人…3
お通夜にもやはり父は居ない
知らない親族だけ
身内の中で1人、孤立した
誰も俺の事を引き取ろうとはしない
僧侶さんがよむお経は今までにないほど聞き取れた
長い時間のはずなのに、一言一言が聞き取れた
焼香の際にいきなり涙が溢れてきた
今日はこれでやる事は終わる
明日になってしまえば
母さんは火葬場に行ってしまう
それこそ本当の別れだ
誰も居ない家に1人ぽつり
「ただいま……」
当たり前だ
返事は返ってこない
そう思うとやはり涙が出てくる
冷凍庫にある冷食を食べようとしても
食事が喉を通らない
いつもみたいに
学校終わりに家に帰ってきた時にいる
エプロン姿のお母さん、
おかえりー!
って元気に言うお母さんはもう居ない
いつもみたいに温もりを感じるご飯が食べたい
冷食は明日食べよう…
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