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【能力者名】 ロカ•タランティーネ
【能力名】 エンプレス•ディスコ
《タイプ:友好型》
【能力】肩に触れた相手の心を
へし折る能力
【以下、細菌達の記録】
恋原表裏一体達がグラウンドに出るとそこには異様な光景が広がっていた。
【歓声と怒号の入り交じった声、声、声】
「ロカ•バッティング!!!(ロカを追放せよ!!!)
ロカ•バッティング!!!(ロカの暴虐を許す な!!!)」
ある者達は怒りのままに叫びながらグラウンドにポップコーンを投げた。
「ロカ先生がんばってーー!!!!!!」
ある者達は姦しい声でポップコーンを投げ
ロカにエールを送った。
もしここに妖怪沢どろりがいたら
(食べ物を粗末にするのはよくない、かなしいことだ。)
と言っていただろう。
しかしどろりの姿はグラウンドには見当たらなかった。
「押さないで!!!….いってぇ!!危ないから
グラウンドに近づかないで!!!!!」
平凡なる教師切名旅行は今日のために 配備された警備員さん達と他の先生達と共に 熱狂する生徒達をどうにか抑えこんでいた。
「何が……何が始まるってんだ…..?」
表裏一体のクラスメイト酒池肉 林がゴクリと 固唾を飲んだ。
「おいおい嬢ちゃん達悪鬼退治は初めてかィ?」
隣にいた訳知り顔の留年生の男がポップコーンを むしゃむしゃ食べながら言った。
「悪鬼退治とは
学園 最強のロカ先生達に挑むバカ共が現れた時に起こる米津高校の伝統行事さぁ。この
イベントを見るためだけにこの学園に留年し続ける俺みたいなのもいるぐらいのなぁ。」
(早く卒業すればいいのに。)
と表裏一体は思った。
しばらくして、ジャージ姿で髪をポニーテールにまとめあげたロカと、挑戦者三名が現れた。彼らの間には赤旗と白旗を持った審判が 立っていた。
三名の内一番背の高い男が手をあげて大声で宣誓 した。
「宣誓ィィィィ!!!!!!!!我々挑戦者一同はぁ!!!!!!! ありとあらゆる手段を使いィィィ!!!!
悪逆非道のロカを討伐することをォォォォ!!!!!ここに宣言するゥゥゥゥ!!!!!!
ぶっころぉぉぉす!!!!」
そうやって挑戦者の一人が吼えると グラウンドを揺らすほどの歓声と怒号が 上がった。
ロカは肩をゴキゴキならしながら周囲を
観察した。そして瞬時に
(この三人はあくまで陽動、本命は観客に紛れてる二人と、屋上にいる一人、後は空間系能力者による能力者が潜んでる線は捨てがたいわね。時間操作系のヤバイ連中達はすでに心をへし折ったから警戒すべきはこの辺りね。)
と判断し、仲間達に向けて素早くハンドサインをした後ものすごく悪辣な笑みを浮かべ
こう言った。
「随分威勢がいいのねぇ、あなた達のその 威勢、 果たしていつまでもつかしら?」
そして、審判が旗を下ろして勝負の火花が
切って落とされた。
〈ここで両軍の勝利条件、戦力をざっくり
まとめたので時間がある方は見て欲しい。〉
【ロカ連合軍】vs【挑戦者達】
【ロカ連合軍の勝利条件】
挑戦者達と周囲生徒達、並びに自分達がだれ
一人傷つくことなく挑戦者6名の心を
《エンプレス•ディスコ》でへし折ること。
【挑戦者達の勝利条件】
ロカ•タランティーネを生死を問わず再起不能にすること。
〈ロカ軍の戦力〉
【ロカ】…..肩に触れた相手の心をへし折る
能力『エンプレス•ディスコ』を
持つ能力者。
【???】….能力不明。
【???】…..能力不明。
〈挑戦者達の戦力〉
【挑戦者A】マッシュルームを食べると
身体の大きさが2倍になる能力。
【挑戦者B】赤の甲羅と緑の甲羅を使役する
能力。
【挑戦者C】巨大なイカを使役する能力。
【挑戦者D】雷のようなものを空から落とす
能力(雷ではないので味方や周り
を巻き込まない。)
【挑戦者E】分身して炎の玉のようなものを
投げつける能力(炎ではないので
周りを巻き込まない。)
【挑戦者F】3分間無敵になる能力
(以下、アルファベットで表記。)
【戦闘開始】
先に動いたのは挑戦者達だった。
Aがマッシュルームを食べ巨大化しロカに殴りかかり、Bが 赤と緑の甲羅でロカの足元を狙った。
Cはイカを使役し10本の足で同時にロカを捕らえようとした。
そしてDはロカの頭上から複数の雷を 落とし、EとFは静観した。
ロカはそれら全ての攻撃を最小限の動きで
捌いてみせた。
Aの攻撃とDの複数の雷を太極拳のような動きで同時に躱しながらAの肩に タッチし、Bの甲羅を蝶のような軽やかなジャンプで躱しながらCの使役するイカの10本の動きを素早く手で捌いてみせた。
そして着地するとBに素早くタックルのような姿勢で襲いかかりケガをしないように倒しながらBの肩にタッチ。
その後、イカと同時に攻撃を仕掛けるCの攻撃を全て捌いた後、肩を優しく叩いて言った。
『エンプレス•ディスコ』
ロカがそう呟くと挑戦者A,B,Cが膝をついて
崩れ落ちた。
ジョギングをしてる時に急に奈落の底に落とされた時のような、煽り運転で煽られた挙げ句事故に遭った時のような、カーブを曲がりきれずに崖へと突っ込んだ時のような 絶望感が彼らを襲った。
こうしてA,B,Cの心はへし折られ能力が使えなくなり戦闘不能になった。
Cのイカはへなへなと力なくへたりこんだ。
残る挑戦者はD,E,Fの三人のみである。
(あーだめだこりゃ。速すぎて《裏表ラバーズ》で狙えないなー。)
ド畜生である恋原表裏一体は隙を見てロカに
能力を使い動きを止めて再起不能にしようと
企んでいた。
しかしロカの動きが余りに速く、 そして常に動き続けていたため表裏一体は 能力を使うのを諦めた。
そして飽きてしまったため隣にいた白雪ちゃんの胸にくっついて甘え始めた。
さて、残る挑戦者はD,E,Fである。
学校の屋上にいたDは焦っていた。
(くそッ、くそッ!!!!なんで!?!?なんで当たらないんだよォ!!!!?)
ロカは第二次能力者戦争の生き残りである。
極度の疲労と空腹状態の中ミサイルと多数の
能力に晒されながら生き延びたロカにとって
発動に0.2秒のタイムラグのある雷を見もせずに避け続けることなど造作もないことだった。
Dは焦っていた。
故にDは周囲の警戒を怠り 彼の影から現れた白衣の中年男性に気づかなかった。
中年男性の名は影踏架空恋慕
、 米津高校内の全ての影を自由に行き来でき、 米津高校の制服を着た生徒を自由に影の中に 出し入れ出来る能力《ハイドアンドシーク》 を持つ、ロカ連合軍の内の一人である。
「あ!!あれかくれんぼ先生じゃん!!!写真撮ってインスタにあげちゃお!!!」
おじさんフェチの酒池肉林は そうやって屋上に向けてスマホを向けた。
さて、Dが影踏架空恋慕に捕らえられると
雷はピタリと止んでしまった。
おそらく 何らかのポーズをとっていないと能力が 使えないのだろう。
「はーい、暴れるなよー。先生はもう40過ぎの おっさんだから肩とか腰とかバキバキなんだわ ……。ったく、ロカ先生は相変わらず人使いが荒れェーよなー。」
けだるげに言いながら影踏架空恋慕はDとともに影にちゃぷんと沈んでゆき、ロカ先生の影から Dとともに出てきた。
もうすでに心が折れているDの肩に軽く タッチしてロカは言った。
『エンプレス•ディスコ』
まるで雷雨の日に荒れ狂う川の中にうっかり
スマホと免許証と財布を落とした時のような
絶望感がDを襲いDの心はベッキリと折れて
しまった。残る挑戦者はE,Fの二人である。
実のところE,Fはこの展開を予想していた。
A,B,C,Dの健闘によってロカ達の体力を消耗させたところでEの分身による飽和攻撃で
ロカに致命傷を与え、無敵状態のFの攻撃で
再起不能にする手筈だった。
観客の中に紛れていたEは飛び上がりながら
99体の分身を出し、ロカに炎の玉のようなものを一斉に投げようとした。
そのときだった。
「勝負だ勝負勝負勝負勝負勝負勝負ゥゥ!!!!!
あんた去年の能力あり騎馬戦のMVPなんだってなぁ!!!!俺とタイマンで勝負しろぉ!!!!」
妖怪沢どろりとのバトル、姉ヶ崎茜色に対する 恋愛感情の目覚め、そして《能力ありボクシング部》の屈強な野郎共に揉まれたことで能力《とてもいたいいたがりたい》を
目と目があった能力者に強制的にタイマン
勝負を仕掛ることができる能力から 話しかけた能力者に強制的にタイマン勝負を仕掛ることができる能力 へと進化させた 口裏痛見がロカ先生の影から勢い良く飛び出てきた。
彼はロカにその能力と強者に屈しないメンタルを買われ、ロカ軍のメンバーへと抜擢されたのである。
「勝負はどちらかが死ぬか参ったと言うまでェ!!!ステージはかくれんぼ先生の影の中
ダァッ!!!!」
「っちゅーわけでおまえらを影の中に引き入れっぞー。あとは若いお二人でごゆっくり。」
影踏架空恋慕は『ハイドアンドシーク」で
痛見とEを影の中へと引きずり込んだ。
【かくれんぼ先生の影の中】
「くそっ、…….後はたのんだぞ、F……!!!」
そう言いながらEと99体の分身は一斉に
痛見に向けて炎の玉を放った。
痛見の全身が炎で覆われた。
「熱ゥい!!!全方位から炎を喰らったのは
これが初めてだァ!!!!新鮮な痛みをありがとう!!!!これで俺はさらに強くなれる!!!!」
《とてもいたいいたがりたい》のもうひとつの 能力、痛みを感じるごとに回復出来る
能力を使いながら痛見はEの分身達を ひたすら殴り続けた。
(こいつ ……不死身か…..!!?)
骨の髄まで焼かれながら高らかに笑う化物を見て、Eの心は完全に折れてしまった。
「…….参った、俺の…..敗けだ。」
そう言ってEは分身を解いた。
「ヒャッハゥーー!!!影踏先生ェ!!!!もういいぜぇ!!!!楽しかったァッ!!!!!!!!」
痛見がそう言うと影踏架空恋慕は二人を
ロカの影から取り出した。
ロカはすぐさまEの肩にタッチし
《エンプレスディスコ》でEの心を折った。
残りはF一人、すでに勝敗は決していた。
しかし、Fは屈しなかった。
散っていった仲間達のためにも最後まであがくことに決めた。
Cのイカの足の中に隠れていたFが無敵状態になりながら勢いよくロカに突進した。
ロカは マタドールのようにひらりと身を躱した。
すでに勝負は決していた。
痛見の《とてもいたいいたがりたい》を使用させればロカはこの 男を完封できただろう。
しかしロカはこの男の攻撃を全て躱し続けた。それがロカが敗北者達に送るせめてもの餞だった。
結局Fは、活動限界を遥かに超える4分50秒間無敵状態を維持し、立ったまま気絶した。
ロカは無敵状態の解けたFの肩を軽く叩きながら『エンプレス•ディスコ』と言ってFの心を 完膚なきまでへし折った。
ラクビー全国大会出場をかけた大事な試合でアキレス健を断裂した時のような絶望感が彼を襲い、彼の心は完全に折れてしまった。
「挑戦者達、倒れながら聴きなさい。ここまで 消耗させられたのは随分久しぶりよ。
人生は折れてからが本番よ。せいぜい
気張りなさい。」
これにて決着である。
「……さて、さすがに汗をかきすぎました。
次の古典の授業は30分間自習です。」
そう言ってロカはシュッとグラウンドから
姿を消した。
その言葉に生徒達は沸いた。
「あー、俺もぉ、観客達を抑えてた先生達もさすがに疲れてるからなぁー。お前らーよく聴けー!!!次の授業は全授業30分間自習!!!!
散っていった挑戦者達とロカ先生らに 拍手!!!!!」
観客達は大歓声をあげた!!!!
制服を脱いで踊り狂う馬鹿もいた。
こうして、興奮冷めやらぬ中生徒達は教室へと帰っていった。
グラウンドに散らかったポップコーンとイカと甲羅は特定のモノを食らう化物を生み出す 能力『ジャバヲッキー•ジャバヲッカ』を持つ 清掃委員長の烏屋茶茶茶が生み出したクソデカウーパールーパーによってきれいさっぱりなくなった。
【運命の小テストまであと六日】
【最後まで読んでくださり
ありがとうございました。】