弁が舞う。
そうして花弁は千秋を包み込んだ。
が、この花弁は私にしか見えていないようだ。
この花の名前ってなんだっけ?
確か…『藤』の花。
舞っていた花弁が徐々に地面へと落ちては
消えていく。
そこで目にしたのは最悪なものだった。
それは千秋が倒れているということ。
触れると身体は冷たく、
まるで凍ってしまっているように。
「もしかしてこれのせい…?」
そう不安を声に出しながら寒珋から貰った
ブレスレットを見る。
ブレスレットについていた欠片のうち、
1つが割れていた。
きっと魔法が発動したのだろう。
でもなぜ?
発動方法は特に教わっていないから
分からない。
しかもこの藤の花は何?
そう思っていると
「千秋!!御主、千秋に何をした?!」
どこからか浴衣姿の女性が出てきては早々、
私の胸ぐらを掴んだ。
「私は何も───」
「身体が冷たい…?まさか殺めたのか!?」
「お前みたいな人間がいるから妾は人間を嫌ってるんじゃ!!」
話も聞かずにどんどん会話を進められて行く。
「いやだから…」
反論しようと口を開いた。
その瞬間、
景色は夏のような場所へと変わった。
周りを見渡せば緑ばかり。
目の前には千秋をお姫様抱っこした
赤の地の女帝。
象並みに大きい白猫。
そして寒珋の姿があった。