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第1章 第8話「夏の初戦・城南工業戦」
7月中旬。猛暑の中、福岡県大会第3日目・第1試合。
柳城高校は初戦で城南工業と対戦した。
◆ 試合開始
【実況】「さあ、第1試合。柳城高校と城南工業の一戦が始まります!」
【解説】「注目は柳城の田村君、それから1年生バッテリーの吉川君と小早川君ですね。城島監督が就任してから、チームは大きく変わりました。」
初回、先発・吉川君は緊張気味。
だが主将・田村君が声を張り、捕手・小早川君が強気のリードで支え、三者凡退に抑える。
3回表、田村君が二塁打。送りバントで三塁へ進み、ワンアウト三塁。
【実況】「チャンスで打席は1年生、小早川君!」
場内がざわつく。
初球、真ん中の直球をフルスイング。
打球は三遊間を抜け、タイムリーヒット!
【実況】「先制! 柳城、1年生小早川君の一打で1点を取りました!」
【解説】「小早川君、思い切りが良いですね。1年生らしからぬ勝負強さがあります。」
7回裏、柳城は1-0リード。
しかし城南工業の粘りでワンアウト満塁の大ピンチ。
マウンドに内野陣が集まる。
小早川が「落ち着け! 一球一球だ」と吉川の肩を叩いた。
小早川君は低めスライダーを要求。
投じた球は鋭く落ち、三振!
続く打者も二ゴロに仕留め、この回を無失点で切り抜ける。
【実況】「柳城、守り切りました! 吉川君、小早川君のバッテリーが見事です!」
【解説】「田村君の声掛けも効きましたね。キャプテンらしい落ち着きです。」
◆ 最終回
9回裏、1点差を守り切れるか。
最後の打者が打ち上げたフライを、田村君がしっかりキャッチ。
【実況】「ゲームセット! 柳城高校、接戦を制して初戦突破です!」
【解説】「城島監督の指導が浸透していますね。全員が役割を果たしました。」
◆ 試合後
校歌を歌い終えた後、城島監督は静かに言った。
「これが挑戦者の一勝だ。だが満足するな。まだ先は長い。」
小早川は汗をぬぐいながら頷いた。
(絶対に次も勝つ。そして、このチームを甲子園に――)
夏の熱気が、さらに彼の胸を熱くした。