テラーノベル
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「バレた?」
そう言って笑った瞬間。
チャンスの手が動いた。
ドン。
背中が玄関の壁に当たる。
思ったより強くて、少し肩が揺れる。
目の前。
チャンスの腕が壁につく。
完全に逃げ道がない。
壁ドン。
……あ。
俺、やりすぎたかも。
でも。
ネクタイはまだ握ってる。
くい。
反射で引く。
チャンスの顔がさらに近くなる。
サングラス越しでもわかる。
ちょっとだけ目が細くなってる。
「エリオット」
低い声。
俺は肩を壁につけたまま笑う。
「なに?」
チャンスのもう片方の手がネクタイの上から俺の手首を軽く押さえる。
逃がさない感じ。
「さっき何て言った」
「どれ?」
わざととぼける。
チャンスが少し近づく。
距離がさらに縮む。
声がすぐ近くで落ちる。
「責任取れって」
俺は少し笑う。
「言ったね」
チャンスが小さく息を吐く。
「煽ってるだろ」
「うん」
即答。
一瞬の沈黙。
そのあと。
チャンスが低く笑う。
「……後悔するぞ」
俺はネクタイをまた引く。
くい。
顔がかなり近い。
ほとんど鼻先の距離。
「しないよ」
わざと言う。
ちょっと挑発的に。
「だってさ」
ネクタイを指に巻く。
「昼間ずっと我慢してたの、俺だし」
チャンスの眉が少し動く。
「だから」
俺は小さく笑う。
「今日は俺の勝ち」
数秒。
静か。
そのあと。
チャンスが一歩さらに踏み込む。
壁と体の距離がなくなる。
声が低く落ちる。
「……それ」
指がネクタイに触れる。
「まだ握ってるのに?」
俺は少しだけ目を細める。
「離すつもりない」
チャンスがまた笑う。
さっきより少し危ない感じの笑い。
「そうか」
次の瞬間。
ネクタイを掴んだまま、ぐっと引かれる。
俺の体が前に引き寄せられる。
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