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北国の要衝、仙台。幕府軍の中でも屈強な部隊が集結し、雅也たちの進軍を食い止めるための最後の砦となっていた。雅也、加藤清政、橘真治の三人は、冷たい風の中、策を練るべく立ち止まった。
「仙台を落とすには、正面突破は難しい。」橘が広げた地図を指差しながら言う。
「幕府軍は東北の援軍を総動員している。このまま行けば、こちらが挟み撃ちに遭う。」
加藤清政が腕を組み、冷ややかな目で地図を見つめる。
「裏をかける地形はあるか?」
雅也が地図をじっと見つめた後、指を一箇所に滑らせた。
「ここや。仙台城の南東にある丘を越えて、夜襲をかける。正面には少数だけ配置して陽動作戦を仕掛けるんや。」
「そんな単純な策で幕府が引っかかるか?」加藤が冷たく言うが、雅也は笑った。
「単純やからこそ、逆に効果的や。敵はここを突破するのは無理やと思っとる。」
「確かに……」橘が頷く。「だが、ほぼ全滅覚悟だ。それを誰がやる?」
雅也はにやりと笑い、軽く自分の胸を叩いた。
「俺がやる。」
「雅也、ええ加減にしろ。お前が死んだら、この戦は終わる。」加藤が眉をひそめたが、雅也は軽く手を振った。
「死なへんよ。俺には異能があるやろ。」
作戦当夜、雅也はわずかな兵を引き連れ、正面で幕府軍を挑発した。
「おいおい、幕府の侍はこんな小童に怯えるんか? そんなんやから、江戸も守られへんねん!」
その言葉に幕府軍の侍たちが激昂し、雅也たちの部隊に襲いかかった。
「来たな。」雅也が冷静に言い、異能「切断」を発動。無数の刃が闇夜を裂き、敵兵を次々に倒していった。
一方、加藤と橘が指揮する主力部隊は、南東の丘を越えて城の背後に潜入していた。
仙台城内部に侵入した加藤清政は、異能「十魂」の一つ、風狼刀を抜き放った。刀が風を纏い、前方の敵兵を一瞬で薙ぎ倒す。
「ここを抑えろ。橘、お前は左を。」加藤が指示を飛ばす中、橘は銃を駆使して狭い通路を制圧していった。
「了解だ。そっちは任せる。」
雅也も陽動を終えて駆けつけ、加藤たちと合流する。
「城の本丸に突っ込むで!」
本丸で待ち構えていたのは、仙台城の守備隊長、鬼島源三郎。彼は異能「地裂」を使い、大地を揺るがしながら加藤たちに立ち向かう。
鬼島の力は強大だった。彼が異能を発動するたびに地面が裂け、加藤たちの動きを封じ込めた。
「さすがに厄介やな。」雅也が汗を拭いながら言う。
加藤は「十魂」の中から天雷剣を手に取り、鬼島に向けて突撃した。雷が剣から放たれ、大地の裂け目に直撃する。
「お前の異能、確かに強いが……俺には届かない。」加藤の冷徹な声が響く。
雅也も「切断」を発動し、鬼島の攻撃を無力化する。橘の銃が援護射撃を行い、最終的に鬼島は地に伏した。
仙台城が陥落し、幕府軍の東北の拠点は完全に雅也たちの支配下に入った。
「これで北の道は確保や。」雅也が息をつきながら言うと、加藤は冷静に応じた。
「だが、幕府はこれで黙っているわけがない。」
橘が肩をすくめた。
「次はどうする? 江戸を狙うか?」
雅也は微笑みながら地図を広げた。
「いや、もうちょっと手を広げる。江戸に行く前に、さらに動揺を与えたる。」