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第一章:白月の邂逅
白月が凪いだ湖面を銀色に照らす夜、わたしは静かに湖畔を歩いていた。
わたしは女神の侍女。名もない存在として、ただ日々の務めを果たしてきた。
しかし今宵、白月の下に立つ女神――セレネリアに、初めて直接出会った。
「……来たのね」
澄んだ声が湖面に反響した。
膝を折るわたしに、彼女は優しく微笑む。
その笑顔は、世界のすべての痛みを包み込むかのようだった。
「あなたがいてくれると、心が安らぐの……ありがとう」
その一言に、わたしの胸は熱くなった。
守るべき存在であり、仕えるべき主であり、
同時に誰よりも愛おしい存在――それが、セレネリアだった。
第二章:黒月の出現
やがて夜が深まり、湖の水面に黒月が映り込んだ。
白月に対する影――ルナ。
その姿は冷たく、しかし凛々しい。
長く黒い髪、夜空に吸い込まれそうな漆黒の瞳。
「……貴女が、セレネリアの侍女ね」
ルナの声は静かで、けれど奥底に悲しみと孤独を宿していた。
そしてわたしだけに、そっと真実を告げる。
「昼の彼女は無垢で、世界の痛みを知らない。
でも私は、その影として、すべてを背負わねばならない」
セレネリアが見せる慈愛は美しい――
だがその裏で、ルナは闇を吸い、孤独を抱え、世界を見守っていた。
第三章:内なる戦争
セレネリアの無垢な微笑みと、ルナの冷酷な孤独が交錯する。
女神の中で、光と闇の人格戦争が始まっていた。
「私は……光でいたい」
「お前は光であれ。しかし誰かが闇を背負わねばならぬ」
わたしは侍女として見守るしかできない。
声をかけることも、手を伸ばすこともできない――
この戦いは、女神の魂の中で決着がつくしかないのだから。
第四章:外の戦乱
人間は黒月の存在を恐れ、妖怪を討伐する戦を始めた。
妖怪たちは黒月の女神を守るため、人間に立ち向かう。
わたしはその間で、女神を守る侍女として戦場を駆ける。
しかし戦乱は収まらず、女神の心の中の戦いと、外の戦いが次第にリンクしていく。
セレネリアの光が揺れ、ルナの闇が力を増す――
そして外界の戦場にも、闇の力が溢れ始めた。
第五章:決戦
女神の心の中で、光と闇が衝突する。
わたしはただ祈ることしかできなかった。
「どうか……セレネリア様を守って」
だが、闇は強かった。
ルナは冷静にすべてを計算し、光を抱き込み、徐々に吸収していく。
セレネリアの瞳は、一瞬だけルナを見つめ――
「……あなたを……信じます」
その言葉を残して、光は闇に飲まれた。
第六章:黒月の夜
目を開けると、世界は黒月に覆われていた。
セレネリアはもはや表に現れない。
残ったのは、冷酷で孤独なルナのみ。
わたしは泣いた。
しかしルナは静かにわたしを見下ろし、そっと手を伸ばした。
「……お前だけは知っている。光の声も、私の孤独も」
わたしはその手を握る。
二度と微笑むことのない黒月の女神――
それでも、女神としての温もりを感じながら、わたしは彼女に仕え続けるしかなかった。
――これが、二つの月が分かたれた世界の物語。
光は消え、闇だけが静かに、しかし力強く世界を見守る。
すいません作者です!一応それぞれの立ち絵も彼女ちゃんに描いてもらったので自慢したいのと見てもらいたいです!
こっちがみんなが集合した立ち絵で
この子がセレナリア
この子がルナ
この子は名前は無いですけど主人公ちゃんです!
それではまた次回作で〜
コメント
2件
...(嬉しさのあまり声が出ていない)