翌日。意識が覚醒したのか、それとも無理やり叩き起こされたのか、判然としないまま康二は朝イチの新幹線に乗せられた。
全身が軋むように痛み、殴られた頭はまだズキズキと脈打っている。
隣に座るAの存在が、痛む体にさらに追い打ちをかけた。
なんとか午前中の個人仕事を終え、午後の全員集合の仕事のため、テレビ局の廊下を歩く。
メイクで顔の痣は隠せても、死人のような顔色までは隠しきれない。
それでも、これからメンバーに会える。
その事実だけが、かろうじて康二を立たせていた。
『Snow Man 御一行様』と書かれた楽屋のドアを開ける。中はまだ電気がついておらず、誰も来ていないようだった。
ホッと、ほんの少しだけ息をつく。このボロボロの姿を、誰にも見られずに済んだ。
しかし、その安堵は一瞬で打ち砕かれる。
背後から伸びてきた手に強く腕を掴まれ、ぐいっと引かれた。それは、Aだった。
彼は何も言わず、康二を隣の使われていない空の楽屋へと引きずり込んでいく。
🧡あっ…!
ガチャリ、とドアが閉められ、鍵をかけられる。薄暗い部屋で、Aがニヤリと歪んだ笑みを浮かべてこちらを見ていた。康二の全身を、恐怖が支配する。
🧡(やめてくれ。もう、やめてくれ)
何より、今からここにはメンバーが来るのだ。もし、こんなところを見られたら。
もし、物音に気づかれたら。俺のせいで。Snow Manのみんなに、取り返しのつかない迷惑がかかってしまう。
その恐怖が、麻痺していた康二の心を初めて突き動かした。
🧡お、お願いします…っ」
震える声で、必死に懇願する。初めての、明確な抵抗だった。
🧡今は、今はやめてください…!もうすぐ、メンバーが…みんなが来ちゃう…!
🧡バレちゃうから…バレたら、おれ…Snow Manに…
自分のためじゃない。
グループのため。
メンバーのため。
その一心で絞り出した命乞い。しかし、Aはそんな康二の必死の訴えを、鼻で笑った。
そして、ゆっくりとポケットから何かを取り出す。事務用の、ありふれたカッターナイフ。
カチ、と冷たい音を立てて、銀色の刃が押し出される。Aは一切の感情を消した真顔で、その刃先を康二の首筋にぴたりとくっつけた。
ひやり、とした金属の感触。
肌一枚隔てた先にある、絶対的な『死』の気配。
🧡…………ぁ
康二の言葉は、そこで途切れた。体の力が抜け、必死に掴んでいたAの腕から、だらりと手が落ちる 。
瞳から光が消え、ただ目の前の男を映すだけのガラス玉に変わった。
抵抗も、懇願も、恐怖さえも、全てが無意味だと悟った瞬間だった。
コメント
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やばい~誰かこーじを助けてあげて!! 続き楽しみです


メンバー早く助けてあげてよ~‼️‼️