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番外編「人間なのに」
ヒドラとの戦いを見届けた後。
閻魔は腕を組み、静かに呟いた。
「……やはり、おかしい。」
鬼が尋ねる。
「何がですか?」
閻魔は古流斬が去った方向を見つめる。
「あやつは人間じゃ。」
「本来、人間は悪魔や地獄の生物ほど身体能力も体力も高くない。」
「寿命も短い。」
「それが普通じゃ。」
鬼は頷く。
「はい。」
閻魔は続けた。
「だが古流斬は違う。」
「悪魔と互角以上に渡り合い。」
「地獄の魔獣を圧倒し。」
「何百年、何千年と戦い続けた者たちについていける。」
「……普通ではあり得ん。」
傲慢は静かに口を開く。
「経験の差は、本来なら埋まらない。」
「私は長い時を生き、戦い続けてきた。」
「他の大罪も同じだ。」
「それでも、あいつは二十八年でここまで来た。」
閻魔は苦笑する。
「そこなんじゃ。」
「二十八年で追いつくどころか、一部では追い越し始めておる。」
鬼は信じられないという表情を浮かべる。
「人間の成長速度ではありませんね……。」
傲慢は小さく笑う。
「だから面白い。」
「あいつは常識の外にいる。」
「努力だけでは説明しきれない。」
「だが努力を怠ったこともない。」
閻魔は深く頷いた。
「才能。」
「努力。」
「過酷な環境。」
「そして、能力の特異性。」
「全てが重なって、今の古流斬がおる。」
少し間を置き、静かに笑う。
「だからこそ。」
「人間なのに、ここまで来たあやつは……。」
「やはり規格外じゃな。」
遠くでは、当の古流斬がアイスを食べながらのんびり歩いていた。
本人はそんな話をされているとは知らず、呑気に呟く。
「次の休み、何しようかなぁ。」
その姿を見た閻魔は苦笑した。
「……あの気楽さも、あやつらしいの。」
コメント
1件
ああ、なるほど。ここで「人間」って輪郭を改めて見せてくるのか……。確かにヒドラ戦とか見てると、もう怪物枠かと思ってたけど、そうじゃなくて「人間のまま規格外になった」っていう構造がむしろ異様な説得力を持ってるな。閻魔たちの分析が冷静で、なおかつちょっと感慨も混じってるのがいい。当の本人がアイス食べながらのんびりしてるギャップも、なんか好きだなあ。
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