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イレブンとセーニャが、ソファに座って静かな時間を過ごしてからしばらくが経った。部屋の中は落ち着いた雰囲気に包まれ、二人は言葉少なにお互いの存在を感じながら過ごしていた。
セーニャは、時折イレブンをチラリと見ながら、どうしても心の中のモヤモヤを解消できずにいた。試練の内容が少しずつ明確になりつつある中、彼女の心には不安と期待が入り混じっていた。
「イレブン様、試練の後、私たちがどうなるのか…そのことを考えると、少し怖いです。」
セーニャはついにその言葉を口に出した。心の中で感じていたことを、ずっと黙っていたが、やはりイレブンに話してしまいたかった。
イレブンは、その言葉に少し驚いたような表情を見せたが、すぐに優しく答えた。
「セーニャ、僕も正直に言うと、少し不安だよ。でも、それはお互いに向き合っていくべきことだって思うんだ。」
イレブンはセーニャの方に身体を向け、彼女の目をじっと見つめた。その瞳の中には、彼女に対する深い思いやりと、少しの決意が込められていた。
セーニャはその視線に少し動揺したが、すぐに落ち着くように深呼吸をした。
「向き合う…ですか。」
その言葉を繰り返しながら、セーニャは思考を巡らせた。彼女が抱えている不安は、試練の先にある未来のこと。卒業後、即結婚するというルールに対して、どうしても心がついていかないのだ。
イレブンが、セーニャの手をそっと取った。その手のひらに込められた温かさが、彼女の心にじんわりと伝わってくる。
「セーニャ、僕は君と一緒に未来を歩んでいきたいと思ってる。でも、焦らずにゆっくり進めばいいんだ。」
イレブンの言葉は、セーニャの胸に深く響いた。
「イレブン様…」
セーニャは少し照れくさそうに顔を赤らめながら、彼の手をしっかりと握り返した。その温もりが、彼女を安心させてくれる。
「僕たちはお互いに信じているんだろ?」
イレブンは、優しく問いかけた。
セーニャはその言葉に強く頷いた。
「はい…信じています。イレブン様。」
その言葉が、セーニャの不安を少しずつ解消していくのを感じた。
その時、部屋の扉が静かに開き、ロビンが顔を出した。
「どうだい、進展はあったか?」
ロビンはにやりと笑って、二人の様子を見守る。
イレブンは少しだけ顔をしかめたが、すぐに冷静に答える。
「お互いに話し合って、少し気持ちが整理できたと思います。」
その答えに、ロビンは満足そうに頷いた。
「良い感じだね。次の試練は、もう少しだけ二人の絆を深めるためのものだ。楽しみにしておいてくれ。」
そう言って、ロビンは部屋を後にした。
部屋の中には再び静寂が訪れたが、その空気は以前とは少し違っていた。セーニャはイレブンと目を合わせながら、小さく笑った。
「イレブン様、ありがとうございます。あなたと一緒なら、どんな試練でも乗り越えられる気がします。」
その言葉に、イレブンは穏やかな笑顔を浮かべ、セーニャの手を軽く握り返した。
「セーニャ、僕も同じ気持ちだよ。」
イレブンはそう言いながら、セーニャを優しく見守った。
二人の間には、これから先もきっと乗り越えなければならない試練が待っているだろう。しかし、その時が来るまで、二人はお互いに手を取り合い、歩んでいくことを誓った。
次回予告:
第17話では、試練の次の段階が始まる。イレブンとセーニャが更に絆を深めていく中、意外な事実が明かされる。その事実が二人にどんな影響を与えるのか、注目の展開が待っている。