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転生者アリスの襲来により離脱した僕は廊下を歩き人気の少ない場所を目指す。
校舎を出て校舎の入り口を出て遠目に入り口の門が見えるが、そこから右に曲がりまっすぐ進むと学生が茶会の庭園がある。
そんな庭園は入学式が終了した直後で人気がない。
だが、人目につくわけにはいかないため、そこも突っ切り少し歩くと建物と建物が隣接している隙間を見つける。
そこは人が数人余裕で入れるスペースがある。
そこに二人を連れ込む。
もちろん目撃者がいないことを耳で周囲に人がいないことを確認する。
『あべ……アレンきゅん男らし……』
もうお前は黙れ!
どんだけこの場を狂わせるんだよ。
『アレ……アレ…ン』
アレイシアは困惑して壊れた音声人形のようになっている。
どう収拾つけよう。
状況最悪だよ。
そんな対照的な二人を奥まで連れて行くと手を離す。
そして、生気を失っているアレイシアに話しかけるが……。
「アレイシア?」
今回のことはよっぽどのダメージだったらしい。
肩を軽く揺らして名を呼んでいるのに反応なし。
しょうがない。
僕は切り替えてもう一人に声をかける。
「君は何者だい?……」
端的で最も的をいている聞き方。
転生者についての話をするのはアレイシアの前では避けたいもののーー。
『アレ…ア』
『ドッ…ドッ…ドッ』
今のアレイシアは完全にフリーズしているので問題ない。
この現象は一昨年に一度だけなったことがある。
脳内メモリーの容量が情報量が多すぎて処理できずオーバーヒートしてしまっている。
こうなったらしばらく時間を置くしかないのだ。僕はこの場ですぐに話を終わらせるつもりでいる。ただでさえ入学早々目立ってしまった。戻るのが遅くなってはさらに悪い噂をされかねない。
早く要件を済ませる。
「……アレンきゅんじゃ……ない?」
「……今更かい」
やっと冷静になったのか……なんだよアレンきゅんって。
先ほどの興奮はおさまっているようだ。
今までのやり取りだけでわかるけど、この子はだいぶおかしい部類の人間だ。僕を見て興奮していたし。
「転生者……」
「君と同じね」
アリスは冷静になり、真剣な眼差しで僕を見つめる。
「私の知ってるアレン=ユベールじゃ……ない」
いやそんなに絶望した表情しないでもいいと思うんだけど。
全てを手短に済ませるためとはいえまさかこんなに反応するとは。
勝手にそっちが暴走したんだ。残念ながら同情する気はない。
僕に入学初日から接近してきたってことは多分僕を先に攻略しにきたのだろう。
こういうのはあらかじめ釘を刺しておく。
「君の言動である程度目的はわかる。転生者さん。僕を攻略しにきたんだろうが、諦めてくれ。ゲームと違ってアレイシア一筋だから。それに人格そのものが違う。残念だけどね」
あやふやにしない。
これからフローラのことの対処をしなければいけないが,第一に考えるは学園生活でアレイシアと親睦を深めることだ。
それにこれで潔く引いてくれたらアリスの問題は片付く。不安要素がなくなれば今後楽になるし。
そう考えていたのだが。
「乙ファンにはない男らしいアレンきゅんも……あり?」
「……は?」
何いってるんだろうこの子は。
まさかこれが平常運転なのだろうか。
確かアリスって特待生だよね?優秀なはずだよね?
……頭よく見えないんだけど。
「可愛い見た目なのに大人びていて……ゲームでは苦手意識があった悪役令嬢と良好なシチュは存在しなかったしーー」
まだ意味がわからないことを長々と呟いてる。
この子は思っていた以上にやばい人かもしれない。
このまま放置しても良いだろうか?いや、このまま放置したら余計に悪い噂が飛び交うかもしれない。
「アリスさん……再度忠告するけど、僕はアレイシア一筋だから、君は僕を攻略できない。頼むから他をあたってほしい」
「いやいや、私見る専なんで」
早く話を切り上げたいと思って発した言葉だったのだが……アリスは手を振りながら返答する。
僕は予想外の発言に言葉が詰まる。
……ならなんで教室であんな行動を?
「ではいきなり僕に変な言動をしたんだい?」
「あー……興奮してしまって気がついたら……ふへへ」
「はぁ……」
「ため息って酷くないですか?!」
なんかもう疲れた。せっかくの入学式なのに。
アリスは話せばわかってもらえそうだ。勢いで教室出て行ってしまったけど、これからどうしよう。
アレイシアの誤解も解かなきゃいけないし。
「はぁ……とにかくもう自分勝手な行動は控えてくれ」
「……ふへへ」
再びため息しつつ、再度忠告した。
アリスは話せばわかってもらえそうだが、彼女の腐女子の面には触れないようにした。
また暴走されてはたまったものじゃないが、指摘しても根源的な彼女の性格は治ることはない。
それに彼女の生き方そのものを全否定することになるしね。
何より、同じ境遇の人が現れたことを祈るべきだろうと思った。