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アリィ「んー!!美味しい!!」
ジーク「そりゃよかった。」
シリル「本当に君達って料理上手だよね。」
ジーク「昔ある人に扱かれてな…。それまではそのまま直火で焼くくらいしか出来なかったけどな。」
(まぁ…その教えてくれた人が誰だったかは覚えていないんだけどな。)
アリィ「私はジークに教えてもらったんだよ。」
ジーク「そうだっけ?」
アリィ「そうだよ。」
ジーク「イリアは口にあっ…たか…」
ジーク達がイリアの方を向くと、皆の声が聞こえないほど一心不乱にステーキにかぶりついているイリアが見えた。
シリル「…相当気に入ったねこれ。」
ジーク「まぁ悪い気はしないけど…そんなにがっついたら喉に詰まるぞ。俺は一応水を持ってくるな。」
アリィ「はーい。」
イリア「んぐっ!?げほっごほっ…!!」
シリル「なんて早すぎるフラグ回収…。」
イリア「…元々この辺りだけ氷柱の生えた悪魔のせいで気温が下がってて、出来た雲中の成分が蒸発しなくなっていた。だから雨が降っていた。これが1つめの原因。」
セドリック「あぁ。」
イリア「それで2つ目の原因。その雨雲がどこから出来ていたか。それはここの水路から。ここくらいにしか水はないもの。もちろんここから1番近くのオアシスからもあるでしょうけど…そもそもここの水路自体オアシスから引っ張りあげてる。その肝心のオアシスには悪魔の死体が突っ込んでた。」
セドリック「その悪魔の毒性のものがオアシスに流れ出していた…と。」
イリア「そういうことよ。既に問題は解決したわ。ただオアシスの悪魔の死体処理は…」
セドリック「こちらで解決しておこう。しかし…悪魔同士が争うのは聞いたことがないな…。とにかくお疲れ様。本当に助かったありがとう。」
イリア「じゃあお代を頂くわね。…今回は金貨1枚からになるけど…」
セドリック「金は惜しまない。それに命の危険があったんだから妥当な値段だろう。」
イリア「そう言ってもらえてよかったわ。」
イリアは広間のソファに座り一息つく。
イリア「……疲れた…。」
アリィ「…あ。」
ふと、アリィと目が合う。
イリア「アリィ、もう結構遅いんだから明日に備えて寝なさい。」
アリィ「そんなに?」
イリア「ええ、じっとするのが辛いのは分かるけど明日が大変よ?」
アリィ「はーい…。」
イリア「元々は何するつもりだったの?」
アリィ「ただの探索だよ。ここ広すぎ…一日で周れなかったよ…。」
イリア「ふふ。」
アリィ「イリア、何飲んでるの?」
イリア「コーヒー。」
アリィ「私には寝なさいって言うのに…。」
イリア「私はどのみち寝れそうにないからいいの。」
アリィ「ずるい…。」
イリア「じゃあ飲む?ブラックだけど…」
アリィ「遠慮します。」
イリア「ふふっ。」
アリィ「…イリアはさ、隠し事を言えてよかったね。」
イリア「?」
アリィ「言ったって話、ジークからちょっとだけ聞いたんだ。」
イリア「…そう。でも正直これでよかったのか…なんて思わずにはいられないわ。」
アリィ「寝れそうにない原因も?」
イリア「…ええ。」
アリィ「正解なんて分からないよ。…でもイリアは楽になれた?」
イリア「…楽になれた…ね…。確かに今は少し肩が軽いかもね。」
アリィ「自分が楽になれたなら私はいいと思う。隠し事って、抱えてるだけで疲れるものだし。…最終的には誰にも言えなくなっちゃうからね。とにかく今まで、お疲れ様。」
そう言ってアリィはイリアの頭に手をぽんぽんと置く。アリィはくるりとUターンし、部屋に戻っていこうと走っていく。
イリア「まっ…」
アリィ「じゃあおやすみ!」
イリア「…おやすみ。」
イリアはそう言って、アリィに小さく手を振る。
シリル「ふわぁ…。」
ジーク「シリル、夜更かししてたのか?珍し…ふわ…」
アリィ「あくびってうつるよね。」
シリル「夜更かしはしてないよ。ただちょっと疲れてるかも…武器の手入れを休憩あまり取らないでやったから…」
ジーク「そんなんで大丈夫か…?」
アリィ「イリア?さっきから喋らないけどどうしたの?」
イリア「今話しかけないで。あくび出そうだか…あふ…無理だった…。」
アリィ「あくび我慢はキツイって。」
ポルポル「ギュ〜」
イリアは何も喋らずポルポルを指さす。
ジーク「初めて聞いたぞその声…。」
アリィ「ポルポルってあくびとか出来たんだ…。ふわ…」
イリア「移ったってことは本当にあくびみたいね。」
シリル「嘘そこで判断する?」
4人は雑談を交わしながら、歩いていく。2方向に分かれた看板の目の前で、4人は足を止める。
ジーク「ここまでみたいだな。」
イリア「そうね。色々助かったわ、ありがとう。」
ジーク「こちらこそ。じゃあまたな。」
シリル「またねー。」
アリィ「またね。」
ポルポル「ギッ。」
4人と1匹は挨拶を交わすと、反対方向に分かれていく。
アリィ「…あんなにあっさりした別れでよかったの?」
ジーク「2人も言ってただろ?また会えると思うって。あそこで今生の別れのように、悲しんだりしたらまた会った時気恥しいだろ。」
アリィ「あははっ、なにそれ!…でも私も確かにこれを最後にしたくはないな。結構あの2人好きだったかも。」
ジーク「俺以外のヒトも好きになれたみたいでよかった。」
アリィ「正直私今まで皆に嫌悪感とか疑心感を抱いて接してたけど…あの二人には何も考えず話せるかな。」
ジーク「そりゃよかった。でもアカネくんは?」
アリィ「あの子はアンドロイドだから、ヒトには含みません!ノーカン!」
そう言ってアリィは頭の上に腕で大きなばってんを作る。
アリィ「…それに、アカネ君の開発にはベツさんも携わってるんだよね。」
ジーク「…悪いヒトではないと思うんだけどな…何か隠してる気がするんだよなぁ…。」
アリィ「まぁでも全部大っぴらにしろっていうのも無理難題だし、しょうがないね。」
ポルポル「ギー!」
アリィ「どうしたの?あっ!見えてきた!」
ジーク「永夜国…。…なんか…暗くね?」
アリィ「これじゃ暗国だ。」
ジーク「誰が上手いこと言えと。」