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へぇ、高身長のこのイケメン。営業成績も優秀でゴルフも上手にこなせちゃうとか、同僚からひがまれちゃいそう。
「今日のコンペに、お得意様も顔を出しとるからといって、自分の腕前を披露したり、顔を潰すような真似はしなや」
「承知してます」
仕事のできる部下を抑え込む、上司の常套句を発動させる榊と呼ばれたイケメンくんは、随分と目をかけられているんだな。勿論、違う意味で――。
「榊さんはイケメンだしゴルフもお上手なら、運動神経が抜群なんでしょうね。学生時代は、相当モテたんじゃないですか?」
「中高一貫の男子校に通っていたので、そういうのは皆無でした。運動神経も一緒に通学した幼馴染みのフォローばかりしていたので、特に目立ってもいなかったです」
「もしかして、市内中央にある中高一貫の?」
「はい。公立の小学校から外部受験して、入学したんです」
榊の言葉を聞いて、橋本は狂喜乱舞した。なかなか同窓生に逢えなかったこともあり、感動もひとしおだった。
「実は俺も、そこの学校の出身なんだ。47期の卒業生だけど榊さんは?」
お客様ということをすっかり忘れて、親しげに話しかけた橋本に同調するように、榊も顔を綻ばせた。
「俺は53期生です」
「6つ違いか。中等部と高等部は校舎が別棟になっていたし、きっとすれ違うこともなかっただろうな」
「俺が中等部の頃に、学校の七不思議を検証してみようっていうのが流行ってましたが、橋本さんが通っていたときにはありましたか?」
(うわぁ、マジで感動。学校のネタでこうして盛り上がるなんて、何年ぶりだろうか)
「俺らのときは、七不思議をどこまで増やせるかをやってみた。まんまガセネタから、ありえそうなものまで、そりゃあたくさん作ったな」
「お蔭で、検証するのが大変でしたよ。だけどおまけと称してガセネタを中心に、信憑性のある尾ひれを付けてやりましたけどね」
「えげつないのな。言っておくけど俺たちが量産する前に、18個もあったんだ。これ以上の文句は受け付けないからな」
「おまえたちの学校のは、七不思議とはちゃうやん。何やいい加減な話やで」
突如乱入してきた荒木田のセリフに、榊と目配せをして、この場をやり過ごした。
その後も、なんやかんやで和やかな会話が続き、1時間の道中がえらく短く感じたのだった。