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5.落ち込み
“チャポンチャポン
洗面台から雫が落ちる音がする。
また目が覚めてしまった。起きたくもないよ。
ずっと前から決まってたこの日。
お母さん、出張なんだよなー。
お父さんは物心ついた頃から居ない。
兄弟もいない私は今日から半年1人になる。
どーせ学校は行きたくないけど。
お母さんは朝早くに出ていった。
もう家には誰もいない。
今何時だ。
布団から手だけだしスマホをとる。
マズイ。
11:30と表示されたスマホを私は2度見した。
学校に電話していないから。無断欠席…?
急いで電話をかけた。
笠井先生出るかな。って思ってもやっぱり出るはずはなく、
担任だった。
はぁ。居場所ってなんだろ。
典型的にいじめられたわけじゃない。ただ行けなくなった。
行こうと思うと頭が痛かったり胃が痛かったり。なにか締め付けられる感覚に襲われる。
誰もわかってくれるわけ…ないよね。
痛いの。何もかもが。
楽になりたいの。
明日は学校行きたいな。
遅れてでも門を開け入ることができた。
『失礼します。2-2東雲です。遅刻届けをもらいに来ました。』
『お、おはよ、東雲。体調はどう?』
『んーびみょーです。』
『そうか。』
でも。私はやっぱ頼りたいよ。
『先生。今日お話したいです。』
『わかった。放課後でいい?』
『はい。すみません。』
そう言うと先生は少し目を見開いて
『そんなこと言うな。俺が話せって言ってるんだから』
といってくれた。
学校頑張る理由ができた。
授業は楽しくない。みんなの騒ぎ声が聞こえる。
私だけなんだか遠い感じがして。
孤独ってこういうことなんだろうな。
誰も私なんかみてない。
話しかけても来ない。
『くんなよ。サボり。』
蘇る。
空耳だから。大丈夫だから。
そう言い聞かせても息が上手くできない。
『はぁ、は、、ぁぁ、』どうしよう。
そうだ。トイレに、
でも、先生のところ行くと、みんなに見られる。
最近こんなことばっかり考えるようになったな。
とにかく影を薄く。
『はぁ、はぁ、、、』前が見えない。
もうむり、
だめだ。
『東雲!東雲!!!聞こえるか!?』
だれ?笠井先生かな笑
そんなわけない…よね。
『東雲!』
“ハッ
一瞬にして視界が戻った。
ここはどこ?目の前は白い。
そして少し暗い。
起き上がって周りを見渡すと保健室だった。
『東雲!』
『ん…せ、せんせ、い?』
『そうだ。大丈夫か?授業中に倒れたって聞いて。』
『そ、っか。』
そうだったんだ。あの声はやっぱ先生だったんだ
『なにか飲むか?』
『はい、』
先生は私の様子をうかがって、水とお湯を混ぜて白湯を作ってくれた。
『飲める?』
『はい。』
ゆっくり飲む。ほんのり暖かい水は私の心を温めた。
『せんせい。先生今授業中じゃないんですか?』
『なにいってんだ。もう19:30だぞ?』
19時?
『え、え!!!7時???夜の???』
『あぁ、』
『こんな時間まで寝てたの私??』
『そうだよ』先生は私に向かって鼻で笑っている。
『帰らないと。』
私は急いでベットから降りようとした。その瞬間
あっ。
頭がふらつき転けそうになる。
『東雲!』
“バサッ
暖かい。
私は先生に抱きしめられていた。
まぁほぼ事故だけれども。
それでも何もかもを思い出してしまい怖くなった。
クラスの子に言われた言葉。
行動。
孤独。
私は先生の胸の中で泣いていた。
夜の暗い保健室に先生と。
初めて本音を告げた。
『こわかった。』
私がそうつぶやくと、先生は抱きしめてくれていた手を私の頭の上に乗せさすってくれる。
『だから、抱え込むなって言っただろ。』
先生の低い声。なのに、すごく暖かく感じる。
私の心臓は張り裂けそうなほどバクバクしている。
先生の胸の近くに耳を当て先生の心臓の音を聞く。
落ち着けるようなスピードで、安心感をおぼえた。
『東雲。家まで送るよ。こんな時間になったし』
『いえ。大丈夫です。』
家に誰もいないなんて言ったら多分先生はすごく心配する。
優しいんだもん。
『そうか、?じゃあ親御さんに電話だけでも。』
『いい!大丈夫だから!』
『んー、だったら送っていくよ。ほら。いくぞ。』
私はどうしてもバレたくなくてうずくまった。
『おい。行くぞ???どうした?』
『1人で帰れる。』
『はぁ。』ため息?なんで、私めんどくさいかな。
“フワッ
私は体が宙に浮いていた、前も同じようなことが。
『俺が送るから。』
お姫様抱っこされている。
『先生、親には電話しないでね、』
『どうしたんだ?』
先生の瞳が綺麗で、吸い込まれそうだった。
でももう言うしかないと思った。
『帰り話す。だから下ろして?』
『いや下ろさない。逃げるだろ』
いつも通らないルートで外に出る。
駐車場に着くと車のドアをあけ私ののせてくれる。
『ありがとうございます。』
先生は何もいわず運転席へ向かう
少し冷たいんだよなー。
『話してよ。』
『私今1人暮しなの。』
『…は?』
『だから!お母さん主張で!お父さんは物心ついた頃からいなかったの!!』
『そんなことかよ。』
そんなこと?呆れてるの?結構勇気振り絞ったんだけど?
ていうかここは驚くところじゃない??
『そんな事って…』
『じゃあ今日は俺ん家泊まる?まだ話聞いてやれてねーし。』
『…え??』
どういうこと?先生の家?
『って、冗談だよ。じょーだん!』
『えー?なんだぁ、』
『今期待したろ?』
『はぁ!?してないし!!』
先生ってこんな面白い人だったっけ。
みんなが知らない先生をどんどんしれているような気がして嬉しかった。
『家どこ?住所教えて』
『○○町××番地』
『俺ん家近いじゃん。』
『ほぇー、まじすか。』
なんと反応していいのかも分からず少しばかり沈黙になった。
沈黙の後家に着いた。
『大丈夫か?着いたけど。』
『うん。明日は学校行けないかも。』
『そうか。来れそうな時に来ればいいよ、』
先生としてどうなの。その発言は。
『ありがとうございます』
『じゃあな、しっかり休めよ。』
『はい。』
『おやすみ。』
『おやすみなさい。』
初めて先生とかわしたお休みという文字。
なんだか特別感をかんじた。