テラーノベル
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連れてきてもらった素食レストランで、僕はビビり倒していた。
「おばちゃん、今日来る人本当に怖くない?大丈夫?」
緑おばちゃんは「大丈夫よ!」と笑った。
「ぜんっぜん怖くないから! 千歳ちゃんは確かにものすごく強い怨霊だけど、自分から暴れたことないし、素直でかわいい子よ。見た目錦くんと同じくらいだし」
「それは聞いたけど」
「和泉さんもおだやかで礼儀正しい人だから。優しい人よ」
「うん……」
そうだけど、千歳さんって怨霊はこないだの和束ハルにとどめを刺した怨霊だし、和泉さんって人は和束ハルのアキレス腱を探し当てた立役者だっていうし、緊張するよ……。
前に会った、狭山誉さんと金谷あかりさんの話はすごく参考になった。2人に、「好きな仕事をしながらこの業界を副業にするのだってできる」とか、「自分は早く結婚したけど、これ以上ない相手に早く出会っただけだから、周りからお見合いとか結婚の話を持ちかけられても嫌なら断っていい」って言われてずいぶん安心したんだけど。
いろいろ考えていたら、知らない声がかかった。
「こんにちは、お待たせしてすみません」
『ごめん、遅かった?』
男女の二人組が僕の眼の前に現れ……女の子の方から、僕は目を離せなくなった。
これまで見た中で、一番きれいな女の子だった。その子が、ぼくを見てにっこり笑った。
『こんにちは! 朝霧錦くんか?』
「は……はい!」
僕の声はひっくり返ってしまった。女の子はまた笑った。
『大丈夫だよ、ワシら怖くないから。仲良くしような』
「は、はい!」
仲良くしてくれるの!? こんなきれいな女の子が仲良くしてくれるの!?
緑おばちゃんが立ち上がって言った。
「こんにちは、今日は来てもらっちゃってすみません。錦くん、こちらが金谷千歳ちゃんと和泉豊さん」
緑おばちゃんは男女のそれぞれを示しながら名前を呼んだ。え、この絶世の美少女が千歳さん!?
「よっ、よろしくお願いします! 朝霧錦です!」
『うん、よろしく!』
「よろしくね、別に俺達は普通に暮らしてる人で、何も怖くないからね」
和泉さんの方も優しく言ってくれたのだが、はっきり言って千歳さんの方にしか目がいかない……。
緑おばちゃんが言った。
「今日は顔合わせというか、できれば錦くんとこれから仲良くしてほしいなって場です。お互いのこといろいろ教えあってあげてください」
そういう訳で、料理を食べながら僕達はいろいろ話した。僕は、緑おばちゃんに促されて、今は新高1で、これまでこういうことに縁がないと思っていたから緊張している、などを話した。千歳さんは本当に怨霊で、これまで成り行きで地縛霊を成仏させたり、悪霊を倒したり、和束ハルを倒したりしてるんだって。どの辺が怨霊?
和泉さんが苦笑しながら言った。
「千歳はどこが怨霊? って感じなんだけど、千歳は俺のことを子々孫々まで祟るって言っててね、俺が転んで祠にぶつかって壊しちゃったから」
「そうなんですか」
「でも、その時俺はすごく体を壊してて貧乏だったから「多分俺で末代」って言ったら千歳は困っちゃって、子孫残させるためにすごく世話してくれて、体は治ったんだけど結婚しそうにないんで怒られてるんだ」
「しないんですか、結婚?」
「まあ、いろいろあってね」
和泉さんがそう言うと、千歳さんがむくれた。
『なんか、好きな人はいるらしいんだけど、その人が恋愛興味ないからって全然ナンパしないんだよこいつ』
「千歳、その辺はあんま暴露しないでもらえませんか……」
和泉さんはマジの困った顔で千歳さんに懇願した。
『まあその辺の説教は後にするか。で、さっきも言ったけどワシは怨霊で、家事したり、御札なんかに霊力込めたり、除霊の手伝いとかしてるぞ』
「そうなんですね!」
僕は千歳さんの方の話が聞きたい。
『ぱっと見でワシが怨霊ってわかんなかったみたいだな、今は霊薬飲んでるのか?』
千歳さんと話せて、僕は舞い上がりそうだったけど、頑張って真面目に答えた。
「今は飲んでません、あんまり見えすぎるし分かりすぎるんで、慣れるまで飲むときは詳しい人が近くにいるほうがいいってなってて」
緑おばちゃんが言った。
「今日は私がいるし、飲んでもらっててもよかったんだけど、飲んで霊力が分かる状態だと千歳ちゃんのこと怖がっちゃうと思って」
『へへへ、怨霊だけど別に怖いことしないぞー』
千歳さんはふざけて手を前に出して垂らす幽霊のジェスチャーをして、僕は気を使ってわざとふざけてくれる千歳さんのことがもっと好きになってしまった。
それからもなるべく千歳さんと話すようにして、食事会がお開きになるころに、僕は勇気を出して千歳さんに連絡先を聞いた。
『ん? うん、LINEでいいか?』
LINE!? インスタじゃなくてLINE!? これは距離縮められてるんじゃないの!?
「LINEがいいです、お願いします!」
そういう訳で、僕は一目惚れした女の子のLINEをゲットした。
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がくじゅつてき・あかげ
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わーい
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コメント
1件
番外編、めっちゃ良かったです!錦くんのビビりっぷりから千歳さんにひと目惚れするまでの流れがもう、初々しくて微笑ましくて……。あの「絶世の美少女が怨霊」ってギャップもそそられますし、怖がらせないように幽霊のジェスチャーしてくれる千歳さんの優しさにグッときました。LINEゲットおめでとう、錦くん!この先どうなるか気になって仕方ないです。