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鋼谷が警報の鳴る支部を駆け抜けていると、天井に取り付けられたモニターが突如として点灯した。画面には見知らぬ男の姿が映し出される。
黒いスーツに身を包み、鋭い目つきと整った顔立ちのその男は、冷笑を浮かべながらゆっくりと口を開いた。
「鋼谷、ようやくお目にかかれるな。私は『虚王』――冥王に次ぐ存在だ。」
モニター越しに響く虚王の声は威圧的だった。
「冥王会が混乱する中、私がその隙を埋める。冥王の代わりに、新たな秩序を作り上げるのだよ。」
鋼谷は眉をひそめ、挑発的に問い返す。
「新たな秩序?つまり、お前が次の冥王になるつもりか。」
虚王は肩をすくめる。
「冥王は確かに強大だったが、彼の時代は終わった。今必要なのは、力と頭脳の両方を持つ支配者だ。つまり、この私だ。」
虚王の異能「反転の領域」
虚王は自らの力について語り出す。
「私の異能『反転の領域』は、あらゆる現象を逆転させる。例えば攻撃が私に向かえば、それはお前自身に跳ね返る。そして、異能の効果もまた逆転させる。」
モニター越しに虚王が手をかざすと、支部内にある小型の装置が次々と破壊されていく。鋼谷はその様子を目の当たりにしながら、虚王の力の異常性を感じ取った。
「さあ、鋼谷。お前には二つの選択肢がある。私に従い、この新たな秩序の一員となるか――それとも、抵抗して無に返るかだ。」
鋼谷は虚王の言葉を黙って聞いていたが、やがて静かに拳を握り締めた。
「悪いが俺は、誰かの秩序に従うつもりはない。それが冥王でも、お前でもな。」
虚王は再び冷笑を浮かべる。
「その答えを聞いて安心した。やはりお前とは戦う価値がある。だが、今回はお預けだ。お前の支部を壊すのが目的だからな。」
モニターが消えた瞬間、支部全体が大きく揺れ、破壊が始まる。鋼谷はすぐさま避難路を探しながら、虚王との決戦が近いことを確信した。
次回、鋼谷は「反転の領域」にどう立ち向かうのか。冥王に次ぐ新たな王、虚王との対峙が迫る――。