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「はぁ…涼しい」
阿部たちに席を外すと言って店の外へと出た。夜空には綺麗な星たちと半月にも満たない月が俺を照らしている気がした。
2人に涼太の話をして、本当にいいのだろうか。まずそもそも涼太が倒れて今も目を覚さないと言う事実でさえ受け入れられてない。そんな中、2人に話せば間違いなく俺の感情はぐちゃぐちゃになる。
「涼太…」
いっときして、中へ戻った。とっくにテーブルには様々な料理が運ばれており、2人は先に食べていた。よほど腹が空いていたのか目黒は料理にがっついて阿部はそれを制止するかのように肩に手を置き目黒を揺さぶっている。それが何処となく昔の俺と涼太に重なって、自然と笑みがこぼれた。
「何やってるんだよ笑」
「あ、翔太!ごめんね?めめがお腹減ったって聞かなくて!」
「もー!めめ!」
「ゴクンッ、戻ってくるのが遅い翔太くんが悪い…」
「ふははっ笑!それもそうだなっ笑笑」
「もう翔太まで!年上の人と会食する時絶対そんな事しないでよね!?」
「それは流石にしないです」
「俺はするのかよ笑笑」
「翔太くんは俺のお兄ちゃんみたいな人なんで」
「誰がお前の兄貴だ」
この漫才をしているかのような空間が面白くてまた俺は吹き出した。テンポのいい会話は久し振りでやっぱり涼太の顔が浮かんだ。随分ともう話してない。たった数週間なのに、1年、2年と話してないかのような錯覚を起こす。涼太は特別な人。俺の大切な幼なじみ。
そう…この時、涼太に対して恋愛感情なんてものは無かった。でも、日に日に涼太への気持ちが大きくなっていったのは確かだった。
「涼太ぁ、病院行くぞ」
「…今日は行きたくない……」
「だーめっ」
「この日に来てくださいって言われてたろ?」
「んん…、」
ぐずる涼太はよく見かける。定期検診の度に「今日はやだ」とか「明日にしよ?」とか…検診が嫌いなのは分かるが行ってもらわないと俺も困る。だからそんな日は無理やり連れ出していたが、今はちょっと変えて…
「じゃ、頑張ったらシュークリーム買ってあげる。確かいま限定の出てるでしょ?」
「え!いいの…?!」
「特別ね?だから検診頑張れそう?」
「……うん」
「翔太約束ね…?」
「うん、約束」
それは甘いもので釣るといつ作戦。まぁ見事に魚みたいに釣れるから助かってはいるんだが、また検診の度に甘いものを与えているからかぐずる頻度が増えた気がする。気のせいかな?
『……うん、うん』
『異常はなさそうだね』
「ほんとですか?よかった…」
「スー…スー…」
『検診中、よく寝れるね涼太くんはっ笑』
「行く前は絶対ぐずるのに、先生たちとお話すると忽ち笑顔になるんですよ笑」
『信頼してもらってるのかなぁ?笑』
『前は、僕たちを前にすると泣きそうになってたのに…』
「……ですね」
飲みながら、阿部たちにはすべて話した。涼太が倒れ今も目を覚さないとこ。涼太がいなくなるんじゃないかって怖いこと。あの時どうして無理やりにでも話を聞かなかったのかという後悔のこと。親たちも俺のせいじゃないって言ってるけど勝手に責任感を感じていること。
2人は何も聞かず、ただ俺の話を真剣に聞いてくれた。
「そっか…そんな辛いことがあったんですね」
「…涼太は人に迷惑をかけたくないからって、人に相談するようなことはない」
「だから、いつも…もっと最悪な展開に転がってた。今回も典型的な例だよ。なんで…気がつけなかったんだろ…」
「…ご両親が言ったように、それは翔太くんの責任ではないです」
「…そんな悲しい顔、起きた時に涼太さんが不安になりますよ…?」
「…分かってる…分かってるよ……」
「……それでですね…」
「?」
「阿部ちゃんはいつまで悶えてるの」
「こんな大事な話の最中に」
「うぐっ…それは本当にごめん…」
「…翔太、大変だったね。俺達も配慮できてなくてごめん」
「ううん、2人が謝ることじゃない」
「……でも、1ついい?こんな大事なことなんだけど…」
「?おう…」
「幼なじみさんは“男”の人なの???」
「?もちろん」
「あぁぁぁぁぁあっ!!!」
「「ビクッ!?」」
「俺なんて勘違いを!涼太さん申し訳ない!!!ごめんなさいぃぃぃ!!!」
「…阿部うっせぇ」
「お店ねここ…」
「あ、やべ」
「はぁ…勘違いしてるだろうなとは思ってたけど、まさかここまでとは笑」
「ほんっっっとうに!申し訳ない…!」
「(さぁ…阿部ちゃんはどんな妄想してたんだろう…うわ、妬けるな)」
「…ま、こんな事があったからちょっと元気なかったの。すまんかったな 」
「いえ、別ににいいんですよ」
「そうそう!」
阿部達に話したのは正解だったのかもしれない。何処か肩にのっていた重りがストンっと落ちた感じがした。親や2人がいうように責任を感じすぎていたのかもしれない。
…それに、こんな顔で涼太に会うのは違うなと思い明日からたましっかりしないとと思える機会にもなった。
コメント
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こんな大事なシーンに不謹慎な発言をするけど、勘違い阿部がかわいくて仕方ないのでどうか食べさせてください(だいぶ気持ち悪いぞ 翔太くんも2人に話したことによって ちょっとでも気が軽くなるといいな、、